パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-60

投稿日:2019年9月1日 更新日:

大きな絶望の中で向かった勝負を大勝利で終えた私は、とりあえずの安心感を手にします。財布の中には7万4千円。闇金の支払いはこれで大丈夫です。しかし元金を残すと改めて10日後には改めて苦しみがやってきます。私は本当の意味での安心感を得ることは出来ませんでした。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

意志喪失

その日の仕事は気分良く行うことができました。財布の中にあるお金が、私の心を落ち着けます。この後何もなければ闇金の支払いは問題なく可能なのです。

しかし安心感の反面、もう一つの感情がしっかりと残っていました。

「闇金を終わらせたい・・・じゃないとまた支払いがやってくる・・・」

元金がある以上、利息は発生してしまいます。そうなれば、また支払いという恐怖はやってくるのです。私はこの違和感を排除したくてたまりませんでした。

昨日までは、闇金の支払いが出来ないことに苦しみ、それが可能になれば闇金の苦しみをなくせない辛さに耐えられない気持ちになっています。

そして、気持ちの中にもう一つの問題が見え隠れします。

それはバイトをどうするかです、出来ればすぐにでもやめたい気持ちでしたが、せっかくの収入源です。今後、何があるかわかりませんし、生活の建て直しには必要です。やめたくてもやめられないという相反する気持ちが私の中に新たな違和感を生み出しました。

タイムカードを押し、会社を出た後もこの違和感は私を苦しめます。財布の中にはいつもより多くのお金が入っているのにです。

とりあえずのところはバイトに行かなくても、生活は可能になります。

今日はバイトの日。私はいつも通りのスーパーで買った、半額の弁当を頬張りながら直前まで行くかどうかで悩んでいます。

一瞬、パチンコのことが脳裏を過ぎります。このまま勝ち続ければバイトに行くよりもはるかにコスパが良いのです。

今の私には負けることは考えられませんでした。

バイトに行き関口の態度にムカつくこともなく、油や食品が腐敗した臭いやカビの臭いに耐える必要がないのです。

昨日のように勝てば、闇金などあっという間になくすことが出来るのです。

エンジンをかけ車を走らせます。

等間隔にある街灯が、私をどこかに導くように感じました。

「早く、こんな生活から脱出したい・・・」

こんなはずではなかった。という気持ちがさらに私を追い込んでいきます。どんなにラッキーなことがあっても一生、苦しみから逃れられない気がしました。

しばらく走っていると、佐々木さんのことが頭に浮かびます。しかし頭に浮かぶのは幸せそうな顔や、優しさではなく不埒なことばかりです。

それは苦しみや恐怖しかない自分の中を少しだけ浄化してくれました。

そういえば、久しく”ヤって”いませんでした。ミィと最後にしたのはいつだったかも思い出せません。一人で処理もしていませんでした。

佐々木さんが頭から離れません。子供がいるとはいえ、制服の上からもわかる体つきは私の妄想を十分に満足させるものです。

その時、私は赤信号で止まっていて、信号が青になっても気付きませんでした。後ろにいる車にクラクションを鳴らされます。

「ヤ、ヤバっ・・・」

急いでアクセルを踏み車を発進させました。

改めて自分の現実を後悔します。

もし私が闇金に手をだしていなければ、ミィとも離れずに済んだでしょうし佐々木さんと何かあったかもしれません。昨日のようにパチンコで大勝ちすれば風俗にいってたはずでしょう。油や食品の腐敗臭を嗅ぎ、つらい思いをしなくても良かったはずです。

そんな普通のことを闇金はすべて奪っていきました。

そしてその原因はパチンコ依存症・パチスロ依存症です。

駐車場に車を停め中に入っていきます。

「おはようございます・・・」

気がつくとそこはネオンや雑音がある場所ではなく、もう一つの違和感を生むバイト先です。

いつもの私ならば、確実にバイトには行かず、パチンコに行っていたでしょう。それなにあんなに嫌だと思っている、バイトに来てしまったのです。私はワケがわからなくなります。まったくの無意識での行動でした

