パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-42

投稿日:2019年4月27日 更新日:

打てないはずの状況から打てる状況に変わり、私は案の定パチンコ屋に向います。もちろん絶対に負けてはいけないはずでしたが、ボーナスを引けずにフィニッシュです。給料日直後の敗戦ですがこの先どういう行動をとるのでしょうか。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

偽り

前日の負けを引きずりながら、会社に向かいました。外は小雨が降っていますがワイパーをかけるのも忘れています。途中自転車に乗った老人が飛び出して来てそれを見落とし、思わず轢きそうになってしまうほどでした。

自分の心は深く沈んだままですが、会社にはいるといつもと変わらない風景が広がります。

「兄貴、おはようっす!どうしたんすか?なんか元気ないですね」

「あ、おうはよう。なんでもない大丈夫だ」

「そうすか・・・」

誰が見ても明らかに元気がない様子が見て取れたのでしょう。会社の他の社員にもそのことを指摘されます。

「あべさん大丈夫ですか?なんかいつもとちがう」

「具合悪いんですか?」

そう言われる度に私の心はさらに深く沈んでいきました。

そのまま状態で会社を出ます。仕事はきちんとしようと割り切りたい気持ちはありましたが、どんなに切り替えようとしてもできません。私は最初の訪問先から出た後、公園に行き車を停めました。どうしても営業をできる状態ではありませんでした。

そしてパチンコを負けたおかげでお金がなくなり、仕事が出来なくなるほど落ち込む自分の弱さを責めました。

「終わってるな、俺・・・」

公園ではしゃぐ親子を見て、余計に切なくなりました。自分にはこんな幸せそうな風景は起こらない気がしたのです。

「こんな状態じゃ結婚もできないだろうな・・・」

ミィのことを考えました。彼女はこんな私のことを好きでいてくれてます。しかし彼女の見ている私は本当の私ではないのです。

本当の私は、だらしなくてパチンコ・パチスロで借金をし、そのおかげで生活費もままならず、未払いの支払いがたくさんあります。この私をおそらく彼女は知りません。もしこのことを彼女が知れば、私のことを変わらず好きでいてくれるわけありません。

「そういえばミィいつ来るんだろ・・・?」

私は珍しく自分から彼女にメールを打とうと思います。ポケットから携帯を取り出しメールを打ちました。

「ミィ次いつ来るの?」

私は送信をおしました。すると画面に次の文字が現れます。

”送信出来ませんでした”

「あれ?おかしいな。電波は大丈夫なのに」

何度も送信しますが結果は同じでした。

「!!ハッ!もしかして・・・」

恐る恐る会社の携帯から自分の携帯に電話をかけてみます。

「お客様の都合により通話が出来なくなっています・・・・」

携帯電話が止まりました・・・。

「ヤバイっ!ミィと連絡がとれない」

「ていうか、もしミィが俺にメール送ってたら届かないから、携帯とまってるってバレてしまう」

私は心底焦りました。ミィが好きな自分はこの自分ではないはずです。こんな自分がわかってしまうと、もう私のことを好きではなくなる気がしたのです。

「どうしよう・・・」

私の体はまた不安と恐怖に包まれました。それはどんなに振りほどこうと思っても振りほどくことはできません。強力な粘着テープで体をぐるぐる巻きにされているようでした。

私は何とかしようと策を考えます。しかし財布の中には小銭しかありません。数えてみても500円ちょっとでした。通帳の残高も、おそらく同じでしょう。もちろん消費者金融も限度額いっぱいなのでキャッシングすることは不可能です。携帯電話の支払い金額は9000円弱。どう考えても足りません。

しかし私は銀行に向かいました。少しの金額でもかき集めようと思ってのことです。口座に入っている全てのお金を下ろしました。集まった金額は1680円。

そして私は車を走らせ、着いた場所は。

パチンコ屋・・・でした。

虚栄

店内に入ると客はまばらです。平日のイベント日ではないパチンコ屋の風景でした。台を選ぶのには苦労しませんが、期待は出来ないでしょう。しかも所持金は1680円です。

座った台は、「ファインプレー」羽物です。出る台なのかはわかりません。私はクギなど読めませんでした。

財布のチャックを空け500円を取り出し、投入します。(当時のパチンコは硬貨での遊戯が可能な店が結構ありました)

