パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-51

投稿日:2019年6月30日 更新日:

洋平の送別会が終わり財布の中身が少なくなっていきます。翌日に闇金の支払いをすると手持ちははさらに少なくなり、お金がなくなるほど危機感に縛られる私でした。

部屋を追い出される日も刻一刻と迫る中、私はどんな行動をとるのでしょうか。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

イマジネーション

目が覚めるとまた、いつもより早く目が覚めました。最近はいつもこの調子です。心労もあり疲れているはずなのに、ぐっすりと眠れない・・・。いつも体はだるく、それに比例して正常な判断力がなくなっていきました。

「ふぅ」

小さくため息をつき顔を洗います。体や頭はまだまだ眠たいけれど、眠りにつくことができませんでした。

部屋の鍵が施錠されるのは明日の予定でしたが、念のため必要なものは全て車のトランクに詰め込みます。

出社までは、まだまだ時間がありますが、とりあえず何もすることがありません。

いつもは朝食をとらない私でしたが、時間に余裕があるとお腹がすいてきます。しかし今後を考えるとお金は出来るだけ減らしたくありません。はっきり言って今後の目処が全くたたない状況の中、どのような方法をとっても対処法が全く無い状態です。

しかし、空腹はいたずらに危機感を増幅させました。

いつもより30分ほど早く、家を出て牛丼屋に入り朝定食を注文しました。300円とはいえ今の私には重くのしかかります。パチスロを打つときには平気で1000円溶かすのに・・・。

朝食を食べ終えて、車から降りるときにシートの下にあったファブリーズを全身にふりかけます。昨日は銭湯にいけていません。

事務所に入るとすでに何人か出社していて、昨日の2次会の話で盛り上がっていました。

「あべさん、お早うございます」

「おはよう」

「あべさん、どうして2次会こなかったのよ~。洋平君メチャメチャはじけて超おもしろかったのに」

「そうなんだ」

洋平の顔を見ると少しバツの悪そうな顔をしています。何かを察して私に気を使ったのだと私は思いました。

私は「気にすんなよ」の意味を込めて作り笑顔を返しました。その顔を見て洋平は少し安心した顔になっています。

「あ、兄貴いつ飲みにいきましょうか?」

「そうだな、考えておくわ」

私の頭の中にはそのつもりはありませんでした。それは洋平に対しての気持ちが無いわけではなく、危機感や恐怖や苦しみに支配されて、その余地がまったく無いためです。

洋平は何も悪くはありません。

会社を出た後すぐに闇金に向かいます。

お金が減っていく絶望感と空虚感そして闇金対しての恐怖感。

お金が減っていく絶望感と空虚感は現実で、闇金に対する恐怖感は想像力です。私はこのハザマで大きく揺さぶられ自分を失っていきました。

いつもの通り駐禁を切られる心配はつきまといましたが、少しの時間をコインパーキングへ停める余裕はなく、闇金の入った雑居ビルから少し離して車を路肩に停めます。

少しでも早く車に戻ろうと、走って闇金に向いました。息が苦しくなり情けなくなります。闇金に着き、少し息を整え中に入りました。

「す、すいません・・・」

「あ、あべさん」

「支払いに来ました」

「ジャンプだっけ?」

「はい・・・」

「じゃぁ1万5千円。つーか、あべさん大丈夫なの?返せるのか?」

「は、はい・・・大丈夫です」

「あ、そう。じゃぁまた10日後だから」

「はい・・・」

10日後にまたこのような気持ちになるのを想像して、苦しくなってきます。もうどうすることも出来ない気がしてきました。

ビルを出た後、急いで車に戻ります。車は無事です。駐禁は切られていませんでした。

その日は適当に営業をこなして会社に戻ります。数名の営業は戻ってきていましたが、洋平はまだ戻ってきていませんでした。

私はそそくさと後処理を済ませ、タイムカードを押します。洋平には会いたくありません。洋平に会うと飲みに行く話しになるでしょう。通常であれば先輩として盛大におごってやるべきです。しかし今の私には気持ちの余裕もお金の余裕もありません。

