パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-14

投稿日:2018年2月28日 更新日:

また、闇金から借金をしてしまいました。これでさらに来月の支払いは厳しくなります。

わかっていても手をだしてしまう・・・。

パチンコ・パチスロ依存症になると自分自身の意思ではとめることはできません。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。

いやほとんど実話です。

名前や団体名、組織名等は仮名になってます。

読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

赤外線

「おはようございます。」

事務所のドアを開けると、いつも通り佐伯さんが座っているのが見えました。

心なしか表情は暗いけど、いつも通りの風景に少し安心している自分がいます。

周りを見渡すと誰も、おらずチャンスとばかりに話しかけます。

「あれ?まだ誰も来てないの?」

「あ、いや部長と高橋さん来てますけどトイレでもいったんですかね?」

「そうなんだ。で、明日のことなんだけど・・・」

「はい、今日予約しときます」

「あ、あ、そっか。じゃあお願いするよ」

「はい」

「で、・・・」

「?」

「い、いちおうメアドとか聞いていい?」

「いいですよ。朝からなんか合コンみたいですね笑」

「笑」

「じゃあ、赤外線、ポチっ」

営業が終わり、夕方事務所に戻ると佐伯さんはいませんでした。

「あれ?佐伯さんまた定時で上がり?」

「そうですよ。何かありますか?」

「あ、大丈夫です」

会社を出た後、メールしてみます。

「あべです。お疲れ様です。定時で上がったんですね。一応ですけれども明日の予約は大丈夫ですか?」

すぐに返信がありました。

「お疲れ様です。大丈夫ですよ。予約しときました。」

「了解しました。じゃあ、明日はどこで待ち合わせする?」

「どこでも大丈夫ですよ」

「じゃあ、19時にお店の前にしようか」

「わかりました。楽しみにしてますね」

完全に浮かれていました。こういう時の男は単純です。

会社の中では人気のある女性に誘われたという優越感。

もしかしたら・・・。

という下世話な気持ち。

 

気分を良くしながら帰宅します。

いえ、帰宅の途中止めた場所はいつものパチンコ屋の駐車場でした。

その日は、イベントで時差オープンだったらしく台は、ほぼ満席です。

店内をしばらく、ぐるぐる回っていると1台が空きました。

5,000円で一回当たったものの、単発・・・。

その後、飲まれて3,000円、追い金してレギュラーボーナスをはさみながらなんとか3連チャン。

しかしその後は当たらず残りメダルもわずかなところで

「お客様、あと5分で閉店になります」

結局そのメダルも飲まし、マイナス8,000円でフィニッシュ。

せっかく昨日勝った11,000円も、ほぼなくなってしまいました。

先ほどまでの良い気分も全て台無しです・・・。

帰宅し、眠ろうとベッドに入るとメールの着信音が鳴ります。

「明日、早く終わると思うから帰りいくよー」

「ごめん明日、資料とか作んなきゃいけないから帰り遅くなる」

「そっか、じゃあ明日は、やめにする。頑張ってね無理しちゃダメよ」

「わかったよ」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

こんな時、彼女に対して嘘をつくことに何の罪の意識もありませんでした。

もし、この日パチスロで負けなければ、いやパチスロに行かなければ、嘘はついたかもしれませんが、後ろめたい気持ちになったかもしれません。

 

シンパシー

「じゃあ、あべさん。来週契約書持ってきて」

「はい、承知しました。火曜日でよろしいですか?」

「うん、わかりました。では、火曜日今日ぐらいの時間でどうかな?」

「はい。大丈夫です。ではまた来週お願いします」

土屋商事の事務所を出ると時間はもう18時を回っていました。

「こんな時に限って・・・。マジであの人話なげぇよ・・」

これから会社に戻り、帰る支度をして、待ち合わせ場所に向かうと時間は、ぎりぎりです。

「なんで、俺はこういつも、ついてないんだろう・・・」

急いで会社に戻り、事務所のドアを開けると正面には佐伯さんがちょうど帰り支度を始めていました。どうやらギリギリセーフのようです。すれ違いざま、周りを少しだけ見渡し小声でこう言います。

「先に行って待ってますね。」

「う、うん」

急いで店に向かってる途中、信号を待っているとメールの着信音が鳴ります。

「お疲れ様。まさくん、無理しちゃダメよ。頑張ってね」

返信せずに無視しました・・・。

店に近づくと一人で立っている佐伯さんが見えてきます。

「ごめん、ごめん。ほらこの間電話を受けてくれた、土屋商事、時間かかっちゃってさ」

「いえいえ、大丈夫ですよ。」

「予約の時間過ぎちゃったけど大丈夫かな?」

「大丈夫です。さっき店の人に少し遅れるって言っときましたから。」

「そっか、ありがとう。」

「入りましょ」

簡素だけれども、イタリアっぽい雰囲気でとても落ち着いた印象を与えてくれます。明らかにいつも外食をするファミレスとは雰囲気が違いました。

背後に並ぶワインが、さらなるプレッシャーを与えます。

(ヤバっ、高そうだな・・・大丈夫かな)

「いらっしゃいませ。後ほど注文お伺いに参ります。」

「は、はい」

「あべさんどうします?」

「あ、うん。この間のフリーペーパーに載ってたハンバーグは?」

「きっと、このディナーコースってやつだと思いますけど」

「じゃあ、それにしようよ(ハンバーグに3,240円ってまじかよ・・・)」

「はい、いいですよ」

外食でハンバーグを食べる時は、びっくりドンキーのレギュラーバーグディッシュしか頼んだことがなかった私は、その値段にひるんでしまいました。

サンドに一万円札を投入するのは躊躇なく、いくらでもするのに・・・。

「すいません。誘って。大丈夫でした?」

「いやいや全然。びっくりしたけど笑」

「ですよね笑。会社でもほとんど話したことなかったし」

「だよね。佐伯さん会社入ってどのぐらいだっけ?」

「う~ん、一年ちょっとじゃなかったかな?」

「そっか、一年位か」

「はい、確かそのくらいです。」

「そっか、で、何かあったの?会社でいじめられてるとか、パワハラとか・・・相談?」

「いえいえ、そんなんじゃないです。」

「あ、そう・・・」

「あべさんと、ゆっくり話してみたかったんですよ。会社だとほとんど会わないし。」

(あれ?佐伯さんやっぱ俺に気があるのかな・・・?)

