パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-111

投稿日:2020年8月30日 更新日:

思いがけない佐々木さんからの一言。衝撃の告白に言葉を失います。頭が真っ白になり何も頭に浮かびませんでした。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

新たな闇

私ね、もうすぐ結婚するの。だからもう、これでおしまい

「・・・」

今、佐々木さんが発した言葉は、”異物”として私の耳から体に入ってきました。

私の頭の中は、混乱します。

「いきなりでごめんなさい。でも、あべさんと一緒の時間、凄く楽しかった。でも、もう会えない」

「う、うん・・・。おめでとう。おれも楽しかったよ・・・」

衝撃的すぎて、感情が上手く沸いてきませんでした。

とりあえず、”結婚”という言葉に返すのは「おめでとう」しか浮かびません。それ以上は言葉も思考も上手くまとまらなかったのです。

「でも、良かった。あべさん、しばらく連絡くれなかったから、もう会えないかもしれないと思ってたから。最後にこうして会うことができてよかったわ」

感情の整理もつかず、思考も追いつかない頭の中でしたが、少しずつ今の状況が飲み込めてきました。

「い、いやっ!あのっ・・・、っていうか、結婚っ!?し、知らなかったよ!聞いてないよ!」

「うん。ごめんなさい。だって言ってないもの。知らなくてもしょうがないわ」

「い、いや、オレ、イヤだよ。これからも佐々木さんと・・・」

「ごめん・・・。ホント、ごめん・・・。わかって!、今日で最後よ」

「きゅ、急すぎるよ。マジで!」

私は意味がわかりませんでした。

結婚を決めるような男性がいるのに、私とも関係を続け、結婚が決まったからという理由で一方的に関係を遮断されたのです。

心がズンっと重くなり、喪失感に全身が包まれます。

そして何よりも「あなたはもう用ナシよ」と言われている気がして、プライドを保てなくなりました。

今度は頭の中にグルグルと言葉が浮かんできます。

”相手はどんな人?”

”ホントにもう会えないの?”

”オレとどっちが満足できるんだ?”

”そいつじゃなくてオレと付き合おうと思わなかったの?”

”て、いうか付き合ってるんじゃなかったの?”

”ネコのタトゥーの場所は、痛まないの?”

”もう、オレとセックスしてくれないの?”

無数にうごめく言葉が、どれ一つとして口に出ませんでした。

お互い一言も発しないまま時間だけが過ぎていきます。

”こんな時どうすればいいんだろう?なんて言葉を発すればいいんだろう?”

これまで経験したことのない驚きは、どのような言葉も行動も、私の脳は答えをだせません。

私は、今起こっていることを自分のことだと思わないようにすることで、ようやくいつもの自分に戻れるような気がします。

感情と脳を切り離すことで、ようやく言葉が口から出てきました。

「い、いつ・・・結婚するの・・・?」

「あ、うん。来年の4月よ」

「もう・・・半年もない・・・ね」

「これから色々準備とか忙しい・・・。」

「・・・。会社辞めるの?」

「うん。辞める。相手が辞めてほしいって言うから・・・」

「寂しい・・・な」

「うん。でも、あべさん、ほとんど会社で私のこと見ないじゃない笑」

「そんなことないよ・・・。っていうか、その人じゃなくてオレと結婚しない?」

自分でもビックリしましたが、最後に精一杯の、悪あがきのセリフが口から出てきます。

「うふふ、ありがと。最後にプロポーズね笑。でも、あべさんその気無いでしょ」

「・・・」

「あべさん、とっても良かったわ」

「あ、いや、うん、ていうか・・じゃあ、このまま続けても・・・」

「ダメよ。私、浮気はしない主義なの」

「えっ?これは、浮気じゃないのかよ・・・だって、今の相手の人と・・・」

「ウフフ。違う笑」

こうして、佐々木さんとの関係は、終わりを迎えました。

この後、佐々木さんからメールが来ることも無くなり、営業から戻ってきた時に、付箋付きの缶コーヒーも引き出しに入っていることはありません。

会社で目があっても、これまでのことが無かったような表情で私を見るだけでした。

一方の私は、日に々喪失感が膨らみ、やがてその感情が嫉妬や怒りになり、またすぐに喪失感になり、やり場のない気持ちをもてあましていました。

”ほんとうは、オレが借金まみれでいることを見抜いていたんじゃないだろうか?”

”ほんとうは、デキる男ではないことが見抜かれたのではないだろうか?”

”パチンコ・パチスロで闇金に追われていたのがバレたのか?”

”汚い、バイトをしているのがわかって、おれのことがイヤになってしまったのだろうか?”

おそらく、どれも違うでしょう。

佐々木さんが私との関係を絶ち、結婚を決めた理由ではないはずです。

”オレよりカッコイイ奴なんだろうか?”

”そいつは、佐々木さんのネコのタトゥーの場所の痛みを消せるのだろうか?”

”ほんとうは、オレとのセックスじゃなくてそいつの方が気持ち良いからじゃないだろうか?”

