パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-61

投稿日:2019年9月8日 更新日:

意思を持てない状態に違和感を感じながら、元の自分を取り戻そうとしていた自分はそれを妄想で何とかしようとします。しかしその妄想は虚しく空回りするだけでした。仕事を終え、会社を後にした私が向かった先はいつもの場所です。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

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いつものような興奮もなく、とてもフラットな気持ちで店内にはいります。日曜日ということもあり、満席というわけではありませんでしたが多くの客で賑わっていました。

軍資金は約7万円という十分すぎるお金が財布に入っています。とりあえずこれだけあれば多少無理な立ち回りも可能でしょう。とはいえ勝つための立ち回りなどほとんどしたことがありませんでしたが・・・。

闇金の恐怖感は相変わらず体を支配していましたが、いつもみたいに興奮する感覚がないのは不思議な感じです。

パチンコの島を早々に後にして、パチスロの島に向かいます。空き台が少ないので選べる感じではありませんでしたが、私にしては珍しく空き台を1台ずつチェックしていきます。

チェックしながら歩きましたが、打ちたいと思える台がありませんでした。ここでも私は違和感を感じます。いつもなら勝算度外視でとりあえず台を確保したはずですが私はそうしませんでした。

そのまま、何も打たずにただただパチスロの島を歩いています。相変わらず多くの席が埋まり、何台か空きが出ても打つ気にはなれません。

初めての感覚に戸惑っています。打たずに帰ろうという気持ちも少しずつ湧き上がってきました。

そして店内をうろついて30分が経ったころ、満席だった北斗の拳に座っていた人が席を立ちます。私は無意識にそこに向い、下皿にタバコを放り投げました。

台をキープした後にデータ機を見ると何と1132ゲームです。しかし四号機北斗の拳の天井は1999ゲームですが、仮に天井まで行くと約3万円弱のお金が必要になります。継続率が高い北斗揃いを引きやすいという恩恵はありますが、単発で終了する確率も考えられるのです。

私はそのようなリスクを考えずに、いつも通りにサンドに札を投入しました。前回、北斗の拳で大勝し、勝つイメージがあったのも大きかったと言えるでしょう。もちろん根拠は全くありません。言ってみれば”養分”脳ともいえる考えです。

コインを入れレバーを叩き、ゲームスタートです。そして変化は数ゲーム消化した後すぐに訪れます。液晶に稲妻が走りステージチェンジしましたが、移行先が高確率が期待できるジャギステージです。もちろんそれまでにレア役を引いたわけではないので、もしかすると前任者が何か引いた可能性はあります。しかし確率は少ないですが通常状態でも移行はするのです。ちなみに通常状態で2枚チェリーを引くと約25%で大当りしますが、高確率状態で2枚チェリーを引いた場合は100%大当たりします。

ここでも私は冷静でした。いつもなら高確率である期待に興奮し、必死にチェリーを引くように祈りながらレバーを叩いていたことでしょう。

しかし今日の私は淡々とレバーを叩きストップボタンを押しています。最初の千円分のコインが無くなり2千円目を投入してすぐに、赤のプロテクターを着けた雑魚キャラが現れました。

そしてストップボタンを押し揃った図柄は、

2枚チェリーです。

しかもここでラオウステージにステージチェンジです。もし高確率状態であれば100%で、通常状態でも約25%で当りになります。

そこから数ゲーム。液晶の演出では雷が鳴り響き、崖の上がアップになります。

「待っていたぞ、ケンシロウ!」

なんと2千円で当りを引いてしまいました。

しかし、ここでも私の感情はフラットです。いつもなら最高潮に興奮している場面であり、少ない金額で当りを引き、この上ないスタートの場面なのに感情が沸いてきませんでした。

大当たりがスタートして、いつもは1ゲーム1ゲームドキドキしながら消化している、ラオウとケンシロウの対決も、通常時を消化するように回していました。

どんなにラオウが攻撃してきても、焦りや不安がなくレバーを叩いています。気がつくとまたもや20連荘を超え、コインは3,000枚近くになっていましたが終わる気配はありません。

