パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-69

投稿日:2019年11月3日 更新日:

前日のバイトで関口が休んだため、ほとんど眠れずに会社に行きます。イライラとした気持ちは落ち着かず、やり場のない怒りが体を渦巻いてきました。そこで鳴った剣崎課長からの内線電話。その曇った声に怒りの気持が一気にイヤな予感へと変化します。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

知らぬ間

剣崎課長の席の前に立った瞬間、イヤな予感が的中することを確信しました。いつもの私に見せる顔とは違い、大きく表情が曇っています。

「あべ君が、獲得したお客様のカレン製薬なんだが・・・」

私が3ヶ月前に獲得した顧客です。名前は製薬会社のようですが実際は違います。健康食品、主にダイエット食品を輸入販売する少し怪しい会社でした。

「そこの会社からのクレームだ。内容は料金の請求が来ているが、あべ君の案内した金額と違うということなんだよ・・・」

「は、はい・・・」

「最初はベンダーの方に連絡があって、説明はしたらしいんだが、先方が納得しないようだ」

「わかりました・・・」

「連絡は私の方で入れておくから、あべ君は早急に先方に向かってくれないか」

「はい」

剣崎課長の話を聞きながら、記憶を遡り獲得した時のことを思いだします。この会社はたしかオーナーが中国人で担当も同じく中国人でした。

もちろん日本語は話せますが、こちらの説明をきちんと理解していない節があり、何度も同じ説明を繰り返さなければいけなかったり、苦労した記憶は確かにあります。

説明が足りない部分もあったかもしれませんが、おそらく様々な説明の中、都合の良いように解釈したと考えられます。

そして私は都合よくそれを利用し契約に結び付けました。

剣崎課長の元を離れ、自分のデスクに戻る時、憂鬱な気分と前日からの怒りの入り混じった気持がなんともいえなくなっています。

とはいえ、今ある現状を解決しないことにはどうしようもありません。とりあえず当時の営業資料や、契約書などのコピーを取り、先方に説明するための資料を整理します。

「こりゃぁ、午前中まるまるつぶれるな・・・」

そう考えると余計に気持ちが沈んできました。

車に乗り込むと、メールの着信音がなります。

「何かあったみたいだけど、大丈夫?」

朝の混乱を見た佐々木さんが心配してメールをくれました。

「ちょっとこれからクレーム対応。でも大丈夫だよ」

余裕のフリをしました。佐々木さんから見る「デキる男」の姿を崩したくありませんでした。

現場に到着し、大きく深呼吸してから受付にはいります。

営業職をやっていて一番イヤな瞬間でした。

「失礼します。○○コーポレーションのあべ、と申します。昨日からご連絡いただいていた件でお伺いしました。オーナーいらっしゃいますでしょうか」

「はい、あべ様ですね。少々お待ち下さい」

とても端整な顔立ちの綺麗な女性でした。もしクレームの件で来ていなければ、頑張ってアプローチをかけていたかもしれません。

応接室に通され、相手が来るのを待っていました。嵐の前の静けさのような気がしてとても落ち着かなくなっています。とてもイヤな時間です。

その気分をまぎわらすために、受付の女性のことを考えているとドアが開きました。

「チョトォツ!ゼンゼンハナシチガウヨっ!アベサン!」

「!」

入ってくるなり凄い剣幕で話しかけてきます。私の中にある防衛本能にスイッチがはいりました。

「モウ、ゼンゼンユッテルコトチガウっ、ダマシタノ、アベサン!」

「いえいえ、そんなことは・・・」

相手が一方的に話す言葉は終わりません。ほとんど内容の無いことを1時間ほど続けていました。

相手のの言い分は現在のサービスプランではなく、それより1つ下のランクのプランを契約したはずなのに、契約は一つ上のプランになっているということです。

契約した後に内容を確認しておらず、サービスが開始され月額の請求が来てみて初めて気付いたようでした。

もちろん私は契約前に全てを確認し、契約してもらいましたが、こういう時は相手には通用しません。ましてや言葉は理解できるとはいえ、日本人ではないのです。感情的になっている異国の地の人を納得させるのは私には不可能でした。

こんな時、唯一取れる方法は「相手の話を聞く」だけです。とにかく相手に話しをさせ、相手の引き出しから言葉が出なくなるのを待つしかないのです。

その後少しずつこちらから話をし、折り合い点を探し、少しずつ合致する部分を探す作業になります。

相手の話す言葉が少なくなり少しずつこちらの話も聞いてくれるようになりましたが、相変わらず話は平行線のままです。

相手の要求はすぐにでも希望するプランに変更し、その分しか料金は払わないということでした。

しかしすでにサービスは開始されており、料金はそのプランで発生しているので変更は利きません。プランの変更も月の途中では変更できず、しかも社内での大幅な設定変更が必要になりベンダーの協力も必要になります。

