パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-54

投稿日:2019年7月22日 更新日:

闇金の借金を無くそうとバイトに応募し、すぐに働くことが決まりました。また見込み客の獲得も2件同時に決まり、気分は最高潮という感じです。停滞した生活を変えるために良い流れのようですが、私は重要なことに気付いていませんでした。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

シロノムコウ、黒

会社を出て車に乗り込んだ私は、そのままいつもの牛丼屋に向います。バイト初日前の腹ごしらえです。

少しでも体力をつけようといつもは付けない、生卵も追加しました。

最近の中では考えられない位の充実感を感じています。それは自分を苦しめている元凶である闇金を解決できる目処と新規の顧客を2件獲得した充実感、そして財布にお金が入っている安心感でした。

しかし、決まったとはいえどんなバイトかもわかりません。もちろんまだ働いていないので給料は発生していないのです。新規獲得が出来たとはいえまだ口頭での約束であり、契約書は交わしていないのです。そして財布の中身よりも支払っていないお金の方が多く、むしろマイナスになります。

私の問題は何も解決していません。この先どうなるかわからないのに、希望的観測だけでぬか喜びしていました。

もちろん今回のあらゆる事柄は、思っている通りほとんどが大丈夫なことばかりですが、それでも認識が甘すぎています。

そしてネガティブなことが起きた時には、この甘さがさらに自分を苦しめることになるのです。

私はそれ以前もこの先も、この性格が元でとても苦しい思いをし、そして地獄を見ました。それでも何も変わらなかったのは、自分を直視できていなかったからです。

「ありがとうございましたーっ!」

牛丼屋から気分良く、店を出ます。まだ何も始まっていないのに全てが解決した気分でした。

時計を見るとまだ19時前です、バイトまでは2時間以上あります。いつもの公園に車を走らせ、広い駐車場に車を停めました。少し薄暗くなった駐車場にはほとんど車は停まっていません。

一応あたりを見渡し、周りに人がいないのを確認し、スーツから普段着に着替えました。

「一応、これなら汚れてもいいか。たぶん作業着くらいあるだろうし・・・」

着替えた後、車の中で今後の建て直しについて考えます。

「とりあえず、闇金を早急に何とかしなきゃな・・・。いま4万位あるから明後日の闇金はなんとかなるだろ」

しかし闇金を完済するためには4万5千円必要です。ジャンプして利息だけを払うしかありませんが、そうなるとまた10日後に利息の1万5千円を支払わなければいけません。完済するためには4万5千円です。

このことを私は甘く考えています。とりあえず利息の1万5千円は痛いけれど、バイトは週払い可能であり、次回給料とあわせれば完済できると考えました。

今までより収入が増えるということだけを考えてしまい、細かい計算や、どこにどれだけ支払って、どのように立て直すかなど一切考えていません。

ただ収入を増やし、それを続ければ何とかなると楽観的になっていたのです。

携帯電話の時計を見ると19時30分の表示です。バイトが終わるのは夜中の3時。私は少し仮眠をとることにしました。アラームをセットし携帯電話を閉じてシートを倒します。

私は夢を見ていました。

そこは小さなトンネルを抜けた海岸です。

トンネルの入り口はとても晴れていたのに出口を出ると、どしゃ降りでした。

空は真っ黒の雲で覆われ水平線の方には雷も見えます。

助手席を見ると、いつものようにはしゃぐミィ・・・。

「ちっ雨かよ・・・。ダメだよ、ミィ帰ろうよ」

「すごーい、海きれい!」

「なに、いってんだよ、大雨で全然きれいじゃないじゃ・・・ん」

ミィは私の言葉を無視して、笑いながら海を見つめています。

「ちょ、ちょっ、ミィ!!」

ミィは私の声を無視し、ドアを開けて海岸に向かって走っていきました。

波打ち際に着くとそこで私を手招きし、叫びます。

しかしその声は私には届いていません。

「なに、やってんだよもう!濡れるって!」

私はミィに駆け寄りました。ミィに近づくにつれ彼女の真っ白なワンピースがグレーに変わっていき、そして一瞬の内に黒く変色します。彼女は一切こちらを見ずに海の向こうを見続けていました。

