パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-56

投稿日:2019年8月5日 更新日:

勝負を賭けたパチスロも、結局マイナスで終わり、手持ちの現金を2万4千円にまで減らしてしまいます。しかし全て負けずに、翌日に控えた闇金の支払いが出来るのは、不幸中の幸いでした。そして広い駐車場のある公園で眠りにつこうとした時に、いつもとは違う、緊張感と恐怖感が私を襲います。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

キエサルウソ

「コンコンコン・・・」

それは虫が窓に当っている音なんかではありません。人が窓を叩いている音です。その音からは何か”意志”のようなものを感じます。

イタズラやからかいの類ではなく、車の外からその意志は間違いなく私に向けれらていました。

私の中の危機感と緊張感は最高潮に達しています。今までに感じたことのない感覚です。それは闇金に対する感覚とは全く種類が違うものでした。

私は一瞬の内に自分の中にある全ての想像力を総動員し、あらゆることに対処しようと考えます。

私に向けられたその”意志”は明らかにネガティブなものであることを感じ、私の危機感や恐怖感を刺激します。

私は目を開けることができません。

窓を叩く音は次第に強くなり、そしてその回数は増えていきます。

目をつぶっているので窓を叩いているのが、どんな人かはわかりませんが、複数だと感じました。そうなると私はひとたまりもありません。

しかし対処するにしてもまずは、状況を確認しなければならないのです。私は意を決して目を少しずつ開きました。

薄目で開けたまぶたから、ぼんやりとした影で男二人が窓の外に立っているのが見えます。一人はがっしりとした長身の男、もう一人は少し太った体の大きい男でした。もしこの二人に襲われたらあっという間に倒されるのは容易に想像できます。

私は助かる方法を考えます。相手は助手席側の窓から車内を覗いていました。おそらく私が見ているのは気付いていないでしょう。油断しているはずです。

後部座席から一気に運転席に移動して、すぐに車を走らせれば逃げることが出来るかもしれません。というよりそれが最善の方法と考えましたし、それしか考えが浮かびませんでした。

そう考えているあいだも、窓をノックする音は続いています。

私は思い切って目を見開きました。そして一気に運転席に移動しようとした時、二人の男の正体が見えてきます。

見ると警官でした。その正体に少し安堵します。私を襲おうとしているものではありませんでした。

急いで体を起こし、運転席に移動して窓を開けました。

「すいません。警察です」

「はい」

「なにされてるんですか?」

「は、はい、ちょっと・・・」

「念のため、免許証見せてもらえる?それとトランク開けて」

「はい・・・」

私は一瞬マズイと思いました。トランクには着替えなどが詰まっています。部屋がないことが警官にわかると面倒なことになることを想像します。

「あれ?この大きいバッグとかダンボールとか何?」

「い、いや、着替えとか・・・」

「着替え?どうして?」

威圧的な態度にイラっとしましたが、出来るだけ穏便に済まそうと協力的な態度をとります。

「い、いや一緒に住んでいる彼女とケンカして、部屋を出てきました。」

とっさに嘘をつきました。普段から借金のために嘘をつくことには慣れていました。我ながらこの場を収めるためにはいいウソだと感心します。

「本当に?バッグの中とか見てもいい?」

「ど、どうぞ・・・」

一人の警官がトランクの中を確認し、一人が免許証を確認しています。

「あれ?お兄さん住所ここから近いね。彼女とケンカしたんだ。どうするのこれから?」

「い、いやすぐに戻る気でいますけど、まぁとりあえずは・・・。彼女にもこれくらいしたほうが良いと思って」

トランクとバッグの中身を確認していた警官が確認が終わり近づいてきます。もちろん違法なものは持っていません。話を聞いていた警官が私から聞いた状況を説明していました。