時間の経過もあまり感じませんでした。

そしてラオウが昇天して大当たりが終わり、念のため100ゲームほど回して、呼び出しボタンを押します。

コインを流すと、約4,000枚弱。またもや大勝です。

そして車に戻りお金を数えると、15万円。

財布に1万円札がたくさん入っています。久しぶりの感覚でした。

ここで、再び以前の感覚がよみがえってきます。消えていた自分の意思が急に戻って来ました。

そこで再び、恐怖や苦しみが私の体も心も支配し攻撃しようとしてきました。

しかしここでこれをかき消すことに成功します。

「よしっ!これで闇金とオサラバだっ!!これで全部返せる」

私はとても安堵していました。恐怖や苦しみの原因である闇金をやっと排除することに成功したのです。

窓を見ると小さな雨粒が付いています。

私の晴れた気持ちとは裏腹に、空を見上げると星の光も月明かりも真っ黒な雲に覆われていました。

区切

「おはようございます!」

とても気分が良い朝でした。最近とは違い、気持がとても前向きです。昨日の大勝により闇金を完全に返済する目処が出来たことが私の気持を軽くさせました。

しかし私は気付いていません。自分の中にある問題をすべて解決出来たわけではないのです。いうなれば私は、「勝ってしまった」だけでした。

もちろん幸運ともいえますが、自分の中にある問題を本質的に理解していなかったのです。

会社を出て車に乗り込み、営業先に向かう前に通り道にあるコンビニの駐車場に車を停めます。

まずは明日支払い予定の闇金に連絡することを先に済ませようと考えました。少しでも早く私を苦しめている元凶を処理したい気持ちの現れです。

「はい、希望ファイナンス」

低くぶっきらぼうな声でそう言います。いつ、聞いても不快な声です。しかしこの声を聞くのも今日が最後になると思っています。

「あ、もしもし・・・あべまさたかと申します」

「あ、あべさん。明日の支払日の連絡か。どうすんだ?ジャンプか?」

「あ、いえ・・・。あの、元金も全額返済します」

「そうか、ちょっとまってろ」

「はい・・・」

電話が保留音に切り替わり、雑音の混じった音程が少しずれているメロディがとても不快でしたが、この先はこんな思いを感じなくていいかと思うと少しだけ気が楽になります。

「もしもし」

「はい・・・」

「じゃぁ4万5千円で完済だ。で明日は何時に来るんだ?」

「あ、はい。実は明日は仕事の関係でどうしてもお伺いできないので、これから行ってもいいでしょうか?」

「わかった、で何時くらいに来るんだ?」

「午前中に行けます」

電話を切った後、すぐにもう一軒の闇金に電話をします。本来支払日は明後日なので連絡は明日でいいのですが、すぐにでも解決したい気持ちが先行しました。少しでも早く苦しみや恐怖の元を掻き消したくて少し、焦っていたのです。

「もしもし、リッチファイナンスです」

「あ、あべまさたかと申します」

「あべさんですね。どうしました?」

「あの支払いなんですけど・・・」

「支払い?ちょっと待って下さい。電話変ります」

受付の女性から、いつもの男が電話口にでます。

「あ、もしもしどうした?返済日伸ばすの認めねぇぞっ」

とても凄んだ声で恫喝してきました。私はその迫力に一瞬怯みましたがなんとか立て直し、こう続けます。

「あ、い、いや、あの、そうではなくて、前日というか今日これから振り込みたいなと思いまして・・・」

「今日?利息は変らないぞ、いいのか?」

良く考えてみると利息が変わらないことは不服でしたが、私はそれに了承しました。早く縁を切りたかったのです。

「は、はい大丈夫です・・・・」

「わかった。ちょっと待ってろ」

保留音が流れ、一旦電話を離れましたが、すぐに戻ってきました。

「ジャンプなら1万5千円だ」

「い、いえ・・・元金も全額払います」

「全額?あべさん大丈夫なのか」

態度が少し軟化しました。闇金とて商売です。貸し付けているお金がなければ儲かりません。

「はい、実はバイトしまして、その給料入ったのでお返しします・・・」

「そ、そうか。じゃぁ4万5千円だ」

「はい、わかりました」

「いつ振り込むんだ?」

「今日これから振り込みます。」

「わかった。じゃぁメモいいか?銀行は○△銀行×□支店・・・・・」

私は口座番号等をメモします。

「振込み終わったら、また連絡よろしく」

「はい・・・」

電話を切ったあとすぐ近くにある銀行に行き、すぐに振込みを済ませました。結構大きな支店でもあり、ATMの台数が多かったので比較的スムーズに振込みを終了します。そしてすぐに電話をかけました。