荒んだ車での生活や、恐怖や苦しみ、普通に生きられない情けなさ、いつも押しつぶされそうな気持、失っていく喪失感。

それらが一気に押し寄せ、私は意志さえ失っていました。

攻撃本能

自分の意思が無い。不思議な感覚でした。

もちろん闇金に対しての恐怖や、普通に生活できない辛さや押しつぶされそうな感覚はいつもありますが、何をするにしても自分の意志で動いている気がしないのです。

営業に行きサービスの説明をするのも、カビや食品や油の腐敗臭にもどしそうになりながらバイトをするのも、食事をするのも、風呂に入るのも、全て自分ではない気がしました。

結局、次の土曜日のバイトも行きました。あれほどストレスを感じて行きたくないバイトでしたが、時間になると無意識に現場に着いています。

相変わらず、腐敗臭に耐えられなくなり、関口にはムカついていましたが、私はバイトをやめませんでした。

その日の現場を全て済ませ、事務所に戻った後、着替えていると社長が近寄ってきました。

「あべさん、どうもおつかれさま。どうです?なれましたか?」

「あ、はい、なんとか・・・」

私は曖昧な返事をしました。

「そうですか。それは良かった。で、来週もシフト火曜・木曜・土曜でお願いします。というかしばらくは同じ曜日ですね」

「あ、はい。わかりました。で、あのう・・・」

「どうかしましたか?」

「実は、再来週、出張がありまして火曜日はお休みさせてほしいのですが」

「再来週ですね。わかりました。大丈夫ですよ」

再来週は、新規で獲得した会社の運用開始日で月曜火曜と出張なのでバイトにはこれません。休むことによって関口が何か言ってきそうでイヤでしたが、しょうがありませんでした。

バイト先を出た後、まっすぐ風呂に向かいます。そして風呂を出た後そのまま広い駐車場で仮眠を取り、そのまま会社に向かいました。

日曜日のため誰も出勤しておらず、広い事務所の中で一人で仕事をしていました。運用開始のある程度の流れや、トラブルシューティングをまとめとかなくてはなりません。

相変わらず自分の意志が無いような不思議な感覚でしたが、闇金の恐怖や苦しさは私を支配していました。

昼近くになり、お腹が空いてきます。ここでふと佐々木さんのことが頭に浮かびました。そして意思が蘇ってきます。

先週は子供一緒に動物園に行く途中に寄ってくれ、私に弁当を持ってきてくれました。私は佐々木さんが、また弁当を持ってきてくれるのではないかと期待します。

当然、佐々木さんは私が日曜日に会社に来て仕事をしてるのは知らないのでその可能性はほとんどありません。期待したというよりも”求めていた”と言った方が正しいでしょう。

そして私が求めていたのは、佐々木さんが作った弁当の優しい味や子供と二人でいる幸せそうな雰囲気、ましてや空いているお腹を満たしたいということではなく、佐々木さんの身体です。

子供を生んだのに崩れていない体型や、一度崩れてしまった幸せを必死に立て直そうとしていてそれが叶いつつあるのが、白く綺麗で透き通った肌に現れ、キラキラとした表情が溢れている雰囲気。それを自分に取り込みたいと本能的に思いました。

現在の自分には無く、そして生み出すことが出来ない力を佐々木さんは持っていました。私はそれをどうしても自分の身体に取り込みたかったのです。それで満たされたいと思いました。

大きな胸もその全ての象徴なはずです。

当然ですが、いくら待っても佐々木さんは来ませんでした。

ここで急激に空しさが体を襲います。

溢れる攻撃本能だけがむなしく空回りしていました。

しばらく妄想が頭の中を駆け巡っていた時、ふと幼少の頃の記憶がよみがえります。

それは6歳の頃の記憶です。

周りを山に囲まれ、大きな川が流れる人口2千人くらいの小さな町で私は育ちました。

私は近所に住むおじさんにニジマス釣りに連れて行ってもらいます。

そのおじさんはとても強面で、近所の評判はあまり良くないようでしたが、私に釣りやザリガニのとり方を教えてくれた存在で私は大好きな人でした。

家に上がった時に見た、猟銃や仕留めた獲物の写真や剥製を見た時の興奮は、今でもしっかりと体に刻まれています。

上流の、流れがきつく綺麗な水が流れるその場所で、ハリの糸への結び方やうきやえさのつけ方、あわせ方などじっくりと教えてもらいました。

一通り準備が済んだ後、川の中に入り釣れそうなポイントを指差されその辺りに投げろと指示されます。そしておじさんは川の中に進んで行きます。私はおじさんに着いて行きましたが、長靴の中はすぐにびしょ濡れになり、6歳の小さな体の私は川の流れに抵抗するのに必死でした。

