パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-59

投稿日:2019年8月25日 更新日:

私の中から様々なものを奪っていく闇金の恐ろしさを改めて感じていた私ですが、一人ではどうすることも出来ない現実に大きな絶望感を感じています。それと同時に一刻も早くこの苦しみから逃れて、安心したいと強く思っていました。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

ピンクの付箋

いつも通りの朝です。目が覚め、公園の水のみ場で顔を洗い、ペットボトルに水を入れ歯を磨く。そしてスーツに着替えて出勤する。車での生活を始めたばかりの時に比べれば、ストレスを感じなくなっていましたが、前日に感じた大きな絶望感と早く安心したいという気持は、私の心と体を重くしました。

来週の水曜と木曜の闇金の支払いのために、どうにかしてお金を用意しなければいけません。来週の火曜日には1万5千円入りますが、手持ちの8千円を足しても2万3千円で、2社合わせて3万円には足りないのです。しかも全て支払いに充ててしまうと、給料日までの生活費もないということになります。

このなす術がない状態が心底、気持悪くなり早く逃れたい気持ちに支配されていました。

ここで私が出来ること・・・。

正確に言えば、対処法として最大限考えられること・・・。

いや、もっと正確にいえば、無意識に私を突き動かすのは・・・。

そう、パチンコ・パチスロしかありません。

しかし現在の手持ちは8千円です。

どう考えても勝てる金額ではないのです。

私の中にもう一つの恐怖が生まれました。

それはパチンコに負けることです。

こんな気持になったのはパチンコ・パチスロを打つようになってから初めてのことでした。今までは打つ前に負けることは考えたことがありません。

もし手持ちの8千円全て負けてしまうと、生活費はなくなり、食事を取ることもできませんし、バイトの後でも風呂に入ることが出来なくなってしまうのです。そして闇金の支払いもアウトになります。

闇金の支払いをしなかった時にどうなるかが、頭の中を駆け巡りさらに私を恐怖で支配しました。さらわれるかもしれません。会社にも押しかけてくるでしょう。噂で聞いたマグロ漁船に乗せられるかも・・・。

そうなれば車の中の生活どころではなく、もっと最悪な状況になるはずです。仕事は失うでしょうし、佐々木さんの優しさを感じることは出来ません。そして二度とミィとは会えなくなるでしょう。

そんなことが一日中頭の中を駆け巡り、一日仕事が手につきませんでした。

こんな時の想像力は、かえって恐怖や苦しみを倍増させます。

もう、何も考えることが出来ませんでした。

夕方になり営業を周り終えて、会社に戻ります。自分の席に戻るとパソコンのモニターの淵にピンクの付箋が張ってありました。

”お疲れさま♪あまり無理しないでくださいね。”

こんな状況にワクワクすることもできません。きっと私に好意を寄せてくれているとはいえ、こんなちょっとした優しさを受け止める余裕もありませんでした。

ましてや会社ではそれなりに輝いて見えているのかもしれませんが、それ以外の私はボロボロです。それを考えるととても悲しくなり、どうしようもない気持でいっぱいになります。

私は佐々木さんに関わってはいけないと思いました。佐々木さんとは何も始まってはいません。弁当を作ってくれたり、優しく声をかけてくれたり好意を向けてくれいることは感じましたが、それはちょっとした佐々木さんの出来心かもしれませんし、もしかするとその時たまたま成績の良かった私を労ってくれていただけかもしれません。

