パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-116

投稿日:2020年10月4日 更新日:

渦巻く、パチンコ・パチスロへの衝動が、またあの日を引き寄せます。

携帯電話から聞こえてくる、男の低い声。

私が全てを失う、プロローグの始まりです。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

終わりへのプロローグ

久々に耳の奥に響く、男の低い声。

なぜか、心の奥から安堵感を呼び起こしました。

「はい、地獄金融」

「あ、あの・・・。以前、借りてましたあべまさたかと言います・・・」

「おう、あべさん、どうした?」

ここで、一瞬だけ全身に警報が響き渡った気がします。

しかし、それはすぐに消え、電話の声に集中しました。

「あ、あの・・・実は、またお金をお借りしたいと思いまして・・・」

「あ?どうしたの?」

ここで男の声が少しだけ優しくなり、私の気持ちが楽になりました。

「いや、あの、急に出張が決まりまして・・・経費とか前払いが必要なんです」

相変わらず、借金する時につくウソはすぐ口に出てきます。

誰が聞いてもウソとわかりますが、相手も自分もどうでも良いことでした。

「あ、そう。で、いくら?」

「5万です」

「わかった。事務所来てよ」

「はい・・・」

終わりへの門があっさりと開きます。

後悔、先に立たずですが、この時に自分の体に湧き上がる警報を無視しなければ、少しは人生が変わっていたかもしれません。

しかし、自分でも驚くほど恐怖を感じませでした。

それよりも頭の中は、ミィのカードにお金を戻すことでいっぱいです。

久しぶりに、闇金のあるビルの前に立つと何も変わっていない自分に気付きます。

変わったのは、周りの風景が白く染まっただけです。

階段を昇り、事務所のドアをノックします。

そっと、ドアを開け、恐る恐る中に入りました。

「あ、すいません。先ほどお電話しました、あべです」

「座って少々、お待ち下さい・・・」

受付にいる若い男が、パーテーションの奥に消えていったのを見届けると一気に空気が重くなるのを感じました。

しばらくすると、男が出てきます。

手には、借用書をもっていました。

相変わらず目つきは鋭く、その眼光に恐怖を感じます。

「じゃぁ、書いて」

「はい・・・」

書いている間、ずっと鋭い視線を感じます。

見られている部分が、”熱い”と感じるほどでした。

少しだけ、マンションに軟禁された時の記憶がよみがえります。

あの時、助けてくれたのは、紛れもない・・・ミィでした。

もう、後がない気がします。

一気に恐怖や苦しみが押し寄せてきました。

後悔や恐怖や苦しみ。

自分がなぜ、こんな思いまでして闇金に借金をしようとしているのかがわからなくなってきました。

住所の欄を書こうとした時一瞬、躊躇します。

もし、万が一のことがあれば、ミィの住所を書くと彼女の身が危ないかもしれません。

なんとしてもそれは避けたいと思います。

私自身が持つ、最後のプライドです。

しかし、もし闇金にバレてしまえばお金を借りることはできないでしょう。

私は、迷いながらも追い出されたアパートの住所を記入します。

私は急にドキドキしてきました。

本来、ウソをつくのは苦手です・・・。

何とか書き終え、借用書を男に渡します。

「住所とか職場とか、変わってねぇか?」

「は、はい。変わっていません・・・」

「待ってろ」

男が借用書を持ち、一旦、奥へと消えていきます。

背中と脇に、びっしりと汗をかいているのがわかりました。

すぐに、男が現れ目の前にすわります。

「わかってると思うけど、返済は10日後、ジャンプなら25,000円、全部返すなら75,000円だ」

「はい・・・」

「この前みたいなことは、もう、ゆるさねえ。わかったか?」

「は、はいっ、す、すいません。ぜ、ぜったい大丈夫です・・・」

5万円をスーツのポケットに入れ、事務所を後にします。

階段を折りながら膝の震えが止まりませんでした。

もう、後戻りはできません。

10日後には、最低でも2万5千円を返済しなければならないのです。

もちろん返すあては、パチンコ・パチスロの勝利”だけ”。

バイトもサボりぎみなので、全然足りず勝たなければ、あの恐怖がやってくるのです。