「もしもし、リッチファイナンスです」

「あ、すいません。あべまさたかともうします。今、振込みしました」

「ちょっとお待ち下さい」

いつもの保留音のあと先ほどの男に電話が変ります。

「振り込んだのか?」

「はい、今振り込みしました。」

「わかった。また何かあったら連絡してこい」

「はい・・・」

二度と連絡しないことを誓い電話を切りました。

そしてすぐにもう一軒の闇金に車を走らせます。闇金の事務所がある雑居ビル近くでコインパーキングを探しそこに入庫しました。いつもは少しでもお金を浮かせるために路上駐車していましたが、今日の私の財布には余裕があるのです。

少し歩き雑居ビルに入ります。いつも思うことですが、あまりいい気はしません。

「失礼します」

「はい」

「す、すいません。あべです。支払いに来ました」

「少々お待ち下さい」

受付にいた男が奥に消えていきます。待っている間にはパテーションの奥から、もの凄い怒号が聞こえて来ました。

”だからテメェ返せないってどういうことだゴルァッ!!%&△×#**!!!”

その迫力に想わず身をすくめて縮こまってしまいます。この時改めて今まで感じていた恐怖や不安、苦しみが全身を包みました。

おそらく返せなくなった債務者が詰められているのでしょう。冷静に考えてみると私もそうなる可能性があったのです。

たまたま私は2日連続で大勝したので返せたということになります。運?が良かっただけでした。もしパチンコで勝っていなければ早かれ遅かれそうなっていた可能性は大といえるのです。

私はその事実に改めて恐怖します。「闇金はもう絶対に手を出さないようにしよう」と改めて思いました。

15分ほど待たされていますが、一向に奥からいつもの男が出てくる気配がありません。その間も怒号が続いていたので、その件が済むまで待たされるだろうと覚悟します。改めてコインパーキングに車を停めたことを良かったと思いました。

そこから10分が過ぎた頃、ようやく男が私の書いた借用書をもって現れます。

「全額返済だったよな」

男は取り繕ってはいましたが明らかに不機嫌そうな感じでした。

「は、はい・・・」

「4万5千円」

「はい・・・」

私は1万円札4枚と5千円札1枚を渡しました。

男はお金を数え終わると、私の目の前で借用書を破り破棄します。

「じゃぁ、これで終わり。また入り用があったら来いよ。話聞くから」

「わかりました・・・」

雑居ビルを出ると、久しぶりに恐怖や不安や苦しさから解放された自分に気がつきます。コインパーキングまで歩く間、空の青さも、柔らかく降り注ぐ太陽の光も、道端に咲く名前がわからない花の綺麗な色の花びらも、全てが私を祝福してくれているように感じます。

車を出した後、ぼんやりと今後のことを考えましたがネガティブなことは一切頭に浮かびませんでした。

私は一番の苦しみである、闇金をなくすことにより他の問題や自分にある問題もこのまま解決出来ると勘違いしています。

冷静に考えるとまだまだ問題は山積みなのです。家賃やガス代など未納の支払いは残っているのです。もしかすると、とっくに部屋は私が住めなくなっているかもしれません。

そしてなにより、私はパチンコ依存症・パチスロ依存症でした。

私はいつでも元の苦しみや恐怖に支配される状態に戻る可能性を持っていますし、もっと言えばさらにどん底に落ちていく可能性も大いに持っていたのです。

数件の営業を回り、昼食を取るために定食屋に入り、しょうが焼き定食をたいらげます。昼食で850円を躊躇なく使える心の余裕がありました。いや正確に言うと闇金を完済したことによる慢心があったのでしょう。

このまま行けば全てが解決すると思っていました。パチンコ・パチスロも負ける気がしません。おまけにバイト代も入って来るのです。元の生活に戻るのは時間の問題の気がしました。

お腹が膨らみ一服しながら、ミィのことを考えます。

「ミィ、待っててくれ、もうちょっとだ。もう少しでまた会える」

しかしこの先、ミィとの再会は自分が考えていたシチュエーションと全く違う場面での再会となります。

この時の私が最も考えたくないシチュエーションでした。

 

61話終了です。

 

この時の私は生活を立て直す大きなきっかけを手に入れました。一番の問題である闇金をなくすことが出来たのです。しかし私の問題は闇金だけではありません。たくさんの未納の支払いがあり、家賃を支払っていないため部屋を追い出され、まともな生活ができていないのです。これらを一つずつ向き合い解決しなければいけないのに、それを考えることができませんでした。

そして何よりこの時の私はパチンコ依存症・パチスロ依存症です。すぐに最悪の状況になるための爆弾を常に抱えています。

それに気付かず浮かれていた私が、以前より地獄を感じることになるのに長い時間はかかりませんでした。

 

まだまだ続きます。

62話↓

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