「ミィっ!ミィってば!!」

彼女の肩に手をかけると、振り向いたのは男の顔です。

ビックリした表情の私をじっと見つめて低い声でこう言います。

「わかった。貸してやるよ。で、いくらいるんだ?」

関口

アラームの音で目が覚めましたが、嫌な汗を全身にかいていました。太ももに張り付く布の感触がとても不快です。

バイト先に着き事務所のドアを空けると、そこには社長と50代と見えるやせこけた男性が立っています。

「失礼します」

「あ、あべさん、おはよう。こちらは、関口さん。仕事は2人一組でやってもらうから。」

「は、はい。あべと申します。よろしくお願いします」

「はい、どうも」

とてもいやな感じがしました。というよりもプライドを傷つけられた気がします。関口と言われるその男は、身長が低く、肌の色が茶色く汚れていて、伸びっぱなしの髪は頭頂部が薄くなっていて、無精ひげを生やし、前歯がありませんでした。

明らかに人生の落伍者のように感じて、そして自分はこの人と一緒に仕事をしなければいけない状況に落ちぶれたと感じ、とても落胆しました。

「あ、これあべさんの作業服だから、着替えて」

「はい・・・」

「しばらくは、関口さんについてもらうから。慣れたら他の人と組んでもらうよ」

「わかりました・・・」

着替え終わるとすでに関口が車に仕事道具を積んでいます。

「あ、すいません。関口さん」

「あ、うん」

「な、なにすればいいですか?」

「あ、まぁ見てて。もう積み終わるから」

「すいません・・・」

何だかバカにされている気がして、最高に気分が悪くなりましたが、我慢しました。現状を立て直すにはこのバイトが必要です。

「あ、そろそろ行こうか。乗って」

ボロボロのライトバンの助手席に乗り込んだ瞬間、吐きそうになります。

カビのニオイと油が腐ったようなニオイに食べ物が腐敗したニオイが混ざり、車内に充満していました。

臭いの元はおそらく、後部に積んでいる排水管や排水溝を清掃する道具からと、関口です。

胃液が上がってくるのを何とかこらえ待っていると、関口が運転席に乗ってきました。

「あ、内容聞いてるでしょ。厨房の排水溝の掃除とか。臭いし、汚いよ」

「は、はい。大丈夫です・・・」

「今日は7件かな。あー・・・ちょっとキツイかもホテルの厨房ばっかりだ」

「はい・・・」

「あ、あ~・・・あー」

「あ、あべです」

「あ、あべさんは昼間働いてるの?」

「は、はい。一応」

「なんだよ。ワケありか?」

「?ワケあり・・・って?」

「うん。働いてるんなら、普通こんなとこ、こないだろ」

「ま、まぁ・・・・」

「ガッはっは笑」

関口は嫌な笑いをしました。自尊心のかけらもないくせに、自分より立場や年齢が下なのを利用してそれだけで見下すような笑い方です。

私はむかついていました。そして心の中で関口を見下しました。

「あべさんタバコ吸うの?」

「はい、吸いますよ」

「良かった。いやね前に来た人すぐにやめちゃったんだよ。おそらく俺がヘビースモーカーだからかな。ニオイがダメだったらしいんだよね」

「そうですか。自分は大丈夫っす」

タバコじゃなくておまえだよっ!と喉まで出かかりましたが、こらえました。

一件目の現場に着くと関口が、素早く道具を台車に乗せ、準備をします。私は何もわからず横で立っているだけですが、それを無視して準備をしていました。

「ほとんどの現場は入る時は裏口だから、場所覚えてね」

「はい」

営業の終わったホテルのレストランの厨房に入り準備を始めます。

「あ、じゃぁはじめに・・・マスクしな」

「はい」

「まず、排水溝と排水が溜まるとこのフタあけるから。重たいから気をつけて」

「はい」

「それじゃいくよ。せーのっ」

フタを開けるとそこには初めて見る光景が浮かんでいました。固まってこびりついた油や、残飯、そしてそれらが腐敗して辺り一面にこびりついています。そしてこみ上げてくる臭いは最悪でした。車の中と同じ臭いが強さ10倍になって私の鼻を襲ってきます。

