パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-68

投稿日:2019年10月27日 更新日:

佐々木さんとの食事の約束を果たすために、あれほど苦しみ、恐怖した闇金に改めて手を出してしまいました。そして更なる地獄は刻々と一歩ずつ近づいて来ています。私はそれに気づくことは出来ません。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

束の間

朝、会社に着くと真っ先に佐々木さんが気になり、視線をそちらに向けます。見ると忙しそうに書類の整理をしていましたが、明らかに顔は眠そうで疲れていました。きっと子供の看病であまり寝ていないのかもしれません。

営業の準備を差し置いて、すぐにメールを打ちます。

「昨日はありがとう。楽しかった。子供大丈夫?疲れている感じっぽい。無理しないで」

送信しましたが、気付いていないようです。もどかしさを感じながら用意をし、営業に出かけました。

午前中の営業を回りながら、昨日のことがぼんやりと頭に浮かびます。するとだんだん、”出来なかった”ことにイライラしてきました。

子供が熱さえ出さなければ、間違いなく最後まで・・・のはずです。

私は、自分の運のなさを恨み、そしてそのモヤモヤとした感情を処理できずにいます。

その違和感が我慢できずに、気持をなんとか落ち着けようといつもより多く会社を訪問して、いつもより丁寧に商品の説明し、なんとか受注に繋げようとしていましたが上手くいきませんでした。

昼近くになり、昼食を買うためにコンビニに立ち寄ります。財布を見るとまだ2万円ほどのお金が入っていました。

私は躊躇なく、幕の内弁当とペットボトルのお茶、スポーツ新聞を置き会計を済ませます。いつもなら出来るだけ安く済まそうと、考えますが2万円という現金が気を緩ませました。

しかし、このお金は闇金から借金したお金です、そのことはすっかりと頭から抜けています。

車に戻り弁当のフタを開けた時、ダッシュボードの上に置いた携帯電話が激しく震えました。すかさず開いて確認します。

「昨日はホントごめんなさい。チビの熱はなんとか落ち着きました。ごちそうさま。ごはんおいしかったし、めちゃ楽しかった。また、いきましょう」

佐々木さんからのメールでした。

”また、いきましょう”の文字にで、気分が変わります。

幕の内弁当の空容器をレジ袋に入れ、入り口の横にあるごみ箱に捨てに行く間、心の中ではスキップしていました。

こんな時の男は、こっけいなほど単純です。

ぱっと横をみると、店内から外に見えるように雑誌が並んでいるのが見えます。ファッション誌、少年誌が並ぶ中、端にはアダルト雑誌にパチンコ雑誌の最新号・・・。

私は無意識に、パチンコ雑誌だけを見つめていました。

そのまま車に戻り、すぐに午後の営業に向かいます。

営業を回っている間、暇さえあれば携帯電話を開き、佐々木さんからのメールを眺めていました。

夕方になり、会社に戻ると佐々木さんの姿はありません。今日は早番のようです。少しがっかりしながら席に戻り、椅子を引くとピンクの付箋が付いた缶コーヒーが置いてあります。

慌てて周りを見渡し、缶コーヒーを鞄の中に放り込みました。

誰にも気付かれないようにすることに、意味があるかはわかりませんが、秘密の関係という緊張感も悪くない気がします。

それは、かえって私の気分を高揚させ、喜びを感じさせました。

また、今日はバイトの日で週払いの1万5千円が手に入ります。そのことも気持ちに余裕を持たせています。

今まではバイトの日には営業から戻った後、終了業務をやりながら憂鬱な気分でいましたが、今日はそれもありません。

闇金からは借りてしまいましたが、手持ちの現金、そして来週は給料日です。すぐにでも完済することができるので、安心していました。

しかし、これは大きな「油断」です。

闇金から3万円借金していることには変わりなく、10日後に5割の利息、つまり1万5千円は消えていくことになります。

ピンチだということには変わりないのです。

高揚感と不必要な安心感、そして緊張感のなさが私の中にある大きな問題を掻き消してしまいました。

自分の中にある問題と向き合わず、その場の雰囲気や状況だけで判断してしまうこの状態は私の中にいる悪魔を少しずつ強大に変化させていくのです。

不幸の芽

いつもはスーパーで弁当が半額になる時間を狙って、夕食を済ませていましたが、定食屋に立ち寄ります。そして躊躇なく、しょうが焼き定食を注文していました。

食事が終わりレジに立ちます。

「750円になりまーす」

なにも考えずに千円札を置きました。

数日前を考えれば、ありえない光景です。

私は満腹感も手伝い、その時の状況や追い込まれた気持をすっかり忘れています。

店を出た後、バイトまで時間がある私は、コンビニに向かいました。昼に見たパチンコ雑誌の最新号が気になっていたからです。

店内に入りそのまま雑誌が置いてあるコーナーに足を運びます。そしてすぐに目に入った雑誌を手に取り、レジへ向かいます。

これも最近では考えられないことです。立ち読みではなく購入しました。

車に乗り込み、すぐにレジ袋から雑誌を取り出し開きます。

読みながら視線を雑誌からずらさずに、カバンの中に入っている缶コーヒーを取り出しました。すると指先に付箋の感触を感じます。

”おつかれさま。先に帰りますね”