”佐々木さんの息を飲むような、綺麗で淫靡な体は、ずっとそいつのものだろう・・・”

私のいつも必死に保っているプライドは跡形もなく崩れていき、嫉妬を怒りでどうして良いかわからなくなっていきます。

おそらく、私の全ての考えは、どうしようもない妄想で、意味のないものでしょう。

確かなことは、私はこの時、攻撃本能の全てを満たしてきた佐々木さんを失い、怒りや苦しみ、そして経験したことが無い種類の喪失感を感じて、あらたな闇を生み出したということです。

そして、そのことに気付いていませんでした。

毎日同じように時間が過ぎていきます。

同じ会社、営業の仕事、週に3日のバイト、暖かい部屋と食事とミィ。

佐々木さんとの関係が終わった後も、それ以外のことは当たり前に過ぎていきます。

以前のように闇金に苦しむこともありません。

しかし、ぽっかりと空いた気持ちと、重たい気持ちを引きずっていました。

せめて、ミィの前だけは変わらず、いつもの自分を演じ続けることは精一杯続けています。

営業にも身が入らず、せっかく復活しつつあった成績も下降気味。

佐々木さんと体を合わせた時に感じた、心の底から漲る本能の息吹を失っていました。

これを何かで埋めなければいけない。

危機感にも似た気持ちが沸いてきましたが、ヤル気はでません。

何よりも大きいのは、自分の思い込みで自信を大きく失っていたことです。

”自分の方が優れていれば、佐々木さんは、結婚を選ばなかっただろう”

どんな相手かも、全くわからないまま、勝手に自分の方が劣っていると感じてしまいます。

あるサルの種族は、ボスザルの交代があった時、前のボスザルの子供を、母ザルの目の前で殺し、それを見たメスザルは、その光景を見て新しいボスザルに発情するのです。

戦いに敗れた前のボスザルは、群れにも入れず、ひっそりと死んでいきます。

そうして、弱いものが淘汰され強い種が引き継がれていく。

種の保存として、恐ろしく残酷で合理的なシステムを、昔DVDか何かで見たことを思い出し、頭の中にフラッシュバックして、苦しくなりました。

もし、「自分の方が強かったら」「自分の方がお金持ちだったら」「自分の方がセックスが上手かったら」・・・。

勝手に佐々木さんの結婚相手のことを想像し、全て負けている気分になって自分のことが情けなくなります。

もし、全ての面で自分の方が優れていたら、私との関係は維持されたままだったでしょう。

戦いに敗れた、前のボスザルは、傷だらけで汚く、群れに入ることを許されず、発情期が来てもメスザルに相手にされません。

傷だらけのサルが自分と重なるような気がして、怖くなります。

そして、一生懸命に演じていた「デキる男」のメッキがはがれていくのを感じました。

今まで、薄々感じてはいましたが、今回のことで否応なしに現実を突きつけられます。

私はデキる男ではありませんでした。

営業の途中でしたが、コンビニの駐車場に車を停め、一息つきます。

缶コーヒーを飲みながら、タバコの煙を吐き出すと、頭の中に裸の佐々木さんが浮かんできました。

頭の中にいる佐々木さんは、私と視線を合わせてくれません。

気がつくと、ガタイの良いプロレスラーのような体の男が、佐々木さんに覆いかぶさっていました。

その動きは、私よりも力強く、時には軽々と佐々木さんを持ち上げ、そのまま何分も腰を動かしています。

行為は私と比べて段違いに時間が長く、男が1度イクまでに、佐々木さんは何度もイっていました。

私は負けて傷だらけのボスザルのように部屋の隅で、ジっとその光景を見つめることしか出来ません・・・。

なんど振り払ってもその光景がこびりついて頭から離れず、気が狂いそうになりました。

脱力感が抜けないまま、会社に戻り終了業務を手短に済ましタイムカードを押します。

会社を出ると、すぐにミィへメールしました。

「ゴメン、今日残業になった。直接バイト行くから先に帰ってて」

すぐに返信がきます。

「はいは~い。りょうか~い!」

いつもと変わらないミィのメールで少しだけ気持ちが癒えた気がします。

だけど私はすぐに携帯電話を閉じ、何も感じないようにしました。

ミィに対して罪の意識があったからです。

私は感じている感情すら素直に受け止めることができません。

車を無意識に走らせます。

風俗が立ち並ぶビルの近くの駐車場に車を停めました。

たくさんの客引きを無視して、まだ洋平と出会ったばかりの頃に一度だけ立ち寄ったヘルスに入ります。

「いらっしゃいませ。ご指名は?」

「別に・・・。一番、早い子で・・・」

1万5千円を払い、待合室に通されると10分もしない内に呼ばれました。

目の前に立つその風俗嬢はガリガリに痩せていて、腕には無数の傷跡が見えます。

「お客さん、仕事帰り?」

「ま、まぁ・・・」

シャワーを浴び終えると、すぐにプレイが始まりました。

「シックスナインします?」

頭の中が空っぽで、上の空の私は、何と言われたかもわからず、とりあえず「はい」と返事をしました。

目の前に貧祖でカサカサなサメ肌の尻を向けらられます。

無意識で舐めていると、私はなぜここに来てしまったのかわからず、後悔して情けなくなりました。

だけど、こんな時でも男は恐悲しいほどに単純です。

ケロイド状になった、無数にある腕の傷跡を指で撫でながら果てました。

店を出て歩いていると、さらに沈んだ気持ちが大きくなります。

車に乗り込みエンジンをかけると、すぐに”ある場所”に向かってアクセルを踏みました。

赤や黄や緑や青の光りがキラキラしている、ザーッという雑音が響くその場所が、隙間だらけになった私の心と体を満たしてくれるはずです。

夜空には、少しだけ黒い雲のかかった満月が光り、私の中にある危機感を刺激します。

しかし、それよりも強い何かが、私を支配していました。

 

111話終了です。

 

もう少し続きます。

112話↓

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