パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-113

投稿日:2020年9月13日 更新日:

平穏な暮らしの中、また始まったパチンコ・パチスロ。

あっさりと溶けていった財布の中を見て、無意識にとった行動は、新たな地獄への扉を開くことでした。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

漆黒

画面に表示された、借入可能残高の数字を見て、奇妙な感覚と罪の意識のせめぎ合いで頭の中がいっぱいになります。

とてつもない、不快感と脱力感が全身を支配しました。

私はガマンできなくなり、無理やり罪悪感だけを無視し、どうにかバランスをとろうと試みます。

だけど、脱力感も奇妙な違和感も消すことができません。

しかし、気がつくと画面の数字をタッチしていました。

”借入”

”2・万・4・千・円”

いつの間にか増えている限度額を除いて、引き出します。

つまり、自分で返した元金を改めて引き出した形です。

「勝って、引き出した分、また返せばいいんだっ!」

罪悪感を無理やり変換して、自分を正当化します。

絶対にやってはいけないと自分ではわかっていますが、止めることは出来ません。

ましてやこのカードは、”ミィ”のカードです。

私の借金ではありません。

ミィが私の荒んだ生活が普通に戻るように、託して私を信用したものです。

私はそれを裏切りました。

そして、それがどれだけ重たい、大切なことだと気付かずにいます。

ATMを離れ車に乗り込み、改めて財布の中身を確認しました。

2万7千円。

エンジンをかけた瞬間から、違和感や罪悪感は消えてなくなっています。

あるのは、自分を満たす期待感と偽物の安心感だけです。

ホールに到着後、久しぶりに興奮を覚えます。

もう、パチンコ・パチスロのことしか頭にありません。

雑音や甲高い音が響きわたる入り口のドアが開いた時、なんともいえない緊張感と快楽への期待でいっぱいになります。

じっくりと店内を歩き、台を吟味し、台に座ります。

夢中でコインを入れ、レバーを叩き、ストップボタンを押していきます。

なんとも言えない、時間が流れていきました。

心の闇に潜む地獄への使者が、じっと見つめているのにも気付かずに・・・。

大当たりやハマリを繰り返しながら、時間は過ぎていきました・・・。

「お客様、閉店5分前です」

「・・・」

ネオンが少しずつ消えていき、広い駐車場に止まる車がまばらになる中、トボトボ車に向かって歩いていきます。

車に乗り込み、呆然とし、ため息をつきながら財布の小銭を確認します。

382円。

札は、1枚もありません。

全てサンドに飲み込まれていきました。

パチンコ・パチスロを打ってしまった後悔とホールに対しての怒り、自分への情けなさ、色々なものが渦巻き、私の身体は少しずつ闇に染まっていきます。

フロントガラスから空を見上げると、綺麗な星がまばらに見え、丸い月が暗闇を照らしています。

私の中に光はありませんでした。

バイトが終わる予定の午前三時まで、大型のレンタルビデオ屋の駐車場で時間をつぶします。

少し眠ろうと思いましたが、眠ることができません。

頭の中は後悔や悔しさ、憎しみでいっぱいになっています。

結局帰る時間までボーッと過ごしただけです。

時計が2時50分を指しているのを確認して家路に向かいました。

駐車場につくと、昼間に降った雪が積もっています。

屋根が無い青空駐車場のため、少し除雪をしなければ、車を止められない状態でした。

「くそっ!なんで雪降るんだよっ!メンドクセェ!!」

20分ほど除雪をし、やっとのことで車を止めると部屋に向かいます。

少しだけ顔を覗かせる罪の意識を無理やり押し込むと、改めて自分の中に生まれた闇が色濃くなってきました。

部屋に入ると、ミィはゆっくりとした寝息を立てています。

すぐにシャワーを浴び、下半身に少しだけ残っているローションを綺麗に流し、ベッドに入ります。

すぐにでも、ミィを抱きしめたくなりましたが必死でガマンしました。

自分の中に改めて生まれた、暗闇がさらに色濃くなっていきます。

