パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-114

投稿日:2020年9月20日 更新日:

ゆっくりと染まってゆく漆黒の霧の中、私はそれに気付いていません。

少しずつ欠けていく心の隙間は、二度と埋まることはありませんでした。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

孤独の中

まだ、吐く息が白い車内。

時間は21時半。

閉店まではまだ時間があるなか、財布の中身が空っぽになった私は、呆然と黒い雲がかかった月を眺めています。

頭の中は何も浮かびません。

悔しさも、苦しさも。

少しだけ”負ける”ことに慣れてしまっている自分が許せませんでした。

ほんの数時間。

あっという間の出来事に、心がどんどん荒んでいくのを感じます。

ミィのカードから引き出したお金は、あっという間に消えてなくなりました。

受け入れられない現実から逃れるために、頭の中を真っ白にします。

そして、すぐに何とかしなければミィに気付かれてしまうという恐怖に打ちのめされそうになりました。

とりあえず、アクセルを踏み家路に向かいます。

「あ。やばっ!!」

積もった雪が真っ白の道で途中タイヤがロックし、対向車線を飛び出し雪の塊に突っ込んでしまいました。

対向車が来ておらず、事故にはつながらなかったのが幸いです。

また、降ったばかりの雪は柔らかく、ショックが少なく済みました。

少し車をバックさせ、車を停めなおし、念のため傷や凹みがないか車を確認します。

バンパーやフェンダーに着いた雪の塊を手で払い見ると、どこにも損傷は無いようです。

「ふぅ・・・」

雪が積もる地方では、一瞬の緩みが命取りです。

対向車がなかったこと、ぶつかった雪の塊が新雪で柔らかかったことで命拾いしました。

「もし、対向車来ていたら・・・固い氷のような雪だったら・・・」と考えると、一瞬全身が恐怖に包まれます。

その恐怖は、ミィのカードを勝手に使ってしまった罪の意識を軽くしてくれました。

部屋の近くに着き、駐車場に車を止め降りると、体中の力が抜けているのがわかります。

足取りが重く、部屋に戻りたくありませんでした。

罪の意識が改めてわいてきて、その対象である”ミィ”がいるからです。

「ただいま・・・」

「あ、おかえり、まさくん」

「今日はねぇ、とんかつだよ。早く着替えて!あ、それとも・・・笑」

「い、いいよ・・・飯っ(微笑)」

「なによっ、ノリ悪いじゃんかっ!!」

「ちがうよ。まずはご飯たべてからだよ」

ミィは、やはりいつも通りです。

きっと私を和ませようとしたのでしょう。

しかし、私はそんな優しさに気付きません。

むしろ、鬱陶しいと思ってしまいました。

それはきっと罪の意識やパチンコに負けた悔しさがあるからでしょう。

本当は、ミィに全てを話し、慰めてほしかったのです。

だけど、そんなことはできません。

また、パチンコにはまり、負け続け、打ちたくてミィのカードに手を出し、それも負けてしまい・・・。

理解されるわけがありません。

私は、いつも通りミィがそばにいるのに、”孤独”を感じてしまいます。

受け入れられるはずがない、本当の自分を隠すために、無意識に自分を閉じ込めていました。

ミィの優しさや愛情を受け入れず、そして自分を閉じ込めました。

私の中にあるのは、パチンコとパチスロだけです。

パチンコとパチスロが全ての答えになっています。

自分を高めるのも、心の隙間を埋めるのも、この先この幸せな空間を継続させるのにも、まず「パチンコ・パチスロ」が答えであり、行動であり、基準に変わりました。

もちろん、全ては幻です。

パチンコ・パチスロは、救ってはくれません。

しかし、私を突き動かすもの・・・。

その全てが、パチンコ・パチスロになりました。

体中を埋め尽くした漆黒の闇が、さらに濃くなり今度は私の中に染み込んできました。

それは、いつか耐え切れなくなり、破裂して全てを破壊するでしょう。

自分が自分でなくなる時。

そして、粉々に砕け散るまで、そう時間はかかりません。

ミィのカード

営業を回りながらも、前日までの負けが重くのしかかってきました。

ミィのカードから引き出した、合計4万4千円。

これを、早く元に戻したくてたまらない気持ちになっています。

取引先で名刺を差し出しながらも、頭はそのことでいっぱいでした。

「なんとかしなきゃ・・・勝って逆転しなきゃ・・・」

導き出す答えは、パチンコ・パチスロしかありません。

途中、ATMに立ち寄ります。

一瞬、心の奥にいる誰かが必死に叫び、私の行動を止めようとします。

だけど、すぐにその声は聞こえなくなり、財布の奥にあるカードを取り出す動きは止まりませんでした。

”借入”

