パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-30

投稿日:2019年1月19日 更新日:

彼女の優しさや気持ちに触れ、初めてパチンコ・パチスロを負けたわけではないのにやめようと決意しました。

財布のなかには十分な現金が入っていますが、パチンコに行くことはなく、そのことに少し誇らしくなっていました。

しかし私はパチンコ依存症・パチスロ依存症です。私はなにもわかっていませんでした。本当の苦しみはここからだったのです。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

無力と救い

以前も見たこともある悪い夢でした。

鉛色の海、大きな打ちつける荒波、そして男の低い声。

私は体全身に汗をかき、苦しみの中、目が覚めました。

どんなに彼女のことを思い、決意してもそれだけでは何も状況は良くならないのです。当たり前ですが、行動しなければ変わりません。

そんな当たり前のことに私は気付いていませんでした。頭に思い描き、決意しただけで全てが変わると勘違いしています。私は浮かれていました。

そして自分で気付いていませんが、私はパチンコ依存症なのです。無知な私は「決意」だけでどうにかなると思っています。

携帯を開き時間を見ると23時を回っていました。

「そろそろ、洋平いいかな・・・」

コンビニの駐車上から、ウィークリーマンションに向けて車を走らせました。ウィークリーマンションの駐車場に着いた時に丁度、洋平からメールが入ります。

「兄貴、OKです。」

部屋に戻ると洋平が嬉しそうに話しかけてきました。

「いやぁ兄貴、最高ですよ。今日の娘は~」

「マジか!良かったな」

「兄貴も今度是非っ!クーポンまだあるんで1000円引っす!」

「おうサンキュー」

2枚付いているクーポン券のうち1枚だけ切り取られているチラシを、水道トラブルのマグネットで冷蔵庫に貼り付け、機嫌よく鼻歌が出ている洋平を見ても中々同じテンションにはなれませんでした。

「兄貴、なんか顔色悪いけど大丈夫ですか?」

「あ、うん、大丈夫だ。ちと疲れてるだけだろ」

「マジすか・・・。なんかすいません。気がつかなくて・・・」

「ああ、大丈夫だ、マジで気にするな。今日はそろそろ寝るわ」

「はい」

「あぁ大丈夫だぞ。おれ、明るくても寝れるタイプだから」

「はい・・・」

布団に入るとコンビニの駐車場で夢を見た時の感覚が蘇ってきました。このまとわりつく感覚から何とか逃れようともがきますが、もがけばもがくほど、きつく締め付け、そしてべったりと張り付き逃れることは出来ませんでした。

動けなくなっている私に急に様々な現実が押し寄せてきます。今月の家賃は未払いです。電気代や水道代、ガス代も未払いでした。よくよく思い返してみると電気代は先月も未払いでした。携帯電話も払っていません。洋平には母親の病院代とウソをつき2万円を借りています。出張費の仮払金のいくらかは使い込んでいます。ミィは黙って財布に3万円を入れてくれました。

そして、次の闇金の支払いはすぐにやってきます。またジャンプして元金を支払わなければ、10日後にはまた利息の支払いが待っています。

この現実が頭の中を駆け巡った時、私の決意は簡単に崩れました。現実をしっかり見つめるともうどうにかできる状態ではありませんでした。

何となくは気付いていましたが、目を背けていたのです。それはしっかり現実を見つめるとパチンコを打てなくなるからでした。また現実に押しつぶされそうになった時の苦しみを唯一救ってくれるのは、パチンコ・パチスロだけになっています。

洋平が電気を消し、眠りについた後も、私の体から様々な現実は離れませんでした。どんなに固い決意も現実の辛さとパチンコ依存症には無力です。

私が眠ることが出来たのは全ての辛さと苦しさに身を委ねた時です。どうにかして普通になろうと思わず、今までどおりの自分に戻った時に体がスーッとラクになり、深い眠りにつくことが出来ました。

安心感に張り付いた地獄

いつもより早く目が覚め、窓から差し込む光が爽やか過ぎる感じがして、かえって気分を悪くしました。この時すでに「パチンコをやめよう」「普通になろう」という決意はほとんど残っていません。

いつもより早くウィークリーマンションを出た私は、朝食をとるためにファーストフード店に入ります。

少し騒がしい周りの学生やサラリーマンの中で、自分だけ不幸な感じがしました。とても孤独を感じたのです。ここにいる自分以外の人間は全て借金などなく、ましてや闇金の借金なんてない感じがしました。

自分だけ、家賃を払ってなく、電気代を払ってなく、携帯代を払っていない気がしています。

私は少しでも早くこの苦しみから逃れたいと思いました。この窮屈さや孤独感に耐えられなくなっています。

携帯がなりました。見ると洋平からです。

「おはようございます。兄貴、早いっすねぇ。」

「あぁ、早く起きたから朝飯食ってる」

「マジすか、自分もこれから出てすぐ営業入ります!」

「了解。頑張ろうぜ。」

洋平からの電話も上の空でした。コーヒーを飲み終えトレーを戻し店を出ます。車に戻りエンジンをかけると闇金のことが頭を駆け巡り、体全身を支配しました。

元金9万円。10日ごとに5割の利息が発生し、支払いもやってくるこの借金を早くどうにかしないといけないことはわかっています。改めて考えると単純計算で1ヶ月13万5千円の利息がかかっていることに驚愕し、さらに怖くなりました。

