パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-63

投稿日:2019年9月22日 更新日:

新規顧客の導入日。地方に出張に来ていた私は、久しぶりの布団の感触を噛みしめています。一番の苦しみであった闇金を返済し終わり、何もかも調子よく感じていた私は、このまま全てが上手くいくと思っていました。

そんな時に20代の私が一番先に立つのは性欲です。佐々木さんとのこともあり、我慢が出来なくなっていた私はデリヘルを呼びます。しかしそこには信じられない光景がありました。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

ソウルサエキ←56

「えっ!・・・」

「あっ!・・・」

デリヘル嬢が部屋に入りドアが”バタン”と音を立てて閉まった時、捻じ曲がった空間はピーンと張り詰め、時が止まった感じがしました。

「あ、あぁ・・・」

「う、うん・・・」

オレンジ色の電球の光の下に立っていたのは、髪を全て金髪に染め、ピアスが3つ空いている派手なメイクでショートパンツ姿の佐伯さんです。

私は一瞬目を疑いました。会社にいた頃は清楚な雰囲気で黒髪でありメイクも地味でそれほど目立たない存在の女性だったはずです。その頃の面影はほとんどありませんでした。

「げ、元気そうだね・・・?」

「うん」

私はベッドに腰掛け、佐伯さんはどうしたら良いかわからないといった表情で立ちすくみます。

「あ、ご、ごめん。何か飲む?」

「うん・・・」

部屋が気まずい空気で満たされています。私は佐伯さんがデリヘル嬢として働いていることよりも、会社の元女性の同僚に出張の合間にデリヘルを呼んだことを知られたことが恥ずかしくてたまりませんでした。

会社ではそこそこ成績が良く、仕事もきちんとこなしていて、プライベートも充実しているような自分を必死に演じています。

きっとそんな私を見て、佐伯さんは私と食事に行き、造園所の駐車場で夜景を見ながら心の内を言葉にし、自分の夢を語ったに違いありません。きっと私のことを男性として見ていたでしょうし、好意を持ったのだと勝手に受け取っていました。

しかし実際の私は、空いている時間はほとんどパチンコ・パチスロばかりで、借金をし、支払いもせずに部屋を追い出され、闇金に追い込まれ、溢れる性欲を風俗で解消しようとする安直な人間でした。

それを見透かされたような気がして、私はどうしたら良いかわからなくなっています。事実デリヘルを呼んだ現場を佐伯さんは目の当たりにしているのです。

何よりも軽蔑されるだろうなと思い、私は大きく落胆しました。

なんともいえない表情のまま佐伯さんは口を開きます。

「まだチェンジできるよ・・・」

「あ、いいよ佐伯さん」

「・・・。」

「い、いや久しぶりだし話でもしようよ。もっと話したかったのに会社やめた後メアド変えちゃったし。元気かな?って気になってた」

「うん。ごめん・・・・」

「それに、仕事大変でしょ。ちょっとの間だけどラッキーと思って良いよ」

私はここで本意ではありませんでしたが、器の大きな男を演じました。カッコつけたのです。とっくに佐伯さんには見透かされているはずですが、それでも私は「別にヌかなくても俺は余裕だぜ。その辺のただのスケベとはワケがちがうぜっ!そんな俺スゴイだろぅ?」という自分をアピールしました。

本当は相手が誰であろうがヌいてほしくてたまりませんでしたが、必死に出来る男を演じます。それは佐伯さんに軽蔑されたくなかったという思いがそうさせました。

こんな時の男は悲しいほどに単純で滑稽です。

ホテルに備え付けのグラスにペットボトルのお茶を注ぐとやっと空気が軽くなります。

「い、いやぁ、滅多にデリヘルなんか呼ばないのにさぁたまたま呼んだら、佐伯さんくるんだもん。びっくりしたよぉ・・・。なんか髪とかも金髪になってるし」

「ウフフ笑うん。変えたかったのよ。ずっと。」

「そ、そうなんだ。」

「え?やっぱりあべさんは真面目な感じの娘のほうが好き?」

「い、いやぁ。そんなことないよ」

「うそ、下手ね笑」

「い、いや、マジでマジで」

「うふふ笑」

「なっ、なにっ!?」

「だって会社にいた頃、そんな焦ったあべさん見たことなかったから笑」

その後、お互いの近況を話しているとそこに優しい時間が流れ、懐かしい感覚に包まれます。私は佐伯さんが辞めた後の会社での出来事を話します。佐伯さんがやめたころから著しく売り上げが下がり、剣崎課長が怒鳴り散らしていたこと、そのなかで自分が救世主のように大きな売り上げが立つ顧客を2件も同時に獲得したこと、洋平が転職のため会社を辞めたこと。

もちろんお互い本当の意味でのプライベートは一切話しません。私は正直、なぜ佐伯さんがデリヘルで働かなければいけなかったか、何か切羽詰っていることが起こっているのではないかとても気になりましたが、聞けませんでした。

