パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-32

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闇金の借金を一気に返済しようと目論んだ私は、今手持ちにある約5万円を軍資金に勝負に出ようと考えました。しかしこんな時に限って思わぬ獲得見込みの顧客が2件立て続けにでてきます。1件はすでに契約まであと一歩。もう一件も相当な手ごたえです。

そのためその日考えていたパチンコを打つというプランは見事に崩れそうです。もちろん私の目論みは間違いであり、パチンコを打てないことは神様がくれたきっかけかもしれません。それなのにパチンコを打てない自分はせっかくのチャンスに苛立っていました。

翌々日にせまる闇金の支払日。私はどのような行動をとっていくのでしょうか。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

月明かり

訪問先には約束の時間の20分前に着いています。車を停めてから念のためパンフレットを開き、サービスの概要や仕様を確認しました。

手ごたえのある客前に着くと、心地良い緊張感が体を包みます。パチンコ・パチスロとは別の緊張感を感じました。

私は正直、営業の仕事には少し限界を感じていましたが、ほぼ何もない無の状態から少しずつ顧客のニーズや状況を理解し、適切なタイミングで商品やサービスを紹介し獲得した時の喜びや気持ちよさが好きでした。

また、成績を上げれば上げるほど周りから評価されたり、チヤホヤされ、自分の承認欲求を満たす快楽がとても私を心地良くさせていたのも事実です。

「失礼いたします。あべと申します」

「あ、あべさん。遅くなのにすまなかったね」

「いえ、とんでもございません。」

「では、こちらへ・・・」

この日の私はいつもとは少し違いました。目の前にいる担当者の求めている状況や、その会社の状況やウイークポイントなどを適切に理解して、それを改善したり利益になることを適切にプレゼンしていく。何かに取り付かれたように言葉が出てきて、そのほぼすべてが相手を納得させていく。感心している担当者を目の前にしてさらに気持ちよくなりさらに言葉には熱を帯びていきました。

「いやぁこれはほんとにいいねぇ。それにわからないことも、あべさんがいろいろ教えてくれて解決したよ」

「とんでもございません。お話も長くなってしまい申し訳ありませんでした」

時計の針は20時を少し回っていました。

「それでは、疑問点やご契約の時期などまた改めてご連絡下さい。とりあえず後一週間はここで営業回っていますのでその期間はご連絡いただければお伺いできます。過ぎても導入して頂けるのであれば私がサポートさせていただきます。万が一導入後でも何かあればベンダーがすぐに対応できる体制は整っておりますのでご安心下さい」

「はい、わかりました。一応こちらの状況が整い次第すぐに連絡します。また会社に連絡すればよいかな?」

「はい会社で大丈夫です。それではご連絡お待ちしております」

得営業先の会社を出た時、大きな月明かりが自分だけをスポットライトのように照らしています。私はとても気分が良くなっていました。

何も考えずとも、言葉が溢れ出てきて、その一言一言が顧客を納得させそれが結果に繋がる。この上ない気持ちよさに酔いしれていました。そしてその後にある会社での評価や周りがチヤホヤしてくれる感覚。そして洋平に対して先輩としての面目を想像し、さらに私を気持ちよくさせています。

営業職で結果を出し続けトップの成績を残し続ける人は、きっとこの快楽に魅せられたはずです。しかしそのような人は圧倒的に自分を律し、しっかりと戦略を持ちコントロールし続けてこの快楽を手に入れ続けたのでしょう。

私も仕事を行う時は、同じように戦略を持ちコントロールし仕事をしてきたつもりです。しかし私はパチンコ・パチスロ依存症です。自分自身を律し、コントロールすることはできませんでした。結果的に私が選んだのは仕事で得られる快楽よりも、パチンコ・パチスロがもたらす辛さと地獄の苦しみです。

意図

昨日は結局営業先で感じた気持ちよさを体に抱いてそのままコンビニによりマンションに戻りそのまま眠りに着きました。

朝起きると昨日までの気持ちよさはすでに体から消えていて、いつものけだるい感じを感じていました。そして頭の中にはまたパチンコのことでいっぱいになっています。

「今日はパチ行こう。勝って一気にきめてやるっ!」

寝ぼけた頭でそう考えながら、布団から起きました。起きると洋平がすでに支度を済ませています。

「あ、兄貴おはようございます。」

「おう、おはよう」

「兄貴お願いがあるんですが・・・」

「うん?どうした?」

「いや、あのう、すいません今日一緒に回ってくれませんか?兄貴、受注見込み2件もあって俺はまだコッチにきて0件です。オレも見込みほしいっす。フォローお願いしたいんですが・・・」

「いいよ。わかった」

洋平は私と行動を共にすると私に影響される一面をもっています。おそらく同じく営業に回っても私のような結果が出ないことに焦ってしまったのでしょう。洋平は私の事を慕ってはくれましたが、自分だけ結果が出ないことに我慢が出来なくなっていました。悪くいってしまえばブレてしまうのです。洋平はイイやつでしたが、たまにブレしまうのが欠点でした。