もちろんマスクをしていますが、ほとんど効果がない気がしました。

「ヴ、ヴォーェっ!」

マスクを取ろうとしましたが、間に合わずそのまま私は吐いてしまいました。

顔中に吐いた物がつき、そして作業着にも付いています。

「なんだよもう・・・。便所行って洗ってこいよ」

「は、はい・・・すいません・・・」

汚物の付いたマスクを捨て、急いで顔を洗い作業着の汚れを落としました。勢いが弱い蛇口から出てくる水を手にため、うがいをします。

「ダメだ・・・このバイト、絶対無理だ続けらんねぇ・・・」

このままやめて帰ろうと考えました。しかし今いる場所と事務所とは約10kmは離れています。そして2人一組でやる仕事ですので、私がやめて帰ってしまうと関口は一人で今日の仕事をこなさなければいけません。

それでも厨房に戻るのを躊躇している自分がいましたが、私はしょうがなく戻ることにしました。バイトは他にもたくさんあります。今日だけ我慢しようと思いました。

厨房に戻ると関口が一生懸命排水溝の淵に付いた油やカビや残飯を取っています。

「す、すいません・・・」

「あ、あぁ。吐いたの二人目だわ」

「・・・・」

「そこにゴムベラみたいのあるだろ。それでこうやって淵についた油とか取ってや」

「は、はい・・・」

私は改めてこみ上げてくるものを必死に我慢して、関口の言うとおりに作業しました。

そして清掃が終わると、汚物や油がたくさん付いた道具をそのまま車に積み込みます。車の中にはさらに臭いが充満していました。

「じゃ、次行くから」

「はい・・・」

私はマスクを3重にして車に乗り込みました。

そしてなんとか吐きそうになるのを我慢し、2件目、3件目とこなして行きなんとか全てを終わらせました。

会社に戻ると関口は、また私を無視しさっさと後片付けを済ませて帰っていきました。

着替えを済ませた後、社長が近づいてきます。

「あ、お疲れ様です」

「あべさんどうでしたか?大変だったでしょ?中腰で作業しなければいけないから明日は筋肉痛かもしれないねぇ」

「はい・・・」

「とりあえず来週は火曜、木曜、土曜のシフトだから」

「わかりました」

事務所を出て車に乗り込みます。まだ鼻の奥には臭いが残っていて、口の中は腐った油の味がします。

大至急、歯を磨いて体に付いた臭いを洗い流したいと思いました。

そう思った瞬間、急に涙が出てきます。あまりにもハードなバイトだったということが私に今の現状を叩きつけた気がしました。

私はろくに支払いをせず、部屋を追い出され、ミィを突き放し、闇金に借金をして追い込まれているのです。

私に希望など無い気がしました。

とりあえず24時間やっている健康ランドに行き、体を洗いました。宿泊料金のため2千5百円は痛い出費でしたが臭いが残っていることがどうしても我慢が出来ませんでした。このままでは仕事にも支障をきたすかも知れないのでしょうがありません。

風呂から上がると午前5時前でした。2時間くらいは仮眠をとれそうです。

あちこちからいびきの聞こえる、仮眠が出来る大部屋に行き”7時”と書いてある札のところに寝床を取り横になります。

「ダメだこんなことやってらんねぇ・・・」

そう考えても、何をするべきか良い考えは浮かびませんし、新しくバイトを探す気にもなれません。もうすでにバイトでの建て直しは、もろくも崩れ落ちていて頭に浮かびませんでした。

私は、パチンコ依存症・パチスロ依存症です。

こんな時に頭に浮かぶのはただひとつ・・・。

「勝負!」

そう考えることで、つらい一日を少しだけ取り返すことが出来た気持ちになることができます。

 

54話終了です。

 

このバイトで普段とは違う世界を見たような気持ちになり、とてもショックを受けました。この時の私は、このような仕事を差別していましたし、そこで働く人を見下していました。そして、そのステージに自分がいるということが突き刺さり、しっかりと現実を認識させれたということです。

しかし、これでも私は逃げ出してしまいます。逃げた先にあるのはまた、もっと大きな地獄でした。

 

まだまだ続きます。

55話↓

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