「正直、あべさんの顔見たときどうしたらいいかわからなかった。すぐにドア閉めて帰ろうと思ったもん」

「いや、おれもどうしたいいかわからなかったよ・・・」

「だっていつも出張の時はウィークリーマンションじゃない」

「うん」

「だから、全然考えてなかったのよ。会社の人がいるなんて・・・」

「あ、うん今回は2泊しかしないからビジネスホテルになったんだ・・・もしかしたらこれからも、他の人がこうなることあるかもだから気をつけたほうがいいよ。今後ここの地域、営業、誰か回るかもしれないし・・・やっぱマズイよバレると」

「うん・・・」

「あ、うん。俺は大丈夫。絶対にだれにも言わないから安心して」

「うん。ありがとう」

時間が経つにつれ気がつくと佐伯さんは、ベッドに座り私のすぐ真横に座っています。しかしそこには微妙な距離がありました。

「ねぇっあべさん!」

「な、なに!」

「やっぱりするよ。ダメだよっお金もったいないよ・・・」

「い、いや、まぁそうだけど、もう時間ないよ。無理だよ」

「大丈夫よ。私、頑張る!」

「い、いや嬉しいけどマジで大丈夫だよ。じ、実はさ、たまたまパチンコで勝って気まぐれでデリヘル呼んだだけだから。あぶく銭だよ。気にしないで」

「ホントに・・・。ごめんなさい・・・」

「いいよいいよ気にしないで笑。会えて良かったし久しぶりで楽しかった」

「うん」

佐伯さんは本当に申し訳なさそうな表情をして、私を見つめました。

「あのね。あべさん」

「うん?」

「あべさんとはいつか会うだろうなぁと思ってたの」

「またまたぁ」

「でも、今日みたいな形はちょっとイヤだったけど・・・」

「・・・」

「あべさんと私はソウルメイトなのよ」

「そうる?めいと??」

「うん。ソウルメイト。同じ魂の住人よ。離れていても通じ合ってる」

「そ、そうなんだぁ・・・」

「きっと必要な時、また会えるわ」

終了時間10分前のアラームが鳴り、佐伯さんが立ち上がります。この時激しい後悔に襲われました。私はこの時、カッコつける自分の性格をそして運の無さを激しく責めました。

帰る間際、佐伯さんは私から受け取った1万8千円をバッグにしまい、私をきつく抱きしめキスをします。

「ねぇ?あべさん」

「ん?」

「金髪とピアスどう思う」

「か、可愛いと思うよ」

「ありがと。でも元に戻すわ」

「どうして?金髪にしたかったんでしょ?」

「ううん。金髪にしたかったんじゃなくて変りたかったのよ。ピアスをあけて髪を染めたら全部変ると思ってた」

「そっか・・・」

「でも何も変らないよ、きっと。今日あべさんと久しぶりに会って気付いたのよ。私達は今、幸せじゃないわ」

正直に言うと佐伯さんが何を言っているか理解出来ませんでしたが、なぜかドキリとしました。全て見透かされている気がしたのです。

パチンコ・パチスロばかりで消費者金融にはたくさんの借金があり、家賃や光熱費も支払いが滞り、部屋を追い出され闇金にまで手をだして苦しんでいることを全て気付かれている気になりました。そうです、遠くの高台からこのホテルを見れば部屋は明るく光り、綺麗な夜景の一部でしょうが、私は間違いなく幸せを感じてはいません。

佐伯さんがいなくなった後、久しぶりのベッドの感触に身を委ねるよりも、抱きしめてくれた時に感じた、硬いスポンジのような乳房の感触と、少しだけ触れてしまった太ももの肌の感触を思い出し、自分を慰めるのが精一杯でした。

淫ら

翌日快適に目が覚めます。久しぶりにゆったりとしたベッドでぐっすり眠れました。昨日の出来事をぼんやりと思い出します。

「ソウルメイト・・・?って、なんだろ・・・」

佐伯さんはまた会えると言っていましたが、私はもう会えない気がしましたし、もう会いたくないと思いました。

それは自分の期待が裏切られたからです。会社にいた頃はとても清楚な雰囲気で、きっと女性としても清純だと思っていましたし、髪を金髪にして派手なメイクをし、ピアスも3つ開けるような女性とは真逆の存在だと思っていました。ましてやデリヘルで働く女性だなんて1ミリも考えられなかったのです。

