パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-109

投稿日:2020年8月16日 更新日:

佐々木さんとの関係を終わらせることができず、”罪の意識”と共存する事を決意しました。闇金の借金に追われて苦しんでいた日などなかったようです。

今はただ、自分の気持ちを満足させることに身を委ねるだけです。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい

アップルミントキャンディ

久しぶりに佐々木さんと体を合わせ、満足していました。

攻撃本能を根こそぎ満たす感覚。

今、どんなことが起こっても、怒る気にはならないでしょう。

また、パチンコ・パチスロ台が目の前にあっても打つ気にはならないでしょう。

心の底から満足できる性行為には、無意味な怒りを静める力がありました。

というよりも、男が敵に向かわせる攻撃本能と子孫を残そうとする本能を司る部分は同じなのかもしれません。

佐々木さんを家まで送るために、車を走らせます。

いつもは、会話が途切れないように気を使い、何かしらの話題を口にしていましたが、お互い無口でした。

お互いの思惑がピッタリをあった時には、会話などいらないかもしれません。

佐々木さんも十分に満足しているのか、家の近くに着くまで話しかけてきませんでした。

ゆったりと余韻に浸る雰囲気が漂っています。

「またね」

「うん、また近いうちに誘うから」

「わかったわ、楽しみに待ってる」

助手席のドアを開ける前に、佐々木さんの方から顔を近づけてきます。

半開きの唇を合わせ優しく舌を絡ませながら、舐めている林檎味のキャンディを舌で押し込んできました。

「家に帰るまで、かじっちゃダメよ。家に着くまでゆっくり舐めてて」

「うん」

「じゃぁね」

「うん」

さっきまで私の口の中にあって、噛み砕かれたミントキャンディの味が僅かに残っていたので、ゆっくりとなめた林檎味のキャンディが、”アップルミント”に変わっていきます。

