パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-64

投稿日:2019年9月29日 更新日:

これからの生活に希望を持ち始めていましたが、急激に減った財布の中身を確認して改めて不安が襲ってきます。そこには昨日の思いがけない佐伯さんとの再会で目的を果たせず、「損をした」ことを何とか取り戻そうとする自分がいました。そして改めて地獄への扉が開かれます。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

入口

自動ドアが開かれ、店内に足を踏み入れた瞬間、先ほどまで感じていた躊躇する気持が吹き飛び、早くコインを入れレバーを叩きたいという衝動に駆られます。

「結構出てるな・・・」

パチンコの島を見渡すと箱を積んでいるのが多く見えました。中には別積みもあり、私の中の射幸心はさらに煽られます。

私はパチンコの島を横切りパチスロの島へ向いました。設置されているラインナップを見ると、北斗や吉宗、ジャグラーなど無難な機種構成です。

最近調子が良い北斗の拳に座りたかったですが、満席でありパッと見たところ空きそうにありませんでした。

私はここで「勝ちたい」という気持ちはどうでもよくなり「早く打ちたい」に気持が切り替わります。

そこで見つけたのは、キングパルサーの128ゲームできっちり止められている台です。履歴を見るとその前に11連チャンしています。

当然、打つにはリスキーな履歴です。手持ちのお金ではギリギリ天井に届かない可能性もありますし、もしかするとストック切れもあるかもしれません。

もし他に空いている台があれば、間違いなく避けていた台でしたが、この時私の状態は「勝ちたい」よりも「打ちたい」でした。

とにかく目の前の、レバーにストップボタンにリールに興奮し冷静な判断がすでに出来なくなっています。

コインサンドに札を入れた後、コインが全て出てくる前にレバーを叩きました。

フルウェイトでゲームを消化してきますが、当然のように何もおきません。気がつくと投資は1万円目になっています。

「だ、大丈夫だよ・・・な・・・」

この辺りで少し焦りが見えてきました。しかしレバーを叩くスピードは止まりません。ゲーム数は440ゲーム。ストック切れや天井が脳裏をよぎります。仮に天井で当たるにしても手持ちのお金を考えるとギリギリ届かないことも考えられるのです。

しかし私の投資は止まりませんでした。

そして投資が2万円を超えた時、興奮はなくなり何も考えられない状態になっています。残りの金額は1万3千円。ゲーム数を見て計算すると、天井だった場合はおそらく届かないでしょう。しかもストック切れの場合は天井を超えることもありえます。

それでも私の手が止まることはありませんでした。

残金が1万円を切った時、やっと演出が頻繁に現れてきます。

「た、たのむ・・・」

3回目のカエルがドットに現れた時、思わずレバーを叩く左手が震えました。この時点でボーナスの期待はかなり高いですが、確定するまで油断は出来ません。

そして・・・。

ドットには”WIN”の文字が現れます。

「よしっ!良かった・・・」

残金は残り9千円。投資は2万4千円になりました。BIGボーナスを4連チャンすれば捲くれます。

そして揃ったボーナスは・・・。

レギュラーでした。

しかしキングパルサーは連チャン機です。設定1でも128ゲーム以内にボーナスを引ける確率は約70%あるのです。私は期待してボーナスを消化しました。

ボーナスが終わり、無意識の内に大きく深呼吸をします。1ゲーム目思わずレバーを強打していました。

50ゲームを過ぎた辺りから演出が多く出始めます。

「よし!もらった!」

60ゲーム目BIGボーナスです。やっとまとまった出玉になりました。先ほどまで無心でレバーを叩いていましたが、ここで一気に興奮してきます。

その後も30ゲームでBIGボーナスを引き、やっと調子がでてきました。

そして連チャンは止まらず、約1,500枚のコインを獲得します。

しかしここで連チャンは止まります。128ゲームを迎えてもボーナスは来ませんでした。

この時点でコインを流せば、おそらく1,300枚はありそうです。約2千円のプラスですが、2万4千円投資ということを考えれば上々でしょう。運が良かったといえます。

しかし私は納得できません。昨日の1万8千円を取り返したいと思いました。もっと言えばそれよりも勝って、今日こそはデリヘルを呼んで満足したいと考えます。

当然のように私が出した答えは・・・

「続行っ!」

もちろんこの台をこのまま続けて勝てる根拠はありませんし、その理由はありません。

それでも私はコインを投入しレバーを叩き続けました。

案の定ドットはほとんど反応しません。演出が出ても子役に対応するものや、ガセばかりです。

「・・・」

それでもレバーを叩き一心不乱にストップボタンを押し続けました。

気がつくと512ゲームを超えています。先ほどまで箱にびっしりと詰まっていたコインも約半分以下になっていました。

「な、なんだよこれ・・・」

ここで激しい後悔に襲われます。128ゲームで止めていれば金額は少ないまでも勝っていました。今、止めるとマイナスです。

冷静に考えれば、マイナスではありますがまだコインは700枚弱あります。ここで止めて被害を少なくするべきです。このまま続けるのは閉店時間も迫っていますし、天井にも届きません。

