パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-55

投稿日:2019年7月28日 更新日:

現状を打破するために、決めたバイト。それは自分が想像していたものをはるかに超えるキツさがありました。そしてそれまで思っていた希望的憶測はもろくも崩れてしまいます。そこでパチンコ依存症の私が思うことは、「勝負!」・・・。

せっかくの前向きなチャンスなのに、また戻ってしまいそうです。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

打開策

寝不足で頭がボーっとしているのと、中腰での作業での腰の痛みと太ももの筋肉痛があり、最高に気分が良くありませんでした。

いつもの事務所の風景でしたが、斜め後ろに視線を送るとひとつだけ誰も座っていない席が見えます。

「そうか・・・。洋平今日からもう来ないのか・・・」

仕事でもプライベートでも、一緒に行動した洋平はもういません。洋平は自身のステップアップのために大きく羽ばたき、一方私は、羽ばたいた瞬間にその羽を自ら畳もうとしています。

不思議と感傷的な気持にはなりませんでした。ならなかったというよりも、そうなる余裕は私の中に残っていないというのが正しいかもしれません。

いつも通りに営業に向かいます。しかし私は仕事に身が入っていません。それは私の意識が早くこの現状から抜け出したい危機感と、新規の顧客が2件あるという慢心でした。

昼近くになり昼食を買うためにコンビニに向かっていると携帯電話が鳴ります。

「もしもし、おつかれさまです」

「お疲れ様です。あべさん」

「はい」

「さっきベンダーから電話ありまして、2社とも最短で2週間後に導入可能だそうです。詳しくは連絡下さいとのことでした」

「了解しました。連絡します」

「あべさんすごいですね。2件同時ですもんね」

「ま、まぁね」

と、一応謙遜するそぶりは見せましたが、まんざらでもありませんでした。

会社からの電話を切り、すぐに導入してくれる2社に連絡を入れます。先方にまずは契約書の記入をしてもらうために改めて訪問することを伝え、その日を翌週の月曜日に設定しました。

2社とももっと時間がかかるものと思っていたらしく、早い導入に喜んでいて、また迅速に話を進めたことを大変喜んでくれました。

電話を切った後、私はさらに気分がよくなっていました。自分の起こした行動が成果となり、人から褒められたり、感謝されたりする。もちろんお金も大切ですが、これらの出来事は何にも変えられない充実感や達成感で満たしてくれています。

確かに私は、生きるためにはとても大切な仕事に関しては上手くいっていました。

しかし、他のことはほぼ全て無茶苦茶でした。

午後からの営業を周り終え、会社に戻るために車を走らせるている時、急にざわざわとした気持が体に沸いてきました。

私はここで忘れていたことに気づきます。明日は闇金の支払日でした。

急いでコンビニの駐車場に車を停め、携帯電話を開きダイヤルをプッシュします。

「はい、リッチファイナンスです」

「あ、あのう・・・明日支払日のあべです」

「あべさんですね。少々お待ち下さい」

「はい」

保留音がながれます。いつ聞いても闇金の保留音はとても落ち着かなくなり、とてもイヤな気分にさせます。

「あ、あべさん?」

違う男の声がしました。気持をギュっと握りつぶすような声がとても心地悪く感じます。

「は、はい・・・」

「どうすんの?ジャンプ?」

闇金は借りると急に態度が変わります。言葉遣いがフランクになり、そして威圧的です。

「は、はい。ジャンプします・・・」

「あ、そう。じゃぁ1万5千円だな。口座言うから控えて」

「は、はい・・・。どうぞ・・・。」

「○△×銀行□××支店。番号は・・・・」

振込みで融資する闇金は、返済には銀行口座を使いますが、ほぼ毎回振込先が違いました。おそらく違法の金融ですので足が付かないようにするためと、通報等で口座が凍結され資金を引き出せなくなることを懸念してのことだと思います。

またこの頃、こういった闇金業者に口座を売買することが社会問題にもなっていました。私がこの闇金業者に返済する時の口座は、ほとんどが個人名の口座でした。

「はい。わかりました」

「で、何時くらいに入金できるんだ?」

「え、と・・・午前中に入金します」

「必ず、入金したら連絡よこせ。無い場合は職場に連絡する」

「は、はい・・・」

先ほどまでの気分の良さが吹き飛び、一気に追い込まれた気持になっています。

危機感が全身を覆います。なんだか一生この気持のまま過ごさなければいけない気になりました。どんなに気分が良くても、全てを奪い去ってしまう、闇金とのやり取りは私を絶望に陥れるのに十分です。