こんな姿を洋平に見せたくありませんでした。これは洋平のことを思ってではなく、自分が情けなくなりたくなかったからです。

車に乗りそのまま銭湯に向かいます。体を洗い、湯船に浸かると一瞬だけ心に安らぎが戻りました。

その後、洋平のことが頭をよぎりました。仕事でもプライベートでもつるんでいた後輩が、ステップアップしていくため、自分の側から離れていく・・・。

しかし悲しみはありません。むしろ嫉妬や妬みのような気持ちが沸いてきます。無意識の内に沸いてきたこの感情。

自分は洋平と自分がなぜこんなにも違う状況なのかわかりません。仕事の成績は私の方が良いですし、人生経験も豊富なはずです。それなのに洋平は確実に前に進んでいますが、私は暗闇の中もがいているだけ。

「なんで洋平はオレになついてきてたんだろう・・・」

湯船の中で私は涙が止まりませんでした。

小さな光

カーテンの隙間からから差し込む光で目が覚めました。今日はいつもより熟睡できた感じがします。

予定では今日、施錠されるはずです。考えるとどんどん追い込まれる気持ちになってきます。私は毛布やスーツなどを改めて車のトランクに詰めました。今日はこの部屋には戻れないでしょう。

会社に着くと、まずは洋平を探しました。できれば顔をあわせたくありません。が、私が出社したすぐ後に洋平が出社してきます。

「おはようございまーす」

いつもよりも明るい顔で入ってきました。私は顔を伏せながら洋平を見ないようにしています。

「兄貴!おざますっ!」

気がつくと洋平は私の横に立っていました。

「兄貴、今日終わった後、どうっすか?」

親指を立て、スロットのボタンを押す仕草をしながらそう聞いてきます。

「お、おう・・・」

私の中にまた何かが湧き上がってきます。しかし打ちたいのは山々でしたが当然、資金がありません。

「いや、昨日、北斗打ったら、3千円で北斗揃いで一気に3千枚でたんすよ」

「・・・」

「いや、兄貴が嫌じゃなければ俺の代打ちどうですか?折り半で」

「ま、まぁ・・・」

「いきませんか、じゃなくて・・・いきましょう!!」

「おう。代打ちで折り半な。わかったよ。甘えるわ」

「じゃあ決まりで」

そういうと洋平は自分の席に戻って行きました。

昨日感じた、嫉妬や妬みのような気持ちはありません。しかしきっとこれは、ただ久しぶりにパチスロが打てる興奮が上回ったからです。最後に洋平と楽しむことができるからというような、普通の人が抱く感情ではありませんでした。

営業を終え、早めに会社に戻ると洋平はすでに帰る準備をしていました。

「洋平、わりぃすぐに終わらせるわ」

「大丈夫っすよー」

パチスロが打てる気持ちの高揚で、多少慌ててしまいましたが、終了業務を終わらせタイムカードを押します。

二人で会社を出て、車に乗り込みました。

「店、どうする?」

「どこでもイイッス。兄貴決めて下さい」

「わかった」

店はいつも私が行くパチ屋にしました。確か今日はイベント日です。

ホールに着くと珍しく洋平が興奮しています。

「兄貴、最後にバチコン決めたりましょうよ」

「おう」

「とりあえず、一万渡しとくんで」

「OK。何打てばいいんだ?今日はおまえの代打ちだ」

「全部、任せます」

「わかった。キンパル打てそうなのあったら行くわ」

「了解っす」

「で、洋平は何打つ?北斗か?」

「店、入ってから決めますわ」

店内に入り、二手に分かれてすぐに私はいつも打つキングパルサーの島に向かいます。イベント日なので出てはいましたが、満席でした。

仕方なく店内を回ると、吉宗が1台200ゲームで空いていました。他はほとんど埋まっているためその席に座ります。天井は1921ゲームなのでかなりリスキーです。

しかしスロットを目の前にして、私は止めることが出来ませんでした。早くコインを入れレバーを叩きたい衝動を押さえることができません。

お金をサンドに入れコインを掴むと、最近の沈んだ気持ちは全て吹き飛んでいます。今日は洋平の代打ちということすら頭から消えていました。

いつもはあまりにもリスキーな台なのであまり打っていませんでしたが、ビッグボーナス711枚はとても魅力です。ストック機で連荘するので一撃数千枚も可能でしょう。

無我夢中でレバーを叩き5千円目のコインを入れたとき高確率に入ります。

そして・・・。

ビッグボーナス!!