「だ、だよね。俺戻ってきたら、佐伯さん、上がってること多いもんね」

「そうですよー。やっと念願叶ったんですから」

「えっ!」

「・・・。」

「・・・。」

「あべさん、なんか目が、きもいです・・・」

「き、きもいっ??・・・うそっ・・・」

「笑、うそですよっ」

「なんだよ笑」

たわいもない話で時間が過ぎていきました。ほとんどが会社のこと仕事のこと・・・。

お互いのプライベートなことには、ほとんど触れませんでしたが、あっというまに食事の時間は過ぎていきました。

久々に、会話を楽しんだ気がしました。ほとんど話したことがない女性と、お互いのことがわからないところから、少しずつ相手のことを知り、少しだけわかり、そして楽しむ。

パチンコ・パチスロばかりだった、私にいつもとは違った気持ちを思い出させてくれました。

ただ、触れてはいけないようなシンパシーを感じます。

お互いそれに気づいていたけれども、そこには絶対触れない感じ・・・。

 

「そろそろ行きます?」

「うん、そうだね。この後どうしようか?」

「どうでもいいですよ。あべさんは時間、大丈夫ですか?」

「あ、オレは大丈夫だよ。佐伯さんは?」

「私も大丈夫ですよ」

「じゃあ適当に、車で走りながら、また話ししようよ」

「はいわかりました」

町から離れ、山に向かって車を走らせます。

峠の頂上の近くにある造園所の広い駐車場に車を止めました。

「どう?なかなか、きれいでしょ?」

そこは街並みを見下ろす場所で夜景が綺麗に見えるところでした。

この時、私に下心が全くなかったかというとそれは嘘になります。

「すごい。こんなところあるの知らなかった」

「でしょ?」

「うん。きれい」

「おれね、ストレス溜まってくると一人でここに来るんだ、なんか落ち着くんだよね。」

「へぇ、そうなんですか。でもここ一人で来るところじゃないですよ」

「そうかな、なんで?」

「きっと、カップルで来たり、女の人を口説くのに来るところですよ」

「ま、まあね・・・」

 

「わたし、今月いっぱいで会社辞めるんですよ」

「え、えっなに急に!今月いっぱい?」

「はい、あべさんとは、もっと早くにいろんな話をしたかった。ちょっぴりしっぱい・・・」

「今月いっぱいって、あと2週間もないじゃん」

「はい、正確には有給使うんで会社に来るのは3日間です」

「まじかよっ。もっと早く・・・」

「ごめんなさい。でもこうして話しできたこと、とても良かったです。楽しかった」

「そっか・・・」

ここからしばらく無言の時間が流れます。なぜ会社を辞めるのか、本当はもっと言いたいことがあるんじゃないのか、いろいろ聞きたいことはありましたか、聞いてはいけないような気がしてやめにしました。

 

「私ね・・・」

「うん」

「夜景を見ると、あかりの点いている家が、みんな幸せなんだろうなって思うの」

「佐伯さんは幸せじゃないの?」

「わからない・・・。でも、明かりのついている家は、私よりは幸せだって思うわ」

先ほどの楽しかった時間とは打って変わり、佐伯さんは明らかに寂しい顔をしていました。こんな時、気の利いた言葉をかけてあげられるほど、私には気持ちの大きさも、ボキャブラリーもありません。ましてや心の隙間につけ込み、口説く勇気も持っていませんでした。人からお金を借りる時、平気でウソをつく理不尽さはありましたが・・・。

帰り道、峠を下りながら先ほどのように話をしました。そこで佐伯さんは、留学する夢があること、今はいろいろあって留学はできないけれども、近いうちお金を貯めて出発する予定があること、そのための退社だということ。

「そっか、夢か・・・なんかいいね」

「誰にも言ってないんですよ。あべさんだけ、特別です」

「特別か。なんかありがとう。会社やめた後もメールするよ」

「はい、私もメールします。」

「あ、△□○駅の近くだっけ家?」

「そうですよ・・・・」

「OK!」

「いくじなし」

「えっ!?何?」

「なんでもないですよ笑」

 

その4日後から朝、事務所のドアを開けると、真正面に見える、その机には誰も座っていません。ぽっかりと空いたその空間が、少しだけ寂しく揺らいでいます。

その後、佐伯さんはメールアドレスも電話番号も変えたため、連絡をととることはありませんでした。しかし4ヶ月後、意外な場所で再会します。

触れてはいけない、シンパシーの正体を、意外な場所で再会し、知ることになるのです。

 

以上14話終了になります。

今回の話はあまり、パチンコ・パチスロ依存症とは関係ありませんでしたが、サンドに一万円札は平気で何枚も入れるのに、3,240円を高いと感じて、ひるんでしまうところは、パチンコ・パチスロ依存症の人の中には分かってくれる人はいるんではないでしょうか?この辺りの金銭感覚がパチンコ・パチスロ依存症の怖いところでもあります。

よ~く、考えてみれば、今日食べたハンバーグは闇金から借金して食べたハンバーグです・・・。

まだまだ続きます。

15話↓

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