私は付箋だけカバンに戻し、改めて視線を雑誌に移し、雑誌を食い入るように見つめ直します。

雑誌に集中していましたが、ふと時計を見るとそろそろバイトの時間です。私は仕方なくエンジンキーを回し、バイト先に車を走らせたのでした。

バイト先に着き、着替えを済ませると関口が来ていないことに気が付きます。いつもは私より少し先に来て準備をしているはずですが、今日はまだ来ていないようでした。

「あ~、あべさん。おはようございます」

社長でした。相変わらずくたびれたような雰囲気は変わりません。

「あ、おはようございます。あの・・・関口さんは?」

「うん、まだ来ていないようだね・・・少し待ってみようか」

「は、はい・・・」

時計を見ると時間は5分過ぎています。

私はしょうがなく、出発の準備を始めました。しかしいつもは関口が一人で準備を終わらせることが多く、何をどうしたら良いかわかりません。そんな中でもわずかな記憶を辿り準備するしかありませんでした。

何とか必要な道具を車に積み込み準備を終えると事務所に戻ります。

「いや、こまったなぁ・・・関口さん来ないよ・・・。あ、あべさんこれ先週分の給料」

「はい。ありがとうございます・・・」

「もう時間もないからしょうがない、あべさんとりあえず1人で行ってくれ」

「えっ!ひっ一人で!?ですか?」

「うん、とりあえずこれ今日の回る厨房のリスト。他の人終わったら応援に行かせるからそれまでは一人で頑張ってくれ」

「はい・・・わかりました」

「一応、関口さん来たら別の車ですぐに向かわせるよ」

私は不安になりながらも、腐敗臭と油の臭いがする車に乗り込み出発しました。

仕事になれてきたとはいえ、いつもは2人一組でする仕事を1人でこなす自信はありません。

現場に着き、仕事を始めるとさすがにスムーズに事は運びませんでした。いつもは2,30分で終わるはずですが、倍の時間がかかるのです。

マスクをしていても臭ってくる油や食品の腐敗臭を1時間も嗅いでいると、久しぶりに吐きそうになってきました。

「チクショウ・・・関口、なにやってんだよ。ムカツク!!」

私は悪戦苦闘しながら行き場のない怒りを、独り言のようにつぶやき何とかこなすしかありません。情けなさよりも怒りが勝っていました。

やっと半分の件数を回り終えた時、続々、応援がの人がやって来ます。気がつくと3組、6人の人が来てくれました。

そこからは、あっという間に作業が進んでいき、全てを終わらせることが出来ましたが、いつもよりは1時間以上遅くなってしまいました。

結局、関口は来ませんでした。

会社に戻り帰り支度をしていると社長が近寄ってきます。

「いやぁ、あべさんご苦労さまだったねぇ。関口さん結局こなかったな」

「はい・・・」

私はの怒りはだんだん大きくなっていきました。自分勝手にサボり、その分いつもより大変な思いをさせられたのです。

給料も時給ではないために変りません。そのことも私の中の怒りを増幅させる要因です。

やはり関口のような底辺のやつは、そんなこともわからず自分勝手に人に迷惑をかける奴ということです。

そんな、価値のない人間に苦労をかけられることに我慢なりませんでした。

バイト先を出た後すぐに風呂に向かいます。

この怒りと体に染み付いた臭いを早く落としたくて溜まりません。このモヤモヤした感情が心の底から不快に思いました。

その怒りは湯船に使っている時も、仮眠を取ろうと後部座席に横になっている時も、おさまりませんでした。

ほとんど眠れないまま会社に向かいます。柔らかな朝の日差しを浴びても、体の中を駆け巡る、怒りの気持は残ったままです。

会社に着き、営業に出るための準備をしていると、私の席にある電話の内線が鳴りました。

根拠はありませんが”イヤな予感”がしました。

「はい。あべです。あ、剣崎課長、おはようございます」

「はい・・・。すぐお伺いします・・・」

自分にとってネガティブなことは、自分が気がつかないところでで育ち、そして十分に育ってから目の前に顔を出します。

良い予感は滅多に現実になりませんが、悪い予感は多くの場合、その通りか、それ以上になって目の前に現れるものです。

 

68話終了です。

 

私はパチンコ依存症・パチスロ依存症だった頃、気持や感情のコントロールがとても苦手でした。特に怒りの感情が沸いた時、その日一日が台無しになってしまう程です。しかもなぜだかそういう日に限ってネガティブなことが起こります。

そしてその感情が、せっかくのポジティブな出来事や感情をバッサリと掻き消してしまうのにも我慢が出来なくなりました。

そんな感情が続いて、自暴自棄になり・・・。

もう、負のループです。

 

まだまだ続きます。

69話↓

ランキング参加中です!応援宜しくお願いします。

↓ ↓
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ ギャンブル依存症へ
にほんブログ村

-パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

Copyright© パチンコ・パチスロ依存症を自分ひとりで克服する方法 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.