だけど今はとても幸せそうな佐々木さんと子供の笑顔を、私が関わることによって全て奪ってしまう気がしたのです。

闇金が、そしてパチンコ・パチスロが私から色々なものを奪ったように・・・。

この時の私は漠然とそう感じていました。

タイムカードを押し、会社を出た私は車に乗り込みます。

ピンクの付箋は右手の手のひらに貼り付けたままでした。

そして私は車を走らせ広い駐車場の端っこに車を停めます。

そこはいつものスーパーの駐車場ではありません。

車を降りた私はきらびやかな光を放つ入り口に吸い込まれるように歩いていきます。

「・・・。」

汗でにじんで、もうなんて書いてあるかわからないピンクの付箋が、手のひらから離れヒラヒラと駐車場に舞い、やがて見えなくなりました。

救世主

その日店内は、イベント日ではないこともあり客はまばらでした。選ぼうと思えばどの台でも座れる状態です。

まずはパチンコの島を散策します。どの台もほとんど回数がついていなく、中には大当たりが出ていない台も複数ありました。

次にスロットの島を見てみます。こちらはパチンコほどではないにせよ、あまり稼動していない様子が伺えました。

いつも打つキングパルサーもほとんど回されておらず回数がついていません。当然のように128ゲームを超えてすぐに捨てられている台ばかりで打つ気になれませんでした。

久しぶりに北斗の拳の島を見てみます。いつもはイベント日ではなくてもほぼ満台でしたが、その日は12台ある内半分しか客は座っておらず、余裕で座れる状態です。

私は何も考えずに空いてる台に座り、財布から千円札を取りだしました。

データを見ると今日の当りは7回で現在のゲーム数は312ゲーム。北斗の拳の天井ゲーム数は1999ゲームですので、8千円しかない私は当然、天井には届きません。

勝つためには自ら当りを引き寄せるしかありませんでした。

最初の千円をサンドに投入します。負ければ本気で全てが終わるような状態でしたが、不思議と焦りや不安はありません。

いつもであれば、お金を投入する度に、焦りと興奮とが入り混じった何ともいえない気持が沸いて来ますがこの日はそれがありませんでした。

最初の千円分のコインは何事もなくあっという間に飲まれます。そして躊躇することなく2千円目を投入しますが、ここでも同じく何も感じませんでした。

頭の中では、絶対に負けられないことは理解しています。サンドに飲み込まれていく千円札一枚々が、まさに命が少しずつ飲まれるような状況です。

しかし頭ではそのようなとてつもない追い込まれている状況は理解しても、緊張感や感情が沸いて来ませんでした。

何か不思議な感じがします。感情だけどこかに置いて来て、それ以外が自分に残っている感じです。

普段感じている、恐怖や苦しみはしっかりと体に居座っていますが、それを感じとるセンサーが私の中には存在しませんでした。

3千円目のコインを消化している時に、一番のボーナス契機である中段にチェリーが停まる2枚チェリーを引きます。

演出はサウザーとの戦いでしたが、ケンシロウの攻撃は効かず、南斗聖拳の前にあっさりと敗れてしまいました。

その後も何も起こらず、投資は6千円目。残り2千円です。人生終了が現実味を帯びてきました。

ここで少しだけ恐怖心が体の中に沸いてきた時、本日2回目の2枚チェリーを引きます。そしてステージはラオウステージ。大当たりに期待できるステージです。

「たのむ・・・」

私は全身に汗をかいていました。暗い荒野を歩くケンシロウを見つめながら、じっとラオウの登場を待ちます。

そしてついに・・・。

”待っていたぞケンシロウ!”

ラオウの登場です。

そして7図柄を揃えた時、さらに驚くことが起こります。それはオーラが赤色でした。

継続率に期待が出来るので、一気に大連チャンの可能性が高まるのです。

「よ、よし、やった・・やった!」

どこかに置いてきた感情が、この瞬間に体に戻ってきました。しかしここで沸いた感情は恐怖や不安ではありません。

”歓喜””興奮”です。

大当たりを順調に消化していきます。ラオウとの勝負も危なげなく勝利していきました。剛掌波を打たれても、トキが出てきて簡単にかわしてくれます。

気がつくとコインはあっという間に2,000枚を超えていましたが、まだまだ終わる気配はありません。

気がつくと私の後ろに数名のギャラリーが出来ていました。そんなギャラリーを尻目に私はおかまいなしに大当たりを消化していきます。

これが続けば闇金の問題を解決できます。車での生活ともおさらばできるかもしれません。精神的にも身体的にもとてもしんどいバイトもやめることが出来るでしょう。

そして30連チャン目、そんな思いを察知されたのか、無情にもラオウが昇天するエンディングが画面に現れます。

「マジかよ・・・」

大当たり終了後、少し回し終了しました。結果は3600枚。

一時は5千枚、6千枚を期待しましたが、残念ながらそこまでは行きませんでした。しかし結果は上々です。

景品を現金に交換し車に戻って大きく息を吐き出しました。大きな安堵感に体が包まれます。

わずか2時間弱の時間で地獄から天国をさまよいました。私は失わずに済んだのです。

財布には7万4千円入っています。これで闇金の支払いは出来る状態になりました。とりあえずの生活も困らないでしょう。

私はそのまま牛丼屋に足を運びます。いつもはつけない玉子も味噌汁もサラダもつけました。店を出るるとその足で銭湯に向います。時間はまだ22時でしたのでゆっくりと湯船に浸かることが出来るはずです。

銭湯から公園に向かう途中、さっきまでの感覚が徐々に変わり、潜んでいた恐怖感や危機感がまた体を支配しようとするのを感じました。

それまでの安堵感を全て飲み込むその物体に改めて恐怖し、危機感を覚えます。手元に7万円あってもそれをどうすることも出来ないのです。

確かに闇金の支払いは可能ですが、元金を残す以上はまた10日後に支払いがやってくるということになります。

私はこの苦しみから、逃れることは出来ていません。

私は、今すぐにでも湧き出しそうなこの気持ちを必死に押さえ込みながらこう思います。

「大丈夫だ。7万円あるんだ。すぐに勝負して、今度は一気にケリつけてやるっ!!」

夜空は綺麗な満月です。それを真っ黒い重い雲が少しずつ被っていきました。

パチンコ依存症・パチスロ依存症が本当に求めているのは安心感です。

しかし、その安心感を得ることはできません。

 

59話終了です。

 

パチンコ依存症・パチスロ依存症の方はこのような経験をされている方も多いと思います。大ピンチをパチンコで乗り越えてしまう・・・。これはさらに依存症を悪化させる原因にもなりますし、さらに大きなものを失ってしまいます。

私も同じでした。自分にある問題に向き合わず、問題を先延ばしするだけです。失う事柄は先になればなるほど大きくなっていきました。

不幸の芽は自分の知らないところで、気付かない内に育つのです。

 

まだまだ続きます。

60話↓

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