パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-57

投稿日:2019年8月11日 更新日:

自分の思いとは裏腹に少しずつ状況は悪化していきます。パチンコでの負けと闇金への支払いで数日前まであった4万円は、8千円までになっていました。給料日まではまだ約2週間あるのです。この先どう過ごしていくのでしょうか。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

幸せの味

本来ならば休日のはずの土曜日でしたが、新規顧客の為の資料作りもあり、私は出勤します。会社に来ると2名の営業が休日出勤していました。

「おはようございます」

「おはようございます・・・」

いつものような殺伐とした雰囲気がなく何か変な感じがしました。

早速席に着き資料作りに入ります。

2社同時ということもあり、かなり追い込まれたスケジュールですが今日と明日の2日間あれば何とかなるでしょう。

私はかなり集中していたのもあり、昼食を取るのも忘れて仕事に没頭しています。気がつくと夕方近くなっていて、他の二人はすでに上がっていました。

事務所には私一人になっていて、朝感じた変な感じがさらに大きくなっています。

時刻は19時。私は一段落したのもあり、上がることにしました。

会社を出た後、この後どうするか考えます。残金は8千円しかありません。このお金で給料日までをしのがなければいけないことを考えるとまた絶望が私を襲いました。

風呂にも入らなければいけませんし、食事も取らなければいけませんし、洗濯をしなければそろそろシャツも靴下も下着も底をついています。

ここでまたパチンコ・パチスロを打ちたい衝動に駆られます。まだ時間は8時前。一勝負するには十分な時間でした。

しかし昼食を取っていないため空腹に耐え切れなくなっていたのと、車に乗り込んだ時に感じた体臭に耐え切れなくなりその衝動を抑えることが出来ました。

考えてみると昨日は、夕食も半額のおにぎり1個しか食べていませんし、風呂にも行っていませんでした。

私はまずスーパーに寄り、半額になった弁当を物色します。そこで白身魚のフライ弁当を買い、車内で夕食を済ませました。213円でしたが、今の私には重くのしかかります。

また、風呂と洗濯をどうするか私を非常に悩ませます。銭湯が450円、コインランドリーが400円、しかも乾燥機をかけなければいけないのでプラス200円。合計で1050円なくなる計算でした。

ここで改めてパチンコの衝動が私の中に沸いてきました。時間は8時半でしたので急いで行けば勝負は可能です。少しでもお金を増やし安心したい気持ちに全身が支配されているようでした。

しかし私は風呂と洗濯をする判断をします。いつもならば間違いなくパチンコに行っていたでしょう。

それなのにパチンコに行かなかったのは、現状が上手く行かず疲れていたのと久しぶりに仕事が充実しているのがあったからだと思います。もちろん湯船に浸かりながらも、乾燥機の中を回るシャツや下着や靴下を見つめている間も、頭の中からパチンコは離れませんでした。

翌日、警察に声をかけられた公園とは別の公園の駐車場で目を覚まします。日曜日ということもあり、すでに数組の家族連れがいました。

多少気まずい雰囲気を感じながらも、水のみ場で顔を洗い、ペットボトルに水をいれ、車に戻り歯を磨きます。

そしてコンビニに寄り、大きなパンを一つ手に取ります。こんな時に選ぶのはおいしそうなパンや食べたいパンではなく、とにかく量が多く腹持ちの良さそうなものです。

会社に着きドアを開けようとすると、鍵がかかっています。今日は私以外誰も出勤していないようでした。

しょうがなく守衛室に行き、社員証を見せて鍵を開けてもらいます。がらんとした事務所が久しぶりだったので少し違和感がありましたが、すぐに席に着き作業を始めました。

作業を始めえ30分後、いきなり事務所のドアが開きます。

「おはようございま~す」

「佐々木さん、おはよう。どうしたの?あれ、子供もいっしょ」

「うん、差し入れ持ってきたわ。口に合うかわからないけど、どうぞ」

「あ、ありがとう。すいません」

「あはは、いいのいいの。今日チビつれて動物園行くから、あべさんいるかなと思って、ついでよ。あべさん居てよかったわ」

「まじすか。じゃぁ遠慮なくいただきます」

この間、佐々木さんと手を繋ぎながら、終始笑顔でいる子供の存在がとてつもなく私に癒しを与えてくれました。

その何にも汚されていない純真な笑顔が、幸せの象徴のような気がして、私の荒んだ心が一瞬全て許された気になります。

きっと佐々木さんはパチンコとは無縁でしょうし闇金の恐怖を知らないでしょう。事情があって離婚はしたのだろうけど今はとても幸せに見えます。おそらく造園所の駐車場から見下ろす夜景の光の一つは佐々木さんが放つ光だろうと思いました。