玉がチャッカーに入り、羽が開くたびに思わず力が入ります。

「入れっ!」

そこそこチャッカーに入り、玉も拾ってくれますが、いかんせんVには入りません。ハンドルを握る手のひらが汗でびっしょり濡れています。

最初の500円分の玉はあっというまになくなり、すぐに次の500円を投入します。

するとさっきまで入っていたチャッカーに全く入らなくなりました。最初の500円分の時より早く玉が無くなります。次の500円で最後です。

500円を投入する時、小刻みに指が震えるのがわかり必死に抑えようとしますが、指の震えは止まりません。

相変わらずチャッカーに玉は入らず、どんどん玉が少なくなっていきました。玉が少なくなるたびに、少しずつ全身の力が抜けていきます。希望を吸い取られるような感覚でした。

そして玉がほとんどなくなりかけたその時、2チャッカーに玉が入ります。羽が開いた時、改めてハンドルを力強く握ってしまいます。

「たのむっ!拾えっ」

一回目は羽が玉をはじいてしまい、一個も入りませんでしたが2回目に開いた時に玉を2個拾ってくれます。

全身全霊の願いをこめて気合を入れました。玉の軌道は大当たりに向いています。

「よしっ!!いってくれ!」

玉が役物に入った時に、一瞬得体の知れない違和感を感じました。

もう一つの玉が、当りに向かっていた玉をはじきます。

見事に外れました。

「マ、まじか・・・」

わずか10分間の間に、改めて絶望に叩き落とされます。

私は席を立ち、駐車場をとぼとぼ歩きます。もう私には策は残っていません。携帯は止まったままです。

車に乗り込みパチンコ屋を眺めながら呆然としていました。しばらく何も考えずにいます。仕事をする気にもなれませんでした。

そして改めて数々の未払いの支払いのことを考え、絶望を感じます。それは同時に、不安になり恐怖に変わりました。

その恐怖は、普通に生きられない恐怖です。普通じゃない人間は社会から抹殺される感覚になりました。誰にも認められない恐怖です。家賃を払うのは当たり前であり、電気を使えば支払うのが当たり前であり、携帯電話を使えば支払うのが当たり前です。

その当たり前で社会は回っています。その当たり前を出来ない私は、社会からはじかれる気がしました。当然ミィも認めてくれないでしょう。

何も考えることが出来ないまま車を走らせます。あてはありせん。営業先でもありませんでした。仕事をサボっていることにわずかな罪悪感はありましたが、どうしても営業をする気になりませんでした。

しばらくあてもないまま車を走らせています。車を走らせていますが、風景が何も変わっていない気がしました。

しばらくの間、恐怖や不安に支配されていました。抵抗することもなく受け止めていました。無理に振りほどこうとせず、その違和感に身を委ねることが唯一の抵抗でした。

恐怖や不安の違和感はどうってことない、こんなのはたいしたことではないと思い込むことで、何とか自分を保つことが出来たのです。

しかしそれは、虚栄です。本当は耐えられるはずがありません。私の体はすぐに震えてきました。抵抗をはじめています。

「何とかするんだ・・・」

「まだ、大丈夫・・・」

「未払いも対した金額ではない・・・」

「スロットで勝てば一撃で何とかなる!」

心の奥でそう叫んでいます。

気がつくと私は、中心街に向けて車を走らせていました。そして雑居ビルの近くの路肩に車をとめ、ハザードランプを点けます。

あまり長い時間、駐車していると駐禁を切られる危険はありましたが、全く気になりませんでした。

雑居ビルに入り、古びた階段を登ります。階段を登りきった時に、ざわっとした冷たい空気を感じました。その冷たい空気に一瞬、足が止まりましたが私は構わず進みました。

ドアをノックし、ノブを回した時に全ての逃げ道をふさがれた気がしました。もう引き返せない、もう後戻りは出来ない、そんな気がしました。

「あ、あのう・・・すいません・・・」

「あれ?あべさんどうした?」

私は苦しみから逃げるどころか、またその場所に足を踏み入れたのです。

 

42話終了です。

 

一度、ギャンブルで借金をすると借金を返したからといって解決したことにはなりません。私は当時、このことに全く気付いていませんでした。改めてですが闇金を返したからといって解決しません。闇金の借金の苦しみは、返済や何をされるかわからないという恐怖が大きくなりそれが抱えている問題の全てだと勘違いしてしまうのがとても問題です。

私は一度闇金を全て返済しました。その時は今抱えている問題を何とかしようと考え、闇金を何とかすれば全て解決できる勘違いをしています。もっといえば解決したかったのではありません。「安心」したかっただけです。

私の行動は安心を求めて進んでいたつもりでしたが、向かった先は恐怖や不安でした。

 

まだまだ続きます。

43話↓

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