パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-78

投稿日:2020年1月5日 更新日:

また、闇金に手を出してしまいました。しかし今までのように恐怖や躊躇する気持ちはわいてきません。それがどのような意味を持つのかこの後、身をもって知っていくことになります。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

ファミレス

終了業務を終え佐々木さんの席に向かって歩いていきます。心なしか周りの目が気になりました。

「佐々木さん。終わったよ。どうすればいい?」

「あ、ありがとうございます。じゃぁまずこの欄のチェックお願いしていいですか?」

「OKっ」

必死に何もないように振舞っていましたが、少しぎこちない態度がさらにドキドキを増幅させます。

しかし、机に積まれた大量の資料と書類の多さを見ると、少しだけ気持ちが萎えてきました。

「さ、佐々木さん・・・」

「ん?何ですか?」

「これ、全部?」

「そうですよ。ほぼ仕上がってますし、終わりますよ」

「う、うん・・・」

私の顧客のクレームなので、私が投げ出すわけにはいけません。集中する覚悟を決めました。

始めて最初のうちは、肘が少しだけ佐々木さんの体に当ったり、甘い髪の毛の臭いを嗅ぐ度に、あの日のことが頭をよぎり集中できませんでしたが、徐々に目の前の数字や記号の羅列に没頭していました。

気が付くと時計は21:00を回り、会社にはほとんど人が残っていません。書類の作成とチェックも終わりに近づいています。

「ふぅ・・・もう少し」

「ですね。頑張りましょ」

”ぐぅ~・・・”

私はお腹が鳴り、聞かれていないかと少し恥ずかしくなりましたが、佐々木さんはこちらを見ずに書類に集中していました。

「お腹すきましたね。笑」

「う、うん」

佐々木さんは気付いていたようです。私は顔が赤くなるのがわかりました。

「終わったら、何か軽く食べて行く?」

「そうですね」

こちらを見ずにそう答えた、佐々木さんの顔をチラッと見て、すぐに書類に視線を移し心のなかでガッツポーズをとりました。

そして、改めて集中します。1分でも早く仕上げて佐々木さんとの食事を楽しみたいと思いました。

というのは半分ホントで半分ウソです。

それよりも、食事の後のことを想像してそれをラストスパートのパワーに変えました。

「よし、これ、チェックして最後?」

「最後です!」

気が付くと社内にはだれもいません。私はすぐにでも佐々木さんを抱き寄せたい衝動にかられましたが、グっと我慢します。

「終わったぁ」

「終わったぁ。お疲れ様です」

「お疲れ。で、どうしよう?この時間からとなると・・・居酒屋とかで軽く食べる?」

「ですね。お腹空いたぁ」

「笑」

「笑」

「あ、遅くなってるけど、大丈夫?」

「大丈夫ですよ。実家には連絡してあるし。」

「よし、じゃぁ行こう」

「笑」

会社の近くには、たくさんの飲食店がならんでいますが、万が一誰かに見られることを懸念して、車で少し離れた場所にすることにしました。

しかし、少し離れると意外と食事をできるところが少なく、時間だけが過ぎていきます。

「なんか意外と、食べるとこない・・・」

「あ、別になんでもいいですよ。ファミレスとかでも」

「う、うん」

思いがけないタイミングでデートになったとはいえ、ファミレスはプライドが許しませんでした。

しかし、時間が遅いのもあり中々良いところは見つかりません。

結局、ファミレスに落ち着いてしまいました。

「なんかごめん。やっぱファミレスしかないや・・・」

「ぜんぜん、大丈夫ですって笑」

なんだか見透かされている気がして、私のちっぽけなプライドは隠れて見えなくなってしまいました。

カッコつけられない自分が少し許せなくなります。

会社の制服を着替え、体のラインが強調されたニット姿の佐々木さんを見て急激に攻撃本能が沸いてきました。

ファミレスの駐車場の、いつものネオンとは違う光が、やけに刺激的に二人を照らしています。

「さむい・・・」

車を降りて、ファミレスに入るまでの間、急激に冷え込んだ空気が二人の距離を縮めます。

歩きながら、佐々木さんのほうから寄り添ってくると、私の小さな偽物のプライドを満足させたのでした。

ESCAPE

食事を終えて駐車場を小走りで車に向かい、すぐに車に乗り込みます。

「うぅ~っさむいっ!」

一時間もしない内にファミレスを出てきましたが、車の中はひんやりとしていました。すぐにヒーターをMAXにします。

「もうそろそろ、雪降りそうね」

空気がキーンと冷えて星空が綺麗に見えます。車の中で吐く息も白くなっていました。

この後、どうするかを話さず車を走らせます。会話は普通に弾んでいました。

いつもの通り、造園所の駐車場に向かっています。佐々木さんの自宅とは違う方向でしたが、なにも言わず会話を続けていました。

造園所の入り口に入ると夜景の見える場所には、2台の車が停まっています。私はそこに停めずに一番端の街灯があたらない真っ暗な場所に車を停めました。

「熱くない?」

「うん、ちょっと・・・」

ヒーターの温度を下げ、そのまま助手席側に覆いかぶさりシートを倒しました。佐々木さんは何も抵抗せずに目を閉じます。

激しく舌を絡ませながら、ニットの上から胸を掴むと「あっ・・・」息を漏らし、その息使いは次第に激しくなっていきました。

私が背中から指を滑りこませその肌に触れると、しっとりと湿気を帯びています。吸い込まれるような感触を感じながら、さらに下半身に指を移動させると、ネコのタトゥーを覆った黒のストッキングの上からでも湿っているのを感じました。