闇金をどうにかしたくてたまらない気持になりました。しかし完済するにはお金がたりません。

ここで求めるのはただひとつ・・・。「安心感」です。

何度目かの決意

会社に戻り終了業務をしていてもソワソワしていました。早く私の中から良い気分を奪い去る元凶を取り除きたかったのです。そして失ったを全て取り戻したい気持でいっぱいでした。

そのためにはまず「お金」です。今私の中の問題は、お金があれば全て解決できるはずでした。

しかし全てを解決できるお金はありません。もちろんバイトを続ければ目処は立つでしょう。しかし私は違和感に耐え切れず、今すぐにどうにかしたかったのです。

私が全てを解決する方法。それは”パチンコ”で勝つことです。

「よし、今日は大至急終わらせて勝負だ!」

心の中でそう決意しました。

まずは闇金を一軒でも完済しなければいけません。それが解決に向けての必須条件でした。そして負ける恐怖はありません。勝つことだけを考えます。勝って闇金の借金が無い安心感を心の底から求めています。

すでにパチンコモードになり、終了業務を必死になって行っていた私に事務員が近づいてきます。

「あべさん」

「あ、佐々木さん」

心なしか私を見る目が違う気がします。きっと彼女から見れば私は社内のイヤな雰囲気を断ち切る、救世主のような存在で見られていると感じています。

「剣崎課長がお呼びですよ」

「あ、は、はい」

剣崎課長のデスクに向いました。相変わらず険しい表情をしています。

「あ、あべ君、例の顧客の進捗はどうだ?」

「はい、本日ベンダーから連絡ありまして、2社とも最短2週間あれば運用可能と連絡いただけましたので、そのように先方に連絡済です」

「で、先方は?」

「はい、2社とも早く導入したいようで、喜んでいただきました。来週の月曜日に行って契約してきます」

「そうか」

いつも会社では険しい表情をしている剣崎課長の顔がパッと明るくなったのを見逃しませんでした。

自分のやってきた成果が、人の心を変えることが出来た感じがして、優越感を感じます。

最近は特に営業部門の成果が上がらず、その責任を一手に引き受けていた剣崎課長の顔は険しくなりっぱなしでした。当然のように会社内の雰囲気も悪くなっています。

それを一瞬の内に変えることが出来た気がしたのです。私にはそんな力があるのだと思い上がっていました。

「では、運用開始まで引き続き頼むよ」

「はい、わかりました」

剣崎課長との話が終わり自分の席に戻ります。時計を見ると19時を回っていました。すぐに業務を終わらせタイムカードを押しました。

今の私には闇金の借金を無くすことが何よりも大事です。財布の中身を確認すると一万円札が3枚、千円札が3枚あります。短時間勝負するには十分な資金でした。

しかしここで私はとても大切なことを忘れています。3万3千円の資金は打つ台によっては、あっという間です。ノーボーナスでフィニッシュということも十分考えられるのです。もし、そうなった場合は明日の闇金の支払いが出来ずに、私の全てが終わってしまうことも考えられました。

そこまで私は考えていません。そんなことより動かずにこのまま行けばこの先ずっと闇金に支配される気がしました。それに耐えられなくなっていたのです。使命感にも似た気持ちでパチンコ・パチスロが打ちたくなっていました。

いつものホールの駐車場に車を停めます。数日振りでしたが、1ヶ月くらい久しぶりな気がしました。そして車のドアを閉めた瞬間、それまでのなんとか現状を打開しようという気持は吹き飛び、ただパチンコ・パチスロが打ちたいという気持に変わります。

店内に入ると半分くらいの客付きでした。イベント日でもないこの日は平常営業でしたが、仕事帰りのサラリーマンでそこそこという感じです。

私は店内の状況をあまり確認せず、一直線にスロットの島に向かいます。そこでキングパルサーの520ゲームで止められている台を発見します。

「ま、マジか!ラッキー」

私は天井に一番近いという理由でこの台に座りました。しかし期待値はそれほどありません。キングパルサーはストックがあれば1280ゲームが天井です。となると最悪でも約2万7千円くらいあれば天井に届きますが、それが単発であれば大きなマイナスですし、ストックなしで天井を越えることも十分に考えられます。実際なんどもその経験をしていました。