「よし、ここから投げろ」

「うん、わかった」

川の流れによろめきながら、何とかそれに耐え竿を振っていきます。

最初の内はポイントから大幅にずれていましたが、徐々に近くなるとニジマスがあたるのがわかりました。

糸の先から竿に伝わる、その命の反応を感じたとき、体全身に何かが沸いてきて、興奮が体を包みこみます。

しかし当っているのは感じても、中々釣り上げることはできません。その度に興奮は消えてなくなります。私は何としてでもこの興奮を取り込みたいと思いました。

「まさたか、いいか集中しろ!集中ってわかるか?」

「うん、わかった」

本当はわかっていませんでした。6歳の私が集中の意味を知るはずがありません。

「瞬間だ、当ってニジマスが口を開けた瞬間にあわせろ」

口を開けた瞬間なんかわかるはずはありませんが、子供の私はそれを理解します。

気がつくともう1時間以上川の中にいます。その間もおじさんは自分では竿を振らずに自分の横で川下側に立ち、じっと私についてくれていました。

そして、さっきまで感じなかった衝撃を竿から感じました。

「お、おじさん、きたっ!かかった!!」

「よしっ!まさ、引けっ!じっくりだ慌てるな」

たかがニジマスですが、6歳の小さな体にその命のエネルギーは、竿を伝って大きく私に襲い掛かってきます。

私は小さな体で必死に抵抗し、それを取り込もうとしていました。

「やった!」

「よし、よくやった!」

キラキラと輝くその体と命のエネルギーに打ち勝った時、得体の知れない感覚が全身を駆け巡ります。

6歳の私はそれが”快楽”ということに気付くことができず、ただただそれを受け止めていました。

おじさんの家に戻ると、釣ったニジマスを塩焼きにしてくれます。

「まさたか、食え」

「うん、おじさんは?」

「おまえが先に食え。狩りと釣りは釣った奴、狩った奴が、最初に食うんだ」

「わかった」

自分で釣り上げたニジマスを口に入れた時、いつも強面のおじさんが笑顔を見せてくれます。

「美味いかっ!」

「美味いっ!」

ニジマスを口にする度に不思議な感覚になっていきます。それは母が作ってくれた魚料理を口にするのとは、全く違う感覚でした。

おそらく男が持つ狩猟本能や攻撃本能は快楽や性欲と密接に関係していて、その産物としてひと時の安心感を生み出すことが出来ます。

おそらく私がこの時にした仕事をしながらの佐々木さんへの妄想は、心の奥に眠る狩猟本能であり攻撃本能でした。

そしてそれを利用して何とか自分の意志を取り戻し、その先にある安心感を求めていたのです。

しかし、この時の私は、竿の振り方もハリの結び方もあたりを捉える瞬間の集中も、持ち合わせていません。闇金や車での生活や恐怖や苦しみが全て奪っていきました。

私は求めながらも佐々木さんを取り込み、性欲や快楽を満たし、その先にある安心感を得る術がなかったのです。

仕事を終え、情けなさと無力感を抱きながら会社を出ます。さらに自分の意志を感じられなくなっていました。

それでも恐怖や苦しみは全身から離れず、気持ちの置き所を求めています。

無意識のまま車を走らせ、ネオンが光る駐車場に停めます。広い駐車場の遠くには泥で汚れてくしゃくしゃになったピンクの付箋が小さく見えました。

パチンコ依存症・パチスロ依存症の私が本当に求めているのは安心感です。

しかしここには、本当の意味での快楽も安心も存在していませんでした。

 

60話終了です。

 

闇金の苦しみや恐怖、普通ではない追い込まれた生活は、私の中からたくさんのものを奪い、そして多くのものを失いました。それは取り戻せないものばかりです。

その全ての原因はパチンコ依存症・パチスロ依存症です。

私はそれに気付かず、自分と向き合うことが出来ませんでした。それが積み重なり次第に自分の意思さえ奪われていきます。この頃、その時その時「今が一番苦しい」と思っていましたが、この後さらに状況は悪くなっていったのです。

 

まだまだ続きます。

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