「で、どうするのここで泊まっちゃダメだよ」

「は、はい・・・すいません。すぐ帰ります」

「彼女と仲良くしなよ。ねぇ」

相変わらずの上からの言い草ですが、我慢しました。

「はい、わかりました」

イライラと同時に情けなさがこみ上げてきて、悲しくなりました。

「なぜ、こんな思いしなければいけないのだろう・・・」

そう思うと、涙が自然と溢れてきます。気が付くと車を走らせいました。

そして無意識にたどり着いた場所は、峠の頂上の近くにある造園所の広い駐車場です。

ぼんやりと無数の小さな光をじっと見つめます。

改めて、今までの自分の行動を後悔しました。借金や未払いの支払い、闇金。そしてミィのこと。

何よりその原因となっている、パチンコ・パチスロ。

”私ね・・・夜景を見ると、あかりの点いている家が、みんな幸せなんだろうなって思うの

光は暗闇の中でこそ、眩くそして綺麗に輝きます。

自制

眠れずにずっと窓の外を見ていてました。空が少しだけ透き通ったブルーに変わってきて遠くにオレンジ色の光が少しずつ顔を出してきました。

周りを見ると広い駐車場には私の車一台がポツンと止まっています。

トランクを空けとりあえずスーツに着替えて車を出しました。

顔を洗おうと、公園に行き車を停めます。時刻を見ると6時40分。公園には犬の散歩をする老人やジョギングをする人が見えました。

一睡も出来ていないため頭がボーっとしていましたが、冷たい水を顔に浴びせると少しだけ気持が引き締まります。

いつもの牛丼屋で朝食を取り早めに出勤をします。新規で獲得した2件の初期の運用計画の資料作りなど、するべきことはたくさんありました。

新たにシステムを導入することになるので、既存のシステムからスムーズに運用できるよう、ある程度のフォロー体制と計画が必要になります。ましてや導入までは1ヶ月ないので2社の計画を立てるのは大変でした。それまでは残業や休日出勤も必要かもしれません。

9時になったのを確認し、とりあえず会社を出ます。私は車に乗り込み、まずは銀行に向かいました。まずは闇金の返済をしなければいけません。

朝早かったのもあり、それほど待たずに振込みを完了します。昨日負けてしまったので財布の中には残金約8千円。

つい数日前には約4万円の現金が入っていたのに、あっという間にお金は少なくなっています。

給料日までの2週間ちょっとの期間はこれで生活しなければいけませんし、闇金の支払いがもう一度やって来ます。

それを考えると改めて絶望が体を支配しました。

携帯電話を開き闇金に電話します。

「はい、リッチファイナンスです」

「あべと申します。今日振り込み日なんですが、今振り込みました」

「あべまさたかさんですね。いくら振り込んだんですか?」

「は、はい、ジャンプなんで1万5千円です」

「わかりました。確認します」

あっさりと電話は終わりました。いつもの男ではありませんでしたが、改めて気分は深く沈みます。

その日はとても天気が良い日でした。汗で湿ったシャツが気持悪くさらに気分を暗くします。そろそろ洗濯も考えなければいけません。

夕方近くなり、その日の訪問先を全て回り終えた私は会社に戻りました。

会社に戻ると剣崎課長と出くわします。

「あ、お疲れ様です!只今戻りました」

「あ、あべくん、おつかれさま」

「はい!」

「今日、夕飯でもどうだ?」

「あ、申し訳ありません。例の新規2社のスタートアップの計画資料とかやらなきゃならないので今日はちょっと・・・」

「そうか、いいよいいよ。すまなかったな。よろしく頼むよ」

剣崎課長の顔が明るく変わります。そして社内の、特に営業の中では私をひいきしているのはあきらかでした。

「で、スケジュールとか上手くいきそうか?」

「はい。来週の月曜日に2社とも契約書を持って行ってきます。なにせ運用開始まで期間がないので記入漏れ等ないようにその場で記入をお願いするつもりです。あ、先方にはその旨了承いただいております」