商品やサービスなどの知識やスキルは私の方が上です。洋平はそれを自分の結果が出ない原因と考えたのでしょう。それで私に同行を求めました。特に新規開拓の訪問営業は、下手にでるフリをして相手より優位に立つのがコツになります。しかしもっと大事なのはタイミングや誠実さ、人柄だったりするのです。焦ってしまった洋平はそういったことではなく私を利用して何とか結果に結び付けようとしたということです。

そして私は、結果が出なくて窮地に追い込まれれた洋平を利用して、先輩としてのちっぽけなプライドを保とうとしていました。

洋平はおそらく私を過大評価しすぎています。1日で見込み客を2件得ることが出来たのは、商品やサービスのスキル。そして話の上手さ。営業のテクニックなどがあっての事と思っています。しかし私の昨日の結果は単なる「運」です。おそらく洋平が私が回っていた地域を担当していれば結果は逆になっていたはずに違いありません。

そういえば洋平と仲が良くなっって、すぐの出来事を思い出しました。

2人で東京に出張した時のことです。出張が終わり、二人で買い物をしていました。私は当時狙っていた女性がヴィトンの「スピーディー」というバッグを欲しがっていたので誕生日プレゼントとして銀座のヴィトンでそのバッグを買いました。

いつもとは違うセレブレティな雰囲気と何の躊躇もなく7万円を差し出す私を見た洋平は、完全に普段とは違う空間に飲まれ、入れたことの無いスイッチを入れてしまいました。

「あっ、あ、兄貴っ」

「ん?」

「お、オレ、グッチに行きたいッス!」

「お、おう・・・」

結局洋平は5万円するグッチのバッグを買いました。後で話を聞くとそのグッチのバッグは綺麗にラッピングされたままの状態でしばらくは部屋にあったそうです。それがどうなったのかはわかりません。

 

「じゃぁ兄貴、よろしくお願いします。自分の営業を見て気がついたところあったら指摘お願いします。もし話聞いてくれそうなところがあったら、フォローもお願いします」

「おう、わかったけど、ちょっと力入りすぎじゃないか・・・?」

「はい!大丈夫ッす!いやぁマジで頑張ります!」

2人で営業に回り、私は洋平の後ろからついて黙ってついて行くだけでしたが、特に指摘しなければいけないところやフォローしなければいけないところはありませんでした。むしろ誠実で爽やかに見える対応振りに、自分も見習わなければと思ったほどです。

気がつくと12時になっていました。

「洋平、昼にしようぜ」

「はい。どうします?コンビニにしますか?」

「そうだな。どこも混んでるしな。コンビニにしよう」

「了解っす」

コンビニに向かう途中、運転している洋平が少しうなだれた感じで私に話しかけてきます。

「兄貴どうですか。オレ?」

「あぁ、別に問題ないよ。大丈夫だろ、そのうち見込み客に出会えるよ」

「マジすか・・・。どうしよう。オレ今回の出張で何もなかったら剣崎課長にまた詰められますわ・・・」

「(笑)大丈夫だよ。まだ日にちは少しあるし万が一何もなかったら俺が剣崎課長に詰められないようにフォローしたる」

「はい・・・」

「まだ、午後からもあるし大丈夫だって」

特に新規開拓の訪問営業には100%獲得できる方法などありません。獲得できるのは、自分の営業スキルはもちろんですが、さらにプラスして相手のタイミングなど不確定要素が絡んできます。そしてその確率が100件回れば1件の見込み客になるとして、その1件が1件目にくるか100件目に来るかわからないのです。私はたまたま少ない件数でその顧客に当っただけです。営業スキルでいえば洋平とは対して差はありませんでした。

コンビニの駐車場に車を停めてドアを開けた瞬間、携帯電話が鳴りました。

つい、慌ててしまいどこからかの着信か確認せずに電話に出てしまいました。そしてなぜだかまた会社からの見込み客の訪問希望連絡だと勝手に考えて電話に出ました。

「はい、もしもし」

「あ、もしもしあべさん」

声を聞いて一瞬の内にこれまでの気持ちからどん底に落とされ恐怖が全身を駆け巡りました。

「は、はい」

「地獄金融だけど。明日支払日だぞ何時に来るんだ?」

「あ、実は出張でお伺いできないのですが・・・」

「あ?ダメだ来い」

「い、いやすいません。ホント無理です。また郵便為替で送ります」

「ダメだ。来い」

「そ、そんな・・・前回は郵便為替でよかったじゃないですか」

「ダメだ。明日は来い」

「・・・。」

「で、明日は何時に来るんだ?」

「・・・」

 

32話終了です。

 

闇金は基本普通にお金を借りられない人を相手に商売をしています。言うなれば相当おかしな人を多数相手にしているわけです。法外な利息を吹っかける闇金も相当狂っていますが、債務者も同じくギリギリで狂った人ばかりです。そんな人間を相手にしなければならない闇金はそれをコントロールするために巧妙な手段を使います。今回の無理難題もその一つでした。普通に考えるとお金さえ払えば良さそうなものですが、この闇金の言動には債務者をコントロールする明確な意図があります。それにまんまと私は飲み込まれているのです。

次回は久々の闇金パートですが、このピンチ、私はどういう行動をとったのでしょうか・・・。

 

まだまだ続きます!

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