久しぶりの出玉に震えるような気持ち良さを感じることができました。そしてそのボーナスから連チャンに入ります。気がつくとコインは約4千枚。久しぶりの大量出玉でした。

連チャンが一段落して、一応代打ちなので洋平に報告しようと店内を探します。

「洋平は北斗・・・?」

空席は少し出ていますが、スロットの島には洋平の姿はありませんでした。

「あれ?あいつ珍しくパチンコ?」

しかしパチンコの島を探しても洋平の姿はありません。

「洋平どこにいるんだろ?」

見落としているのかと思い、もう一度店内をパチスロコーナーから念入りに探して回りました。そして店内の端にある入り口近くでパチンコを打っている洋平を発見しました。

その島は羽根物が並んでいる島です。まさか羽物は打たないだろうと思い、私が見落としていただけでした。

「よ、洋平!羽物?」

「い、いやぁ台空いてなくて時間つぶそうと思って打ったら、そこそこ出ちゃいました」

わざとらしく頭を掻き、少し照れた顔をします。

「そ、そうか・・・」

「あ、兄貴どうですか?」

「おう、吉宗で出たぞ!おそらく4000枚位はある」

「まじすかーっ!ナイスです兄貴!」

私は「だろ?」という顔をし、得意げになっていました。

「どうします?」

「流そうかなと思ってる」

「ですね。自分も浮いてるんで流しますわ。飯行きましょうよ」

「だな」

そのまま二人とも出玉を流し、店を後にします。結局私は投資した分を差し引くと7万6千円のプラスでした。代打ちなので洋平に3万8千渡します。

これで私の財布には4万4千円くらいのお金が入っています。財布を改めて見て、安心感が全身を包みました。これで少しの間、暮らせそうです。

「いやぁ、兄貴とは最後スロットで締めたかったんですよ~。しかも大勝で良かった。ていうか半分もらっていいんスカ?」

「いいよいいよ。代打ちだし当たり前だろ」

「あざすっ!」

「腹減った。飯いこうぜ」

「ですね。あとキャバクラ行きましょうよ。安くていいとこ見つけました」

「笑、相変わらずだな」

「ですね笑」

その後、普通にいつも通りに洋平と楽しみました。昨日感じた洋平への感情はなくなっています。そして洋平は食事代もキャバクラ代も全て払い、私に一切お金を使わせませんでした。

今までの私なら無理をしてでも払おうとしたはずです。しかし、頑なに洋平が私に出させないのもありましたが、素直に洋平に甘え、そしてお金を払わないで済むことに安心しました。

いつもより大幅に酔っている洋平を何とかタクシーに乗せた後、私は駐車場までの道のりを歩きます。

私は、プライドすら保てなくなっている現実を感じて傷ついていました。しかしその傷は不安や恐怖や苦しみで麻痺してしまいすべて曖昧になっています。

エレベーターを降りてタワー型の駐車場の屋上に停めていた車に乗り込む前、キラキラとしたネオンの反対側のマンションや団地が広がるまばらに小さな光を放つ風景を見つめていました。

それを見た私は急に耐え切れないほどの不安と孤独に襲われました。洋平は私のもとから羽ばたいていき、ミィは自ら突き放し、部屋を自分のだらしなさで失います。このまま自分に関わる全ての人やものを失う予感が大きく押し寄せて来ました。

「明かりがついている部屋はきっとオレより幸せなんだろうな・・・」

この時の私はこれからもっと大事なものを失っていくことを想像できません。

 

51話終了です。

 

洋平が最後にパチンコに誘ってくれた時のエピソードです。洋平は前日に勝ったと言い、私に軍資金の心配は無いからということで誘ってきました。

しかしそれが本当かどうかわかりません。確か、会社に来なくなる日まで日数があまりなくこの頃はいつも夜遅くまで引継ぎの仕事をしていました。おそらく洋平はパチンコには行っていないでしょう。そう考えるといつもは打たない羽物を最初から打っているのも合点納得ができます。

おそらく最近の私を見て、洋平なりに私に対しての気遣いだったのと、最後まで自分の慕った先輩でいてほしかったのだと思います。

真意はわかりませんが、洋平はそういう奴でした。本当に良い奴です。

この時から20年近く立ちますが、今だになぜこの時期の私をこんなに慕ってくれたのかわかりません。

 

まだまだ続きます。

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