そして体臭を気にせず距離をとらずにそばで何気無い会話が出来ることに喜びを感じます。昨日意を決して銭湯にいったことを心底良かったと思いました。

「じゃぁそろそろ行きますね。仕事の邪魔してごめんなさい」

「いえいえ。気を使ってもらってすいません」

「いやいやこちらこそ、そんなんじゃないですから」

「フフフ笑、いくわよーあべさんにバイバイして」

「ばいば~い」

さらに満面の笑顔を見せてくれ、私を幸せな気分にしました。

佐々木さんが帰り、すぐに作業に集中します。とても順調で思ったより早く終わりそうです。

昼になり、佐々木さんの差し入れを開けると、使い捨てのランチボックスに小さなおにぎりと卵焼きやから揚げなどが入っています。

どう見ても、ついでではなく、私用につくった弁当でした。

おかずはどれも美味しく、優しい味がします。食べながらその味を噛みしめると子供の幸せががさらに想像できました。

いつも食べている、スーパーの半額弁当や牛丼屋の食事はこんな優しい味はしません。

そしておにぎりを口に頬張った時、別な感情と思いが沸いてきます。

「ミィのおにぎりはこれの倍くらいデカかったな・・・」

幻影

翌日、会社に着き新規の2社の契約に行くために準備を始めます。地方ではありますが今回は出張ではなく日帰りです。

営業スケジュールのホワイトボードにある、自分の名前の欄に”地方””出張”と書き出口に向かいました。出口までの間に佐々木さんの席の側を通ります。

「あ、佐々木さん。昨日はごちそうさまでした。美味しかったです。」

「あ、いえいえ。気をつけていってきてくださいね」

「うん。いってきます」

「いってらっしゃい」

なにか二人だけの秘密を共有しているようで、少し緊張してしまいました。こんな時の男は実に単純です。自分で勝手に相手に好意を持たれていると勘違いするだけでモチベーションを上げることが出来るのです。もちろん何も思わない男性に対してわざわざ弁当を作るというのはありえないので、佐々木さんもまんざらではないかもしれません。

空が青く日差しが強い日です。新規の会社までは道中約2時間半かかりますが、気分良く運転しながら現地に着くことができました。

早速1社目を訪問します。

「失礼します。○○コーポレーションのあべと申します」

「少々、お待ち下さい」

すぐに契約書に記入してもらい、記入もれ、ミスがないか隅々までチェックしました。サービス運用開始までは2週間と短いので、書類のミスがあると開始が遅れてしまいます。

「問題ありません。ありがとうございます。では再来週の月曜日に運用開始になります。もちろん当日は私もお伺いさせて頂きまして、全てフォーローさせていただきます」

「わかりました。よろしくお願いいたします」

「はい!かしこまりました」

「いやぁ、何だかこちらのわがままで急がせたようで申し訳なかったね。思ったより早く進めることができて助かりました」

「とんでもございません。サービス開始してからもフォローいたしますの今後ともよろしくお願いします」

これで余程のことがない限り、新規顧客1件獲得です。剣崎課長も喜ぶでしょうし、他の社員の私に対する評価も良くなるでしょう。

時計を見ると14時を過ぎていました。2件目の会社には15時でアポを取っているため、まだ少し時間があります。この場所からは15分もかからず着くので、私は遅めの昼食をとることにしました。

無意識のうちに財布を開き現在いくら所持金があるのかを確認しました。みると5千円札が一枚と千円札が一枚です。生きているだけでお金は自然と減っていきます。改めてその事実に落胆しました。

コンビニに寄り、出来るだけ大きくて腹持ちの良さそうなパンを手に持ち、レジに並びます。せっかく上がったテンションがまたいつものように、気分が落ち込んでいくのがわかりました。

大きくて腹持ちの良さそうなパンをすぐに食べ終わり、2件目に向かいます。途中で車を停め時間調整と気分を整えるため窓の外を見つめ何とかテンションを上げようと努力します。

新規の顧客の契約です。暗い顔や態度で訪問するわけにはいきません。とりあえず所持金がどんどん少なくなる不安を、何とか忘れようと努力しました。

とその時、遠くに一人の女性が歩いているのを遠くに発見します。後姿しか見えていませんが、露出度の高い服装で髪が金髪の女性でした。

もちろん私が今まで会ってきた知り合いの女性ではありませんが、なんだか懐かしい感覚を覚えます。気がつくと無意識に車を走らせていました。

しかしその女性が居たはずの場所まで来ると、もうすでに姿はありません。

「今の感覚なんだったんだろう・・・。」

不思議な感覚と懐かしい感覚を胸に、改めて2件目の会社に向かいました。

訪問先に着き、無事契約を済ませその会社を出ます。仕事は完璧でした。2件目も契約完了です。サービス開始は1件目の会社の翌日にしました。運用開始の時に連日で改めてこちらに出張すればOKです。

一息ついて、帰路につきます。先ほどの女性のことはすでに忘れていましたが、感覚だけは残っていました。

もう絶対に戻らない懐かしい感覚と不思議な感覚。

そしてその感覚は時間が経つにつれ少しずつ小さくなっていきます。

その感覚が小さくなると同時に、また不安や恐怖、違和感が渦巻き私の体を支配し始めました。

 

57話終了です。

 

所持金がだんだん少なくなっていってます。それに伴い恐怖や不安は私の中から消えることがありません。いつもならここでまた「勝負!」となっているはずでしたが、仕事が忙しかったのと、佐々木さんが優しくしてくれたこと、佐々木さんの子供の笑顔に癒されたことでパチンコ・パチスロを打たずに済みました。しかしこれは私の意志でパチンコの衝動をコントロールしたのではなく、あらゆる状況で「打てなかった」だけです。

私はパチンコ依存症・パチスロ依存症。そして不幸の実は私の知らないところで育ち、急に私の前に現れることになるのです。

 

まだまだ続きます。

58話↓

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