そして改めてもう戻れない所まで来ていると実感するのです。

そして私は考えます。

「闇金・・・。これを何とかしなきゃ・・・。」

これは、ある意味正しくてそして泥沼から抜け出せなくなる判断です。確かに闇金の借金が一番負担になっていますが、もう自分の収入ではどうすることもできない金額でもありました。仮に次回の給料で全てを返済すると、生活費や光熱費の支払い、他の消費者金融の支払いが出来なくなります。

もうすでに自分自身が破綻しているのはイメージできていました。

その現実に恐怖を覚え、それを直視することができません。もちろん負担の大きい闇金の借金を処理するのが一番ですが、それと同じ位、生きるために他のことも重要なのです。

私はそこから目をそらし闇金という、ある意味得体のしれないものに恐怖を覚え、それに支配されていました。

もう立ち向かっていく力は私に残っていません。全てに飲み込まれ、犯され、なす術なく倒されて、立ち上がることができないほどになっていました。

重い気分のまま車を走らせ営業しています。全く集中できない中、10分前の出来事も覚えていない状態です。

そうしている内に昼が過ぎ、気がつくと時計は17時を過ぎています。

コンビニの駐車場に車を停めて営業日報をまとめていました。手ごたえは全く感じない一日。

携帯電話がなり見ると、洋平からの電話です。

「兄貴、おつかれっす!」

「おつかれ」

「こっち終わりました。兄貴どうですか?」

「あぁ、おれも終わって日報まとめてる」

「マジすか。今日夕飯どうします?」

「夕飯か、まだ何も考えてなかったな」

「だったら、いまスーパーいるんですけど、弁当半額なんですよ。兄貴の分も買っていきますか?」

「マジか。たのむわ」

「了解です。買ったらマンション戻ります」

「じゃぁオレ、先に戻ってるからよろしく」

この日、洋平はパチンコにも誘わず、外での食事も誘いませんでした。意図していたかはわかりませんが、こんな状態の自分には半額の弁当はとてもタイミングが良い提案です。

部屋に着き着替えをして一息ついていると洋平が帰ってきました。

「おつかれっす。いや~腹減りました。兄貴食いましょう!」

「おっサンキュー。いくら?」

「240円です。」

二人で弁当を食べていますが、洋平はいつもと変わらず話していました。

「いやぁこの弁当半額とかマジいいですね」

「だな、定食屋とかラーメン屋行ったら金かかるもんな」

「でも、毎日だとさすがに飽きますね笑」

「まぁな」

たわいもない会話が、沈んだ気持ちを少しだけ回復させてくれました。

「なぁ洋平」

「・・・何スカ??」

「おまえさぁ、借金とかないの?」

「借金すか。ん~ないですよ。オレ車もないですし」

「そか。買い物とかの支払いとかも?」

「あぁ~おれカードとかないです。いつもニコニコ現金払いですね笑」

「えっ!?じゃぁ昔、女にヴィトンのバッグプレゼントしたのも現金で買ったのか?」

「現金すよ~。あれマジで辛かったっすよ~金なくなって給料日までの2週間もやしで生き延びましたからね」

「そんな時さ、金借りようとか思わんの?キャッシングとか色々あるじゃん」

「思わないですよ。なんか怖いじゃないですか」

「ん、ま、まぁ。パチンコとかどうしても行きたいときとかは?」

「パチンコどうしても行きたい時とかないですね。風俗はありますけど・・・笑」

「そういう時はどうするんだよ笑」

「右手・・・。たまに左手に浮気します笑」

私は不思議でした。どんな時もわきまえて自分の範疇を超えることなく楽しむことができる洋平が、自分とは全く違う人間に思えていました。そしてとても羨ましく思っています。私は洋平みたいになれません。

この時、洋平は「兄貴はどうなんですか?借金とか」と聞きたかったはずです。しかし聞きませんでした。借金は私の一番弱い部分です。それを聞かれれば私のプライドは一気にくずれるでしょう。それを敏感に察知して、私を立ててくれていました。

洋平からみると、この時の私は先輩としても、人としても尊敬できる、人間ではありません。もっと自分にとって役に立ち成長できる先輩はいたはずです。しかしそんな私を心の底から慕ってくれていました。なぜ洋平が自分のことを慕ってくれていたのか、今でも謎に思います。

「そろそろ寝ようぜ」

「ですね」

電気を消し布団に入ると、また闇金のことが頭に浮かんできます。

「闇金何とかしなきゃ・・・本当にヤバイ・・・」

「どうすればいい・・・」

「どうすれば・・・」

「もういやだ・・・」

「どうすれば助かる・・・」

「・・・」

「・・・」

「闇金の借金は利息合わせて12万」

「どうする」

「資金は約5万・・・」

「よし勝てる!」

パチンコ依存症の人が求めているのは安心感です。

 

30話終了です。

せっかくの決意は、もろくも崩れました。パチンコ依存症の人がスリップする要因には様々なものがありますが、一番は安心感です。

もちろんパチンコに行くことで安心感は得られませんが、パチンコに行くことで安心出来るという思考はとても強固になります。

パチンコ依存症の人がもつ「安心感」はすべてが幻想です。その安心感にはべったりと地獄が張り付いていて、さらに大きくなり牙を剥いてくるのです。

 

まだまだ続きます。

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