”8・万・”円”

限度額いっぱいであるその金額を指でタッチした時、我に返ります。

自分が怖くなりました。

しかし、後には引けません・・・。

大きな何かが体の中から、スッと消えていきます。

車にもどりエンジンをかけた時から、自分に感じた恐怖が消えていました。

夕方になり、予定はまだありましたが、会社に戻って終了業務を始めます。

周りを見ると、営業社員はだれも戻ってきていませんでした。

たいした成績も上がっていないのに、早く帰ることに気後れしましたが、それよりも強い何かが無意識に私を動かします。

定時ピッタリになるとタイムカードを押し、そのまま駐車場に早歩きで向かいました。

そしてエンジンをかけ、車を走らせます。

酷い渋滞でイライラする中、バイト先に電話します。

「あ、すいません、バイトのあべです。おつかれ様です」

「あ、あべさん、どうされましたか?」

「実は、本業の方がトラブルで、どうしても今日休みたいのですが・・・」

「わかりました。あべさん、最近お休み多いですねぇ・・・」

「あ、すいません・・・。今後は出来るだけこのようなことがないように・・・」

「いいですよ。わかりました・・・」

ウソを重ねるたびに、闇が濃くなり少しずつ膨らんでいます。

私は”意識して”感じないフリをしました。

もう、何も考える必要はありません。

ここ数日で失った”モノ”を取り戻すだけです。

やっとのことで到着します。

いつもなら会社から15分しか、かからないこの場所ですが、すでに1時間が経っていました。

気持ちを抑えようとしますが、興奮がとまりません。

取り戻すために、犯した罪を必ず勝って帳消しにしなければいけないのです。

最低でも4万4千円以上プラスにならなければ、ミィのカードから勝手に引き出したお金は元に戻りません。

後ろを振り向き、後部座席のマットの下に隠した雑誌を手に取ります。

予め、折り目をつけておいたページを開きました。

「ミリオン・ゴッド」「プレミアムGOD」「一撃、5,000枚!!」

今、一気に取り戻すためには、これしかないと思い込んでいます。

暗闇の向こうに見える光が、手招きしているようでした。

絶対に負けられない・・・。

いや、必ず勝たなければいけません。

もし、ミィにこのことを気付かれてしまうと全てが終了です。

改めて罪の意識が、体中の毛穴から吹き出してくる気がして全身が恐怖に包まれてきます。

私はその罪の意識や恐怖の中、携帯電話を取り出します。

ミィにメールをするのを忘れていました。

もしかすると、寒空の中、待っているかもしれません。

慌てて画面を開くと、ミィからのメール着信は来ていませんでした。

改めて時計を見るといつも迎えに行く時間を5分過ぎていただけです。

「おつかれさま、メールできなくてごめん。急でゴメン、緊急の会議になった。遅くなるから、先に帰ってて」

1分もしないうちに返信があります。

「そうなんだ。わかった~。無理しないでよ。じゃあ、直接バイト行くのかな?今日は一緒にごはん食べれると思ったのにィ。ウソよん笑、がんばってね(^^)」

ということは、少しの間まっていたということでしょう。

申し訳なく情けない気持ちが押し寄せてきます。

しかし、私は気持ちを改めることも行動を改めることも出来ませんでした。

漆黒の闇がさらに大きくなるだけ・・・。

小さな雪の粒がちらつく中、駐車場を横切り光り輝く入り口に歩いて行きます。

ドアが開き、雑音に全身が包まれるとさっきまで感じていた、罪の意識も苦しさも、そして情けない気持ちもありません。

目指すのは、金色に輝く筐体の前です。

 

114話終了です。

 

もう少し続きます。

115話↓

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