パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-15

投稿日:2018年3月8日 更新日:

 

佐伯さんとの食事も終わり、給料日まではあとわずか。

しかし今月の給料日は、彼女に借りた3万円、でん助に借りた75,000円、そして闇金融には利息を合わせると、30,000円返さなければいけません。

その他消費者金融への支払いや、家賃など生活費を諸々考えると、給料では足りない計算になってしまいます・・・。

 

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。

いやほとんど実話です。

名前や団体名、組織名等は仮名になってます。

読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

 

虚構のプライド

 

「おはようございます」

事務所のドアを開けて、ぽっかり空いた正面の机にも慣れてきたころ、いつも気になっていた佐伯さんのことも、少しずつその姿が頭の片隅に追いやられていきました。

「兄貴!おはようございます!」

「お、おはよう。洋平か・・・つーか、兄貴ってなんだよ。お前だけだぞ、俺のこと兄貴って呼ぶの」

「まあまあ、いいじゃないすか。で、兄貴、聞きました?来月の新規開拓での出張のこと?」

「出張?知らん、何だそれ」

「あぁ、マジすか。なんか来月、うちの営業所から4人、地方に3週間出張して新規開拓するらしいんですけど、俺と小渕さんはもう決まってて、あとふたりは決まってなかったんですけど、二人一組でウィークリーマンション借りて攻めてくみたいで、部長が誰と組みたい?って聞かれたから、俺、兄貴と組みたいって言っときました」

「お、おう。わかったよ」

「兄貴、部長から言われても断らないでくださいよ。」

「わかったよ。洋平と一緒なら楽しそうだな」

「それはそうと、久々に打ちに行きませんか?」

洋平が、親指でスロットのボタンを押す仕草をします。

「そうだな、洋平とはしばらく行ってないもんな。わかったよ。じゃあ今日の帰り行こうぜ」

財布には、9,000円しかありません。いや、9,000円残っています。闇金から2万円を借り、佐伯さんと食事に行った後、今までの自分ならば、会社の帰りは自然とパチンコ屋に車を止めたはずです。だけど佐伯さんとの食事の後、なぜかパチンコ屋に行く気になれませんでした。佐伯さんが会社を辞めた後、朝、ぽっかりと空いた佐伯さんの机を見るたび、心に何か引っかかり、その正体がわからず、モヤモヤした気持ちのままでいると自然とパチンコ屋には足が向きませんでした。そしてそのモヤモヤが消えかかった頃、洋平に誘われると今まで通りに、パチンコ・パチスロへの衝動が、いつも通りに体を駆け巡りました。

洋平は三つ年下の後輩で、普段はふざけた感じでいるけれど、根は真面目でとてもいいやつでした。自分のように、パチンコ・パチスロにおぼれるわけでもなく、たまに打つ程度で今回、私を誘ったのもパチンコ・パチスロを打ちたかったわけではなく、私とコミュニケーション取りたかったからだと思います。なぜ洋平が私のことを慕っていたのかは、今思い返してみても、正直わかりません。

「お疲れでーす。それじゃ兄貴、行きますかっ!」

「おう」

「どうします?ノリ打ちにします?」

「いや、普通に打つべ」

「りょうかいでーす」

「兄貴、何打つんッスカ?」

「キンパルでも打つわ。洋平は?」

「オレ、北斗行きます」

打つまでは、モヤモヤが少し残っていましたが、コインサンドにお金を入れた瞬間、そのモヤモヤはパッと消えてなくなりました。一瞬消えかかった、パチンコ・パチスロ依存症の症状が再発動です。

「お客様、あと5分で閉店です」

この時、下皿にコインはわずかしか残っていませんでした。9,000円・・・負けです。

給料日まであと二日、所持金はわずかに残った小銭だけになりました。

洋平を探しに行くと、カウンターに並んでいるのが見えます。

「兄貴どうだったんすか?」

「15,000円負けたわ。洋平は?」

9000円の負けなのに15000円の負けと嘘をつきます。

「オレ、18,000円プラスです。兄貴やっぱ今日ノリ打ちって事にしましょうか?」

「いや、いいよ。いいんだけど、2,000円貸してくんねえか?給料日に返すわ」

「全然いいっすよ。飯食っていきましょうよ。オレおごります」

「おう、悪いな」

慕ってくれる後輩に対して、わずかに残ったプライドでこう返しましたが、内心は少し後悔していました。こんな意味のないプライドがさらにパチンコ・パチスロ依存症を加速させたのかもしれません。

 

 

憂鬱な給料日

 

いつもの通り営業を回っていると、携帯のメール着信音が鳴ります。

「今日、終わるの早いから帰り行くね」

彼女には3万円返さなければいけません。

「でん助にも金返さなきゃな・・・」

さっき降ろした給料も、消費者金融への支払いを済ませて、この後のことを考えるとあっという間に無くなってしまいます。

毎月、手元から、どんどんお金がなくなっていくのが、とてつもなく嫌でした。

この時一瞬、でん助にお金を返さず、パチンコで増やしてから・・・。と頭をよぎりますが、同時に闇金への恐怖が頭をよぎりそれを思い止めました。しかも今日は彼女が来るので、帰りにパチンコ屋に寄ることはできません。もしかすると今日彼女が来なかったら、何も考えずに、そうしていたかもしれません。