私が思っていた、会社の他の人にはバレないようにこっそりと食事して、造園所の駐車場で話をした清楚な佐伯さんのイメージは大きく崩れました。

20代でまだ何もわかっていない私は、自分で勝手に作った佐伯さんのイメージを本人である佐伯さんに壊された気がして、勝手に傷ついた気になったのです。

そして、「私達は幸せじゃない」と言った佐伯さんに全て見透かされている気がして、プライドが保てないと思いました。

この頃の私は、背伸びをすることに必死でしたし、それをとても重要視していました。

佐伯さんには通用しないと思ったのです。

シャワーを浴び、準備をします。今日の導入は朝からです。昨日のように順調に進めば夕方前に全て完了するでしょう。

車に乗り込み現場に向かう前にコンビニに寄りました。缶コーヒーとタバコを購入しレジで財布を広げた時に、お金が減っているのを見て、久しぶりに不安を感じます。

財布の中には3万3千円が入っていましたが、昨日のデリヘル代でついこの間まであった5万5千円から大きく減っていました。

これに得体の知れない不安を感じたのです。冷静に考えると十分なお金ですが、普通の生活がとても遠のいた気がしました。

私は不安な気持を無理やり振りほどき、雑誌のコーナーでチラリと見えたパチンコ雑誌の表紙を横目にこう思います。

「だ、大丈夫だ。また勝ってやる!」

現場に着き打ち合わせをした後、早速作業に入りました。とはいえ私自身はほとんど作業に携わることなく、節目で動作チェックを手伝う程度です。

事務所の規模が少し大きいのもあり、昨日よりは時間がかかりましたが概ね予定通りに作業を終了します。

担当者に翌日、念のために確認に来ることを伝え現場を後にしました。

空は明るく携帯電話を開き時間を確認すると、まだ16時30分です。会社に無事に作業を終了したことを連絡し、ビジネスホテルに一旦戻ると綺麗にベッドメイキングされたベッドに横たわります。

改めてシーツの感触を感じると早く普通の生活がしたくてたまりませんでした。もう闇金には苦しめられることはありません。後、もう少しで普通の生活に戻れるはずです。

ボーっとしていると佐々木さんのことが頭に浮かんできます。淫らな想像ばかりしていました。そうすると急に人肌恋しくなります。

一瞬改めてデリヘルを呼ぼうかと考えましたが、またお金が減る事を考えるとその考えはすぐになくなりました。

と、同時に昨日のことを後悔します。

「やっぱり、シてもらえばよかった・・・」

昨日の佐伯さんとの時間を私は”損”をしたと考えてしまいます。私の目的は女性の体に触れ、奉仕してもらうことでした。しかし佐伯さんが来たことにより私は自分の性欲よりもプライドを優先させなければならず、その目的を果たせませんでした。

しかしお金はかかります。私は佐伯さんと話をするのに1万8千円を失ったと思ってしまいました。おまけにその後、一人で処理してしまうという情けなさも味わうハメになっています。

このぽっかり空いた損をした気分を取り返すためには、もう一度デリヘルを呼び、どっぷりと欲を満たすしかないと考えます。

しかし、これ以上デリヘルにお金を使うことにはとても躊躇します。昨日の損を取り戻す必要があるのです。

ベッドを飛び起き、ビジネスホテルを出ます。私は車に乗り郊外へ向けて車を走らせました。

市街地を抜けるとすぐに3車線ある国道に出た先に、大きなネオン看板が見えます。立体駐車場に入れ、車を停めた瞬間なにかがうごめく感じがしました。一瞬、恐怖と不安を感じましたが興奮が勝り、すぐにそれはなくなります。

立体駐車場の階段を下りていると、頭の中に闇金のある雑居ビルの階段が頭の中でフラッシュバックしてきました。

「や、やっぱり今日はやめようかな・・・」

そう考えながらも一段々階段を降りる足はとまりません。

少しずつ聞こえてくる、”ザーッ”というパチンコ屋特有の雑音は私の中をざわざわうごめく恐怖を興奮に変えていきます。

入り口の自動ドアが開き、完全にその違和感が吹き飛んでいた私はまったく気付いていません。

そのドアは更なる地獄の入り口ということを。

 

63話終了です。

 

佐伯さんのことは、「凄い体験をしたな」と思いつつ、正直その時の状況をあまり思い出せません。異性の元同僚にデリヘルを呼んでいることを知られてしまったという恥ずかしさをなんとか掻き消そうと必死にカッコつけようとしていたことと、帰った後に「カッコつけなきゃ良かった、ヌいてもらえばよかった」と死ぬほど後悔しながら一人でしたことは覚えています。改めてバカだなぁ・・・と情けなくなりますね。

男性の方はこんなシチュエーション「逆にエロイだろ」とか「逆に興奮するだろ」と思う人もいるかもしれませんが、こんな時男は意外とプライドを優先させて、アタフタするだけです。の、はずです・・・。いや、私の器が小さいだけかもしれませんが・・・。

正直今回のエピソードは書くことを迷いましたが、他の人では滅多に出来ない貴重?な体験だろうと思ったのと、この出張の時の出来事を境に改めて地獄に向かって行くエピソードでしたので書くことにしました。

 

まだまだ続きます。

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