しかし、ビルを出た瞬間、恐怖や苦しみはスーッと消えてなくなります。

もう、なにも見えていませんでした。

希望的憶測

夕方になり、営業をとりあえず終えて会社にもどります。

頭の中は、パチンコ・パチスロのことでいっぱいでした。

すでに営業の途中でミィにはメールをいれています。

「今日もゴメン。遅くなりそうだから先に帰ってて」

「わかったよー。まさくん、無理しちゃ、やーよ。頑張ってね^^」

準備は万端です。

後は、コイン・玉を出すだけ。

そうすれば、ミィのカードを元通りにすることができるのです。

絶対に負けられない戦い。

いや、負ける気がしませんでした。

会社に戻り、事務所のドアを開けます。

「おつかれさまですっ!只今、もどりました!」

自分の席へ向かう途中、コピー機に向かう佐々木さんとすれ違います。

一瞬、重たい空気が流れました。

「あ、おつかれさまです」

「おつかれさまです。あべさん・・・」

あの時から、意識的に距離をおいていました。

久しぶりに、佐々木さんが近い距離にいます。

もう、あの時の感覚を味わうことはできません。

そのことに、苛立ちを覚えました。

きっと、この先、私の攻撃本能をここまで振るわせることがないと思うと、急に体中に怒りが沸いてきます。

しかし、どうすることもできません。

以前なら、すぐに誘っていたでしょう。

だけど・・・。

もう、佐々木さんとは終わったのです。

この現実に、心が引き裂かれそうになる感覚に陥ります。

すぐに気持ちを切り替えようと考えますが、ますます怒りのような気持ちは収まりませんでした。

それは、大きな凹みとなり、私の心をえぐっていきます。

これを埋めるには、”勝利”しかないでしょう。

重たい気持ちを振り切るように終了業務に没頭します。

そして、すぐにタイムカードを押し、いつもの場所に向かいます。

光と雑音がひしめく、欲と雑念がうごめくあの場所へ。

広い駐車場に入り入口近くに車を停めます。

止まっている車の台数を見ると、それほど混んではいないようです。

入り口のドアが開き、雑音のシャワーを浴びると、少し気が楽になりました。

ハンドルを握っている時、レバーを叩きストップボタンを押している時は、全ての苦しみや恐怖から自由になれるのです。

一瞬、金色の筐体が目に入りますが、さすがに前回の負けが心に刻まれ、座る気になれません。

店内を一周します。

資金は5万円。

打とうと思えば、ある程度の機種は打てるでしょう。

最終的にいつものキングパルサーを打とうと思いましたが、見るとほとんど回っていません。

中には、1ゲームも回されていない状態の台もありました。

それに、10万以上を取り戻さなければいけません。

しかも、10日後には闇金の返済があるのです。

ミリオンゴッドは打つ気にはなれませんが、ある程度の爆発力は必要と考えます。

私は、キングパルサーを打つのを止めにして、新たに店内を物色しはじめました。

パチンコの島も改めて周りますが、イベント日でもないのでどの島もガラガラです。

すぐに、スロットの島へ戻り、改めて打つ台を探します。

スロットも同じくあまり稼動していません。

天井近くまで回されて放置されている台などありませんでした。

爆発力があり、5万円の資金で勝負になる台・・・。

私がすわったのは、「北斗の拳」です。

正直こんな日は、設定に期待出来ません。

しかし、低確率状態でも2枚チェリーさえ引けば約1/4で当たりをゲットできるのです。

そしてそれが連チャンさえすれば・・・。

もちろん、なにも根拠はありません。

パチンカス特有の、希望的根拠のみでした。

台の前に座り、財布を開くと1万円札が5枚見えます。

負けるわけがありません。

一気に勝って、ミィのカード元通りにできるはずです。

佐々木さんとのことも綺麗に忘れることができるでしょう。

そして、闇金もすぐに返済して、ミィといつもの平穏な日々が送れるはずです。

台に付いている液晶画面には「ラオウ」がアップになっています。

当たりを引き、コイツの攻撃をかわし、百裂拳を叩き込むだけです。

はやく、助かりたい、そして安心したい・・・。

私は本当の気持ちに少しだけ気づきながら、レバーを叩き始めました。

 

116話終了です。

 

もう少し続きます。

117話↓

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