「そうか、さすがだ。今月の数字として計上出来そうだね」

「はい!大丈夫です」

「じゃぁ、気を抜かないで頼むよ」

さらに機嫌を良くして戻っていきました。その姿を見て私はプライドを満たします。絶望や恐怖や危機の中、なんとか精神を保てたのは仕事のおかげかもしれません。

席に着き終了業務をさっさと終わらせ、早速資料作りにはいります。

「お先でーす」

見てはいませんが、時間が経つにつれ社内からどんどん人が少なくなっていくのを感じます。

気が付くと事務所の中には私と女性の事務員が残っているだけでした。

「あれ?佐々木さん、残業?」

「そうなのよ。でも、もう終わるからそろそろ上がりますよ」

佐々木さんは私より少し社歴の長い、事務員です。

以前飲み会の時かなり話し込んだ記憶があります。

佐々木さんはバツ1で3歳の子供がいる女性です。少し派手ではありますが、とてもキュートで感じが良く、とても子供がいる女性にはみえません。何よりもスタイルが良く、服の上からでもわかるほど胸の大きな女性でした。

「でもホントあべさん、ナイスよ~。あべさんの受注のおかげで剣崎課長、ホント機嫌よくなったもの」

「アハハ、まじっ笑」

「でも、他の営業の人もうちょっと頑張ってもらわないと。とばっちり受けるのこっちだわっ笑」

「きっと大丈夫ですよ」

「またぁ。でもあべさんは大丈夫ね。ていうか2件も一気に抱えて大変そう。開始まで2週間くらいなんでしょ?間に合う?」

「う~ん。何とか気合で間に合わせる。とりあえず土日は出勤して資料作るわ」

「そっかぁ。頑張ってね!」

「うん、ありがと」

「私も早く終わらせて帰らないと、チビとばぁやがうるさいわっ」

「笑」

ちょっとした何気無い会話でしたが、すさんだ私の気持を少し癒してくれました。と同時にとてつもない後悔に襲われます。

会社を離れれば、私の全てはパチンコと闇金に全て支配されていました。今の私を形作っているのは、恐怖や不安、そして危機感です。

紛れもなくその原因を作ったのは私自身の行動でした。そしてもう自分の力ではどうしようない状態になっていることにも気付いています。

仕事を終えた佐々木さんがタイムカードを押した後、私に近づいてきました。そして缶コーヒーを机に置きます。

「あべさん。お先っ!帰りますね」

「あ、ありかとう・・・おつかれさま・・・」

一瞬私はどうして良いか、ワケがわからなくなりました。佐々木さんに抱きつきたい衝動に駆られたのです。

私はこの時すでに限界を超えていたのかもしれません。全て自分の行動に原因があるとはいえ、サラ金に借金があり、生活費などの支払いもせず、部屋を追い出され、そして闇金の恐怖に支配され、ミィとも離れ、自分自身が全て奪われていました。そしてそれを取り戻すことはできません。

私はこれら自分自身で抱えきれなくなった全てを、目の前にいる佐々木さんにぶつけたかったのだと思います。

「おつかれさま」

「おつかれさま。気をつけて・・・」

私がその衝動を抑えることが出来たのは、私が決して紳士だったわけではなく、立派な自制心を持っていたからではなく、女性に対して真面目だったからではありません。

単純に私はこの日風呂に入っておらず、日差しが強く大量に汗を掻きとても汗臭かったのでそう思われるのがイヤだったのと、何よりもビビッてしまっただけでした・・・。

 

56話終了です。

 

私はこの時期とても仕事が充実していた反面、その他がどん底になっています。そのためそのギャップも大きく精神的にもかなり不安定でした。冷静になることは出来ず、行動は全て悪い方向に向かって進むようになります。そしてますます状況は悪く・・・。

張り詰めた糸はいつか切れます。そうなるまでに一年かかりませんでした。まだまだ地獄は続いていくのです。

まだまだ続きます。

57話↓

ランキング参加中です!応援宜しくお願いします。

↓ ↓
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ ギャンブル依存症へ
にほんブログ村

-パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

Copyright© パチンコ・パチスロ依存症を自分ひとりで克服する方法 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.