でん助と会社の帰りに待ち合わせをしお金を返しました。

「でん助、これ、マジ助かったわ」

「いえ、お役に立てて嬉しいです。ジュリーのことがあったから、いつか返さなきゃと思ってましたから」

「・・あぁ全然いいんだ」

「正直、あべさんお金返してくれなかったら、この金、車検の金だったんでやばかったんです。でもよかった」

「なんかほんと悪かったな」

「いえ、全然いいです。それよりやばいところからお金借りるのはまずいっすよ。なんかいろんな噂、聞きますし」

「あぁ、大丈夫だよ。お前のおかげで解決したし」

「それならいいんですけど・・・」

「じゃあまた、今日ちょっと野暮用があるからよ。今度飯でも食いに行こうぜ」

「はい。じゃあまた」

 

 

家に帰ると、すでに彼女がキッチンに立っていました。

「おかえりー」

「ただいま」

「今日はね魚、焼いてるの。もぉちょっとで焼けるからね!おなかすいたでしょ?あ!?そ・れ・と・も・・・(笑)」

「・・・・」

「・・・な、なによ」

「きゃぁっ、マジっマジ、だめよ、ちょっと、魚こげるし」

「かんけいねーっ」

「きゃっダメっ」

「うそだよ~笑」

「なによ、もぉ」

「マジになってやんの笑」

「ざんねんでしたーっ。今日は生理ですぅ。できませーーんっ」

「・・・マジか・・・。」

「次に来たときね笑」

こんな時、私は餌を前にして「待てっ」をされている子犬のようです・・・。

「魚、おいしいね」

「うん、あ、これ3万円」

「あ、うん」

「それと、たぶん来週くらいに、出張になるわ3週間くらい」

「マジっ、いつ?」

「まだわかんないけど、明日会社に行ったらわかるんじゃないかな」

「わかった。日程決まったら教えて」

「うん」

こんな時、彼女は寂しい素振りは見せません。だけど横で眠る彼女の体からはしっかりとその寂しさは伝わってきています。そんな気持ちに、気づいてはいたけどそれを受け止めてあげられる器も勇気もない自分に嫌気がさすのが怖くて気づかないふりをしていました。

 

 

翌日、会社に着くなり部長に呼び出されます。

「あべ君、来週から新規獲得で○△市に3週間ほど出張行って欲しいんだけど」

「はい。下田洋平から内容は聞いていました。了解です」

「そうか、それじゃあ、話は早いね。よろしく頼む」

「わかりました」

会社を出ると、携帯の着信音が鳴ります。

「もしもし」

「地獄金融です」

「あ、はいどうも」

「明日、返済日だけど何時にこれるの?」

「はい、昼くらいに、13時までは行けると思います」

「そう、それじゃまってます」

残っているお金は、46,000円、今月はまだ家賃も携帯代も電気代も水道代も払っていません。闇金融に30,000円返済すると、残り16,000円、そうすると生活費や他の支払いがまだ残っていて到底足りません。しかも来週から出張です。3週間ともなると食事代など考えて最低でも3万円は必要になります。

この時点で、もうアウトです。しかし私はこう考えます。闇金融はとりあえずジャンプして、利息文の10,000円を支払おう。残り36,000円で出張までの四日間。軍資金36,000円で四日間あればなんとかなる。勝負だ。多く勝てば闇金も完済して、余裕があれば、ほかの支払いをしよう。

家賃とか、諸々の支払いはとりあえずあとだ。

 

 

翌日、闇金融の事務所のドアを開けます。

「すいません。あべです」

「あ、あべさん。どうぞ」

「すいません、今回ジャンプでいいですか」

「いいよ。じゃあ10,000円」

「はい」

「確かに10,000円。じゃあ次の返済日は7日な」

「はいわかりました。」

事務所のドアを閉め階段を降りて行きます。この階段を降りるたびに、後悔と恐怖が全身を駆け巡ります。もう二度と普通には戻れない事に薄々気づいていました。だけどその気持ちをかき消すように根拠のない希望を思い描きます。

車を走らせ、いつもの場所に車を止めます。もう後がないことにも少しずつ慣れてきました。絶対に負けられない、そして勝てる根拠はどこにもなく、勝てる見込みがとてつもなく低い戦いに挑みます。何の価値もない、挑まなくても良い戦いに。

 

 

この時私はただ、パチンコ・パチスロを打ちたかっただけです。

 

 

 

 

以上15話終了になります。

徐々に、本当の地獄が近づいてきました。闇金融をジャンプした時点で、もう後には戻れません。パチンコ・パチスロ依存症の怖いところは、普通に考えればこのような行動をとらないところも、パチンコ・パチスロが全てのことに対して優先されてしまうため、後のリスクを考えることができなくなってしまうことです。私は幸運にも?最初の時点で闇金融の怖さを身にしみてわかっていたはずでした。それでもパチンコ・パチスロを打つことを選択してしまいます。この時点でも止めるチャンスはいくつもありました。それなのに・・・。

闇金融への恐怖心もこの後、徐々に麻痺していくのです。

 

まだまだ続きます。

 

 

 

 

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