「あべさん・・・」

「え?」

「ここじゃ、イヤ・・・」

「あ、うん・・・」

私はすぐにアクセルを踏みホテルへと車を走らせます。

「ホテイさん」

「ん?佐々木さん、布袋、好きなの?」

ボリュームを抑え目にしてかけていたCDは、布袋寅泰の「GUITARHYTHM IV」が流れていました。

「私、このアルバムのコンサート行った」

「え。マジ!?」

「うん、実は布袋さんが投げたピックも取れた」

「ま、マジかよ!すげぇっ!」

「ふふっ」

私はこれまでの甘く淫靡な雰囲気を壊すように本気で佐々木さんの言葉にビックリして声を上げてしまいました。

この時期の私と同年代の男性の半分以上は、BOØWYのビートに魅了され、ギターを持った男子のほとんどはテレキャスターに憧れ、そして髪を立てていたはずです。

当時のコピーバンドの半分以上はBOØWYのコピーバンドでした。

そして、BOØWYが解散した後も、そのビートは多くのキッズに影響を与え続けていきます。

しかしそのほとんどはやがてギターを持つのを忘れ、弦を押さえる硬くなった指先が柔らかくなり、体に宿ったエモーションは影を潜め、捨てきれない思いを胸に社会へと埋もれていきます。

私もその内の一人でした。

「で、で、そのピックは!!」

「あるわよ」

「え、え!見たい!みたい!」

「なんか、こどもみたいね笑」

ホテルに入り先ほどまでのの思いが吹き飛び、すぐに佐々木さんの体をむさぼり始めます。剥ぎ取ったブラジャーから、現れた乳房がさらに私を興奮させました。

すぐにスカートを脱がすと、ストッキングの下のネコのタトゥーがじっと見つめています。

そこに触れずに、太ももの間に指を伸ばすといつでも受け入れられる状態になっているほど濡れていました。

「シャワー・・・」

「あ、うん・・・」

シャワーを浴び、これ以上はないと思えるほど濃密な時間が過ぎていきました。事が終わりまどろんでいると、佐々木さんがささやきます。

「そういえば、布袋さんのピック見る?」

「えっ?持ってるの!見たい!!」

裸のままシーツをスルリと抜け、バッグまで歩いていく佐々木さんの後姿は、ギターの形が醸し出す美しさよりも魔力的に美しく、力に満ち溢れている気がしました。

「うふ、はい、これ」

「うわ、マジ、すげぇ」

小さなビニールに包まれた、そのピックは、わずかに先が減っているのがわかります。

「よく、取れたね。超ラッキーだよ。前の列で見てたの?」

「うん。2列目」

「に、してもすごいよ」

「でしょ。お守りみたいなものね」

「いや、マジで羨ましいよ・・・」

「どんな感じでキャッチしたの?なんの曲の時?」

「なんの曲というか・・・私、コンサートの途中で”ESCAPE”って曲になって・・・」

「ESCAPEって、アルバムに入ってる曲じゃん」

「うん、私その曲聞いてたら涙が止まらなくなったのよ」

「へぇ~感動して・・・とか?」

「・・・。で、そこからずーっと泣いてたの。最後まで。顔グシャグシャにして泣いてた。周りは盛り上がってたけどね」

「うん」

「そしたらね。布袋さんが最後の曲終わったらステージから降りて、私に近づいてきて、このピック渡してくれたのよ」

「うっわ、マジかっ!」

「うん、その後はピック握り締めてアンコール聞いてたわ」

「そっかぁ、いいなぁ。にしても佐々木さんが布袋好きなのは意外だったけど・・・」

「私っていうよりね、旦那が好きだったのよ。そのコンサートも旦那が行くはずだったの・・・」

「え?」

「旦那といる時は、毎日聞いてたわ。私は別に好きじゃなかったけど」

「・・・」

「でもね。旦那コンサート行けなかったの。凄い楽しみにしてたのに・・・」

「どうして・・・?」

「死んじゃったのよ。チケット残して・・・。」

「・・・」

「音楽ってすごいわね。さっき車の中で聞いた時、その時のことすごいはっきり思い出した」

「なんか、ごめん・・・そうとは知らずに・・・」

「ううん。大丈夫よ。もう悲しくなかったし。あべさん話聞いてくれて良かった」

掛ける言葉が見つかりません。てっきり佐々木さんがバツ1なのは離婚が原因と思っていましたし、そのことをあえて話題にしてきませんでした。

少しだけ重い空気が流れ、布袋のピックを前にはしゃいでいた自分が恥ずかしくなります。

そして自分がとてつもなく無力だという感覚に陥りました。

「あ、なんかごめんなさい・・・」

「あ、いや、こっちこそ・・・大事な物なのに・・・」

この時、無力と感じる私が出来る事は、ホテルを出て車のエンジンを掛ける時に真っ先にCDのボリュームをミュートにするだけです。

 

78話終了です。

 

当時の印象的なエピソードの一つです。私自身が経験してきたことはクズなエピソードばかりですが、私に関わってくれた人には、深いエピソードを抱えている人が多かったです。

私には佐々木さんが受けた悲しみとか痛みを感じることはできません。

佐々木さんに気付かされたのは、「悲しみとか痛みはその人だけのもの」でしかなく、決して共有できるものではないということでした。

まだまだ続きます。

79話↓

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