しかし私はパチンコ依存症・パチスロ依存症。コインを投入する手は止まりませんでした。

その後天井付近でレギュラーボーナスを引き、首の皮一枚つながりましたが、先ほどのようにまとまって連チャンすることもなく、またもやハマリに入っていきます。

気がつくと箱に入っていたコインはなくなり、下皿のコインも消滅し、残りはクレジットに残っている数枚になりました。

そして最後のレバーを叩いた時、

「すいません、お客様、終了になります」

きっちりと全てのコインを消滅させ、席を立つことになりました。

マイナス2万4千円。

店内に入るまで3万3千円入っていた財布は残り9千円になっています。

終わりと始まり

コンビニで弁当を買い、ビジネスホテルに戻ります。弁当の入った袋を窓際にあるテーブルに置き、綺麗にベッドメイクされたベッドに大の字になり天井を見つめました。

「なんで全部飲まれるんだよ・・・」

「あの時止めていれば・・・」

「どうせ金なくなるんだったら素直に帰ってきて、デリヘル呼べば良かった・・・」

「ヤバイ・・・また元に戻るかも・・・」

考えてもどうにもならないことが頭の中をループしました。

久しぶりに感じることができるベッドの感触も、全て今日の負けのせいで台無しになっていました。

とりあえずベッドから起き、弁当を食べた後、湯船にお湯をため風呂に入ります。髪を乾かし携帯電話のアラームをセットした後、改めてベッドに潜り込みました。

悔しさと苦しさと情けなさが入り混じった、なんともいえない気持に何とか耐えながらこう思います。

「もう、パチンコは止めよう・・・元の生活にもどるんだ」

もう何回、決心したか覚えてはいませんが、改めてそう誓い眠りにつきます。

朝起きるとカーテンの隙間から、柔らかい朝日が差し込んでいました。夜の欲望や心の影を映したネオンの光と違い、少しだけ安心感を与えてくれます。

ビジネスホテルをチェックアウトした後、車に乗り込み現場に向かいました。特に問題なく運用できており、順調に進んでいるようです。

「見たところ、特に問題なさそうですね」

「そうですね。意外とスムーズに切り替え出来て良かったです」

「では、何かありましたら改めてご連絡下さい。万が一トラブルの場合は24時間対応できる窓口もあるので大丈夫です」

「わかりました」

「はい。それでは今度ともよろしくお願い致します」

「こちらこそ、よろしく頼みます」

改めて、担当者に一通りの説明をし、現場を後にしました。すぐに2件目の現場に向かいます。

強い日差しの中、車を走らせていると急に懐かしい感覚に全身が包まれました。以前契約書を書いてもらうために来た時、露出度が高い服装で金髪の女性がいた場所でした。

思わず回りを見渡し、その女性を無意識に探しています。

私は佐伯さんともう一度話がしたくなりました。根拠はありませんでしたが、佐伯さんなら今の苦しみから逃れる方法を知っているような気がしたのです。

と、いうのは半分本当で半分ウソです。1万8千円を払い何もせず話だけに終始してしまったことを後悔していただけです。やっぱりなにもしてもらわずにいたことは損だと思ったのです。ここで偶然出会えば「もしかすると・・・」という下世話な気持がありました。

「メアド聞いとくの忘れた・・・」

改めて激しい後悔をして、車を走らせます。

「きっと必要な時、また会えるわ」

そう言った、佐伯さんの言葉が頭に浮かび全身を駆け巡ると、私の中にある不安が改めて顔を覗かせています。

2件目の現場も拍子抜けするほど順調でした。予め運用開始の時にあるトラブルを想定し準備をしてきましたが、それもほとんど必要なく現場を後にします。

遅めの昼食を取るためにスーパーの広い駐車場に車を停めます。惣菜コーナーに行き弁当を物色していました。まだ、時間が早いため弁当は半額になっていません。

弁当を食べ終わり一息ついた後、会社に報告の電話をします。

「ありがとうございます。○○コーポレーション、佐々木です」

電話には佐々木さんが出ました。先ほどまでの不埒な考えを吹き飛ばし、出来る男を演じます。

「おつかれさまです。あべです」

「あ、あべさん!おつかれさまです」

「今、運用開始の現場2件とも終了したんだけど、なにも問題なし。上手くいったよ。報告の連絡なんだけど、課長、空いてるかな?」

「あ、今、会議中よ。どうする?つなぐ?」

「会議かぁ。じゃぁいいや。これから戻るし。会議終わったら課長には問題なく上手くいったって言っといて。詳しい報告は戻ったらするから」

「OKよ。問題なくて良かった。あべさん、さすがね。良かった。」

「サンキュー!」

「じゃぁ、帰り気をつけてね。まってるわ」

「う、うん」

佐々木さんの優しい声が、優越感に浸らせてくれました。”まってるわ”の言葉に特別な意味はないでしょうが、私を求めてくれている気がして、とても嬉しくなります。

こんな時の男は、情けないほどに単純です。

オレンジ色の光を背に会社に向かって車を走らせます。会社までは約2時間半かかりますが、多少疲れていても悪くない気分でした。

30分ほど走っていた時、バイブにしていた携帯電話がポケットの中で震えます。番号を確認すると知らない番号です。

不審に思いながらも、路肩に車を停め電話に出ます。

「もしもし、あべです・・・」

フロントガラスを見ると、気の早い赤とんぼがワイパーに止まり、季節の変わり目が近いことを告げるように空へ飛び立っていきました。

 

64話終了です。

 

5万円以上の現金が財布に入っていたのに、あっという間に1万円以下になりました。特に1,500枚もコインを出しながら徐々に飲まれていき、引くに引けなくなって全飲まれするのは皆さん経験あるのではないでしょうか。

これはひとつにサンクコストバイアスの心理が働き、止められなくなってしまうということがあります。サンクコストバイアスに関しては記事を書いていますので、興味のある方は読んでみて下さい。

パチンコ依存症・パチスロ依存症の私は、この時それが解っていたとしても全て飲まれたでしょうが・・・。

 

まだまだ続きます。

65話↓

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