漆黒の闇に変わるまで時間がかからない気がしました。

もう、抵抗することすらできません。

幻と影

目を覚ますと、いつもの通りキッチンにミィが立っています。

少しずつ影を増やす自身以外は変わらない風景。

「あ、まさくんおはよう」

「・・・うん、おはよう」

いつも通りに過ぎていく時間は、私の影を少しだけ潜めてくれました。

「ごめん、ミィ・・・今日もたぶん遅いわ・・・」

「あ、わかった。ほいじゃ、先に帰ってるね。寝不足なんだから、無理しないでよ!」

「わかったよ・・・」

意識していないのに出てきた言葉に、少し自分でも驚きました。

もう、朝の時点で会社帰りに行く場所をイメージしています。

いつも通りミィを職場まで送り、そのまま自分も会社に向かいました。

これもいつもと変わらない風景。

だけど、自分の中にある、何かが変わっています。

しかし、私は気付きません。

会社に着きタイムカードを押した後、席に向かいます。

今までのように佐々木さんの背中も少しずつ、気持ちの中から薄れていくのを感じていました。

営業の準備を終え会社をでます。

季節柄、渋滞が多くなるのでどうしても効率が悪くなります。

冬に雪が降る、地方特有のことです。

しょうがありません。

でも、私の成績がまた、少しずつ下降気味なのはその理由だけではないでしょう。

昼近くになり、コンビニに入ります。

何度も目を通したはずの、パチンコ・パチスロ雑誌をまた手に取ります。

夕方が待ち遠しくなりました。

夕方までいつも通りに取引先を回り会社に戻ります。

少し渋滞が激しく予定より遅くなりました。

事務所に入ると、ほとんどの営業社員が戻ってきています。

少しざわついているのがわかりました。

かまわずに終了業務を急いでいると、一人の営業社員が話しかけてきます。

「あべさん、おつかれーっす」

「あ、あ、おつかれっす・・・」

「あべさん、聞きました?」

「ん?何が?」

「佐々木さん結婚するらしいっすよ」

「まっ、まじすか・・・」

知らないフリをするのが大変でした。

借金する時以外は、ウソをつくのは苦手です・・・。

「いや、マジっす。羨ましいなっメチャ、ヤッってんだろうなぁ・・・。1回でもいいからやりたくないっスか?」

「ハハ・・・苦笑」

下世話すぎて、男の私でも少し不快になりましたが、男性社員の佐々木さんの見る目はそんなものでしょう。

服の上からでもわかるその曲線美は、”オス”を刺激するには十分でした。

しょうがありません。

「でね、会社は寿退社らしいんですわ。まぁ来年の2月だか3月だからまだ時間はあるけど、その内、送別会っすね」

「そっか・・・来年・・・か・・・」

もうすぐ佐々木さんが会社からいなくなる。

改めてそう、聞かされた時、私の中でさらに何かがうごめき出します。

しかし、それをどうすることもできません。

そして、新たに生まれた違和感は、別の闇を作り出し、私の身体を駆け巡っていきました。

そして、自分の弱さに向き合うことができません。

全身から力が抜けていくのがわかりました。

そして、取り戻したくなる気持ちが沸いてきます。

攻撃本能とは別の何かでした。

業務を終わらせタイムカードを押します。

車に乗り込み、無意識にハンドルを切りました。

また、あの雑音の中に向かっていきます。

きっと、足りない何かを満たしてくれるはずの場所へ。

どうしようも無い虚脱感の中、駐車場を入り口に向かって歩いていると、一瞬ピンクの付箋が見えた気がします。

しかしそれは、幻です。

薄汚れた何かの紙切れが、あるだけでした。

入り口のドアが空き、いつもの雑音につつまれるだけで、全ての違和感や重さから自由になった気がしました。

財布には2万円。

ホールに来る前にまた、ミィのカードに手を出し、引き出しました。

漆黒の闇が罪の意識を飲み込んでくれます。

甲高い音や、きらびやかなランプの光とは、正反対に私は、くすんでいきました。

今はまだ、くすんでいく速度がゆっくりなだけ。

私はそれに気付きません。

 

113話終了です。

 

もう少し続きます。

114話↓

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