そうすれば、お金がなくなり明日の闇金の支払いはできません。本当は冷静になれなくても打つべきではないのです。

しかし入店しパチンコ・パチスロ台を目の前にして、それを考え冷静に立ち回ることはできませんでした。

なぜなら、私はパチンコ・パチスロ依存症だからです。

コインサンドに札を投入し、コインを台に投入した時、全てから解き放たれた気がしました。闇金のことも、払っていない支払いも、車で生活しなければいけないことも、この時ばかりは頭の隅に追いやることが出来て、私を支配することはありませんでした。

そして3千円を投入した時、1リール目が”ブルンッ”とバウンドしてストップします。子役が揃わなければボーナス。私は思わず勢いでボタンを押しました。

そして子役は揃わず、ドットにはWINの文字が。

ビッグボーナスでした!

「よし!行ける!」

ボーナスを消化し終わり、一息つきます。この時、頭のなかでは連チャンしまくりをイメージしていました。キングパルサーは低設定でもストックさえあれば128ゲーム以内で約70%連チャンするはずです。

レバーを叩き、一心不乱にストップボタンを押していきます。そして90ゲーム。ドットにはWIN!連チャンしました。

しかし7図柄をねらっても揃いません。

レギュラーボーナスでした。

ボーナスを消化し終わり、改めて消化し始めます。

もちろん連チャンするはず・・・でした。

私のイメージは早くも崩れさります。本来ならば128ゲームを超えた時点で止めるべきです。しかも3千円しか投資していないので、少し勝っているのです。

今の私には千円でも2千でも貴重なはずでした。

しかし私の出した決断は・・・

「続行っ!!」

もう、何も考えることは出来ないですし、冷静に立ち回ることはできません。ただ目の前のキングパルサーが連チャンしてくれることだけを期待していました。

そんな期待とは裏腹に案の定、下皿のコインは全てなくなります。ゲーム数は300ゲーム。天井には程遠いですしストック切れも考えられます。これ以上は追ってはいけない台です。

しかし私はパチンコ依存症・パチスロ依存症です。考える前に、札をサンドに投入していました。

総投資が1万円を超え、1万1千円目のコインが投入された時、やっとボーナスが告知されます。天井まで行かなくてラッキーでした。

しかし揃ったのはレギュラーボーナスです。その後何とか連チャンしましたが、またもや128ゲームを超えてしまいます。

もちろんやめることは出来ませんでした。

その後も全て飲まれ、追い金を始めます。また少ない投資金額で当りを繰り返しましたが、最後まで大連チャンすることはありませんでした。

そして似たような展開を繰り返し最後に128ゲームを超えた時・・・。

「お客様、閉店です」

総投資2万6千円、回収1万6千円。結果マイナス1万円でフィニッシュ。

結局闇金の全額返済どころか、お金を減らすハメになりました。

現実を受け入れることが出来ずに車を走らせ、駐車場のある公園に向います。

トランクを空け、スウェットを取り出し、着替えました。体の臭いが気になりましたが、風呂に行く元気とお金はありません。

「もう、パチスロ止めよう・・・」

もう何度思ったかわからない決意を胸に後部シートで足を折り曲げ、横になりました。

前日のバイトで寝不足だったせいもあり、何も考えることが出来ずにウトウトしていると、助手席の窓の方から、何かが当たる音がします。

「・・コン・・」

最初は虫でも当っているのだと気にしないでいましたが、少し間を置いてその音は規則的に何度も続きました。

「コンコンコン」

それは虫が当った音ではなく、明らかに人が窓をノックしている音です。

それに気付いた時、とてつもない危機感と体を緊張感が支配します。それは闇金で感じた危機感と緊張感とは全く違う種類のものでした。

 

55話終了です。

 

せっかくバイトに行き、良いきっかけを作りはしましたが、あっさりとそれは崩れてしまいました。パチンコ依存症・パチスロ依存症特有の行動ですね。というよりも、このブログの他の記事やTwitterでは何度も書いていますが、症状と言えるものです。依存症になると全てがパチンコ・パチスロになります。それが間違っているとわかっていてもです。

当然ですがそれは正しい答えではありません。

 

まだまだ続きます。

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