相手の要望どおりに事を進めるのは、ほぼ不可能でした。

結局相手の怒りは少し収まりましたが、要求していることは一歩も引いてくれずに時間だけが過ぎていきます。

「おっしゃっていることは、理解いたしました。私だけで全て判断できかねますので、いったん持ち帰らせて頂きます。とりあえず明日までにまたご連絡いたしますので・・・」

「ソンナコトイッタッテ、ダメダヨッ!コッチハオカネハラワナイヨッ!!ソレニハヤクプランヘンコウシテヨ、キョウジュウヨっ!」

「デキナイナラ、スグニケイヤク、ヤメルッ」

「申し訳ありません。会社に掛け合いいたしますのでとりあえずはこのままお使い下さい」

また熱が再燃してきましたが、丁重に落ち着かせ、席を立ちます。

自分ひとりでは解決出来ない問題ばかりです。料金のことは剣崎課長に相談が必要ですし、プラン変更や設定はベンダーの協力が必要です。

この問題が解決するまでは、かなり面倒で慎重な仕事になるでしょう。しかも自分の成績が上がる仕事ではありません。

出口に向い、受付の横を通り過ぎた時に受付の女性が少し首を傾け微笑んでくれたのが唯一の救いでした。

潜む陰

内容を報告するために、そのまま営業に向かわず会社に戻ります。

車を運転しながらモヤモヤした気分は、晴れません。

会社に戻るとまっすぐ剣崎課長のところに向かいます。私の後姿を心配そうに一瞬視線を向けた佐々木さんのことも気になりませんでした。

「と、いうことで先方には納得して頂こうと思ったのですが・・・」

「そうか・・・。あべ君、らしくないねぇ。契約内容のクレームなんて」

「はい、申し訳ありません」

「とはいえ、起きてしまったことはしょうがない。料金のことはウチで何とかできるようにするからプランの変更に関して、早急にベンダーと先方と打ち合わせをしてくれ」

「はい、早急に取りかかります」

”あべ君らしくないねぇ・・・”

剣崎課長のこの言葉が私のプライドを大きく傷つけ、突き刺さりました。私はいつも「デキる男」を演じていました。その化けの皮が剥がされた気分になります。

また今回の件で剣崎課長の私に対する評価は落ちたでしょう。そのことも許せない気持ちが沸いてきました。

しかし今回の件に関しては、相手の理解不足はもちろんありましたが、私に落ち度がありました。調子にのって甘く見ていたのです。

目の前の数字がほしくて、説明も適当に進めてノリで契約まで持っていった経緯があります。たしかに契約する時に勘違いしているなとは少し感じていましたし、規模的にはここまでのシステムは必要ないなと感じてはいたのです。しかしより大きな売り上げが欲しかった私は、それを説明せずに契約させたのです。

仮にこのまま進んでも、違いには気付かずそのままサービスを使い続けるか、気付いたとしてもクレームになるとは想定していませんでした。

今回の現状を対処するためには、自分以外の人に協力をしてもらわないといけません。自分一人ではどうすることもできないのです。

この現実に大きなショックを受けます。会社の中では完璧で、成績も良く非の打ち所が無いビジネスマンです。そんな自分に酔っていましたし自分自身でそういう人間だと勘違いしていたのです。

しかし実際は、すべてではありませんが、たまたま数字が上がり、たまたまクレームもなく、たまたま会社の営業不振のピンチを救って来ただけでした。

どんよりとした気持ちで、机に向い対処法を考えます。考えれば考えるほどその大変さがのしかかって来ました。

契約内容を変えるには、改めて契約を組み直しが必要になりますし、現在のシステムを変更するために改めて工事や設定が必要になります。そのためには先方の会社のシステムを一時止めなければいけないかもしれません。そしてベンダーには工事費や設定費が改めてかかってきます。その費用も会社に大きな損失を与えてしまいます。

パソコンの画面を見ながら、情けなくなっていました。今回の件が知れ渡り、私に対しての見る目は今までとは変わるのが許せなくなっています。

佐々木さんもきっと、同じでしょう。もう2度と水面からキラキラとした体を釣り上げることが出来ないと思ってしまいました。

ある程度の計画を立て終え、翌日に改めて先方に訪問するための資料を作り終えて時計を見ると時計は19時半を回っているところです。

会社を出て車に乗り込むと、情けない気持ちを受け止められなくなってきました。曇った気持ちをどうにかしたくてたまりません。

前日のバイトでほとんど寝ていないのもあり、ナチュラルハイのような状態です。

すると体の奥からドス黒い怒りのような気持ちが沸いてきます。

関口のせいで大変な思いをし、睡眠時間を削られ、理不尽な中国人オーナーのせいでプライドを吹っ飛ばされ、情けない気持ちにさせられました。

自分が悪いわけではないのに、こんな思いをさせられているのです。関口が普通に来てさえ入れば嫌な気持ちにならなかったでしょうし、疲れも少ないはずです。クレームを出してきた中国人オーナーにしても契約したのはそもそも自分です。私の説明不足もありましたが、理解せずに契約したのですからこちらに非は無いでしょう。

さらに、熱を出してしまった佐々木さんの子供に対しても怒りが沸いてきました。あの時熱を出していなければ、必ず佐々木さんとは関係を結んでいたはずです。

私はそれらを理不尽に感じて、満たされない気持ちでいっぱいになってきます。

それは少しずつ私の中から元気を奪い、抜け殻にしようとしてきました。

私は必死に抵抗します。ここで終わるわけにはいかないという気持ちが湧き上がってきました。

今、それら全てを吹き飛ばし、満たしてくれるもの・・・。

広い駐車場に車を停め、雑音が渦巻く入り口に向かって吸い込まれるように歩いて行きます。

「勝てばいい」

満たしてくれると限らないその場所に、いやほとんどの場合は満たされないその場所が、その期待に答えるのは入り口までで、足を踏み入れた瞬間から悪魔に変わってさらに奪っていくのです。

 

69話終了です。

 

ネガティブな出来事はなぜか重なります。その満たされない気持ちを晴らそうとしますが、その手段は人それぞれです。そんな時パチンコ依存症・パチスロ依存症の人が無意識でホールに向かうのはあるあるですね。依存症の方はきっと経験あると思います。私もそうでした。

もちろんほとんどの場合は、それで満たされたりその気持ちが晴れることはなく、さらに追い込まれ、奪われていきます。

ネガティブなことは、ほとんどの場合、自分にも原因があり、そして自分で対処出来るはずです。そこから目をそらし、他のせいにするとそれは改めて自分に返って来ます。

 

まだまだ続きます。

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