アップルミントキャンディは、徐々にミントの味がなくなっていき、部屋に着いて音を立てないようにゆっくりとカギを回す時に口の中から消えていました。

部屋に入り、薄暗い中ベッドで寝ているミィを確認します。

スヤスヤ眠る彼女を確認すると、いつもの自分に戻った気がして、少し怖くなりました。

急いでシャワーを浴び、封を開けたばかりのボディシャンプーを多めにスポンジに付けて全身を洗います。

バイトの後は、腐敗した油や食品の臭いを落とすのに必死だったのが、今日は浮気の痕跡を残さないために必死で体をこすっています。

少しだけ罪の意識がよみがえってきましたが、口の中に広がる人工的な林檎の風味が、歯磨き粉のミント味に変わった時、罪悪感は消えていました。

いつものように狭いシングルベッドの空いているスペースに体をもぐりこませ眠りに付きます。

「あ、まさくん・・・おつかれさま」

「うん、ありがと。おやすみ・・・」

ベッドに入った瞬間、彼女は寝ぼけながら目を覚ましましたが、またすぐに深い眠りに入っていきました。

気がつくと私も深い眠りに入っていきます。

いつもはピッタリとつけていた右肩と彼女の左肩の間に少しだけ隙間が空いていました。

油断

翌朝、雪が降り道が渋滞したため、ギリギリで会社に到着します。

タイムカードを押した時間は、始業時間1分前。

急いで自分の席に向かう途中、何となく不穏な空気を感じました。

席に付き営業の準備をしていると、他の社員がぞくぞくと席を立ちます。

すっかり忘れていましたが、今日は月に一度ある、全体ミーティングの日です。

気がつくと事務所の端にあるスペースに全員並んで立っていました。

私も急いでその中に加わります。

少しして剣崎課長が、こちらに向かって立ち、ミーティングが始まりました。

険しい表情を見て、「こりゃぁ、数字悪いなぁ・・・。いつもより長くなりそうだ・・・」と思い、少し憂鬱になります。

話の内容は、やはり売上のことでした。

特にこの時代、営業会社では「パワハラ上等」ような雰囲気があり、私が勤めていた会社も例外ではありませんでした。

その矛先はやはり、営業社員に向いてきます。

こんな時、いつもはある程度の成績を残していた私は、気になりませんでしたが、今回ばかりは違いました。

ここ最近、今までにないほど数字を残せていません。

会社にいる時には、いつも気を使って私に話しかけてくれていた剣崎課長も最近はほとんど話しかけてくれなくなっていました。

営業は、結果が全てです。

他の営業社員も同じ気持ちでしたでしょうが、「さすがにヤバイな・・・」と気を引き締めました。

しかし、ついこの間までとは違い、幸いにお金の心配もある程度なくなり、住む場所の心配もなくなったので営業に集中できる環境は整っています。

私は気合を入れなおしました。

「よっしゃ、オレが本気だせば大丈夫よ」

しばらくは仕事に集中しようと覚悟を決めます。

険しい表情のまま剣崎課長が戻り、ミーティングが終わると一斉に営業社員が事務所を出ました。

私も鞄に資料やパンフを詰め込み、席を立ちます。

私は、デキる男です。

まともに動けば、数字をあげることぐらいたやすいことでしょう。

車に乗り込み、エンジンをかけると、メールの着信音がなります。

「剣崎課長、久しぶりに機嫌悪かったわね。今も事務所、雰囲気悪いわ。いってらっしゃい。がんばってね。」

佐々木さんからでした。

一瞬、吸い付くような湿った肌や、綺麗な曲線を描く体が頭に浮かび、アップルミントの味がよみがえってきましたが、無理やり掻き消し営業に集中します。

迷いはありません。

というよりも、少し余裕が出てきたのかもしれません。

ある程度、自分が思い描いている生活を送れているのです。

消費者金融などの借金を返しているため、給料のほとんどが支払いで消えてしまいますが、闇金に追われることなく、食事の心配もすることなく、暖かい部屋で眠ることができ、ミィの優しさに包まれ、色欲を満たす佐々木さんとの関係があります。

それに、少し前にはパチンコ・パチスロで大勝利も収めているのです。

私はもっともっと、デキる男になり、そして求める快楽を得られる男になると思っていました。

今ある借金など近いうちになくなり、もっと幸せな日々を送ることができるでしょう。

午前が終わり、昼食をとるためスーパーの広い駐車場に車を停めます。

営業が終わった後も、今月は絶対に数字を上げる気になった私は、ミィにメールをします。

「ごめん。今日は仕事、遅くなるから、先に帰ってて」

彼女も昼で休憩だったのか、すぐに返信があります。

「わかったよ。昨日バイトであまり寝てないんだから無理しないでよ。居眠りしないように車気をつけてね」

やはり、湧き上がる罪悪感を感じながら、ミィの優しさと愛情に浸りながら、おにぎりを口に押し込み、10分で昼食を済ますとすぐに営業先に向かいました。

夕方まで、きっちりと営業を回った私は、久しぶりに手ごたえを感じます。

途中、闇金の営業電話や早く日が暮れて薄暗くなった向こうに見えるネオンが見えましたが、気にすることはありませんでした。

「よしっ、いけそうな会社、何件かあるな。会社戻ってから見積もり作るか!」

あれほど、毎日考えていて私を苦しめたパチンコ・パチスロをヤメることができそうな気がしました。

パチンコ・パチスロがなくても、借金はなくなるし、ミィとの幸せな日々は送れるし、佐々木さんとの関係は続いていくでしょう。

人生は自分で切り開くものです。

結果、この後しばらくはパチンコ・パチスロにも行かず、仕事に集中する日々が続いていきます。

しかし、私はわかっていません

ミィとの愛情あふれた幸せな日々も、佐々木さんとの濃厚な夜も永遠ではなく、人生が変わったわけでも、パチンコ・パチスロに行かなくなったわけでもないのです。

愛情はいつか形を変え、濃厚な夜は思ってもいない形で結末を向かえ、自分が意図しない方向に人生は向い、そしてパチンコ・パチスロには”行けなくなった”だけです。

キーボードを叩く音がリズムを失い、疲れを感じた私は背伸びをし、時計を見ました。

気がつくと22時が過ぎています。

パソコンをログオフし、黒く変わったモニターを見つめると、少しだけ不安と恐怖がくすぶっているのを感じます。

ネガティブな予感が、頭に浮かびそうになりましたが気にせずタイムカードを押し、会社を出ました。

エレベーターのドアが閉まる瞬間、人の気配を感じますが誰もいません。

出口の向かって歩いていると寒気がして同時に遠くの方から、男の低い声が聞こえてきた気がしました。

「逃げられると思ってんの?」

 

109話終了です。

もう少し続きます。

110話↓

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