パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-83

投稿日:2020年2月9日 更新日:

闇金に6万円の借金をし、残金2万5千円で向かったいつもの場所。店を出た時には財布の中には残っていませんでした。そして借金をするために向かった闇金で出された条件はさらに法外な利息での借金です。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

選択

私に選択をする余地はありません。

目の前にある2万円が、危機感を曖昧にしていきます。

返事をする僅か数秒の時間が、モヤがかかった重い空気になりさらに鋭くのしかかってきました。

「あ、あ、はい。お願いします・・・」

「じゃぁこれ書いて」

「はい・・・」

前回書いた3万円の借用書を破いて新しい借用書を目の前に置きました。

「ハンコ持ってきてる?」

「あ、いえ・・・」

「じゃぁ、拇印押して」

「はい・・・」

「あ、金額のところは7万5千円て書いて」

「・・・はい。」

闇金の借用書は普通の借用書とは違い、利息を含んだ金額を借入額の欄に書かされます。建前上、本当の利息を書くと法律に違反しているため借用書としての効力がなくなるからでしょう。

何回もコピーされ文字の滲んだ借用書を書いていると、私の中にある危機感は姿が見えなくなってきました。それと同時に空腹を感じてきます。

”グぅ~~っ”

静寂の空気の中、お腹がなってしまいました。

あまりの音の大きさに思わず腹に手をやり、目の前の男に視線を移してしまいます。

「腹、減ってんのか?」

「あ、すいません・・・」

「あ、パン食うか?食いきれなかったんだわ」

「あ、すいません・・・」

正直、「いらない」と言いたかったですが、断らない方が良い気がしてもらうことにしました。

「ちょっと待ってろ」

そう言い残して、パーテーションの奥に消えていきます。

闇金やチンピラなど、”アチラ”側の世界の人はよくこの手を使うような気がします。

恐怖を植えつけて優しさのギャップで逃れられないようにする。

私は体感的にこのやり口に気付いていましたが、それでも目の前にあるお金と、空腹の中差し出されるメロンパンに冷静な判断は出来なくなっていました。

「ほら、やるよ」

「すいません。それじゃぁお言葉に甘えて。いただきます」

わかってはいても目の前にいる、外を歩いている時にすれ違ったら絶対に目を合わせたくない風貌の男が、天使に見えてしまいます。

もうすでに、私は自らの手で自分の首を締め付け始めていました。

時すでに遅し・・・。

もう、自分の力では全てがコントロール出来なくなり始めてきています。

拇印を押した後、お金をポケットにしまいこみ、メロンパンをそのまま持ちながらビルを出て急いで車に乗り込みました。

もらったメロンパンを助手席に置き、2万円を財布に入れ牛丼屋に向け車を走らせます。

目の前に出された、牛丼並、玉子、味噌汁を見ると天使に見えた男の顔も、来週の水曜日に訪れる闇金の返済日も、さらに法外な利息で貸付けられた借金の恐怖も全て頭の中から消えてなくっていました。

入り口のガラスの向こう側に見える街路樹は、付いていた葉が地面に落ちて、枝が透けて見えています。

その裸同然の街路樹が白く染められるまでもうすぐでしょう。

モヤの向こう

牛丼を食べ終わり、あてもなく車をはしらせます。

気が付くと進行方向は、いつもの場所へ向かっていました。

頭の奥では、必死にブレーキをかけこう叫んでいます。

「もう、打っちゃダメだっ!」

しかし、その声は微かな余韻を残し私に響くことはありません。

いつも感じる屈辱も、心の底から湧き上がる後悔も、どこかに消えてなくなっていました。

財布の中身は1万9千円。

先ほど闇金から借金してきたお金です。

これがなくなるとさらに地獄がまっているでしょう。

しかし、私の頭の中には、1ミリも危機感が沸いてきません。

厳しい冬の季節を越えるための準備も、すでにある元金8万円、利息を含めて12万円の闇金への借金も、支払いの度に感じる苦しみも、ほとんど感じることはありませんでした。

頭に浮かんできたのは

「今日はバイトだったな、まだまだ時間はあるか・・・」

でした。

店内に入ると、いつもより少しだけ客が多く、どちらかというとスロットよりパチンコの方に客が多くついています。

最初にスロットに島を徘徊し、台を物色しました。

そこで座ったのは、朝一に128ゲーム回されたキングパルサーです。

いつもの通り何も根拠があるわけではなく、ただ打ちたかったというだけで座りました。

打ちたくてたまらないという気持ちには変わりありませんが、なんだか緊張感がないのが変な感じです。

頭の中には「絶対に負けてはいけない」「そもそも打ってはいけない」というのは理解していますが、それが感情になって沸いてこないという状態になっていました。

いつも通りにサンドに札を入れ、出てきたコインを投入しレバーを叩きます。2千円目のコインを投入した時、「やっぱり止めよう」と頭をよぎりましたが、止められることはできません。

ボーナスが確定したのは6千円目。ドットに出た”WIN”の文字に一安心します。当たりはビッグボーナス。まぁまぁの滑り出しでしょう。

しかし、連チャンはせずボーナス分のコインは綺麗になくなりました。

「ダメだなこれ・・・」

いつもなら熱くなって、追加投資の場面ですが、なぜかその手が止まります。

私はなんのためらいもなく、席を立っていました。

そのままパチンコの島を歩きます。6千円を投資したので残金は1万3千円。この金額では何を打っても勝てる可能性は少ない気がします。

私の体は”大当たり”を欲していました。なんでもいいので当たりの快感がほしかったのです。

そこで選んだのは、「羽物」でした。いつもは残金がギリギリでしか打ちませんが、とりあえず1万3千円あります。一度も当らずにすべて飲まれることは考えられないと思いました。

もちろん根拠はありません。釘を見れるワケでもありませんし、どんな台でもハマることはありえるのに”必ず当たりが引けるだろう”という安直な考えで羽物にしたのでした。

思惑通り?に2千円で大当たりを引きます。

チャッカーにも良く入り、玉も拾ってくれる台でした。

「よしゃ、勝てるな」

その後もすぐに当りを引き、一気に2000発の出玉を獲得します。拾った玉がVに入る度、私の心は満たされていきました。

しかし、どんな台にもスランプはあります。そこからは出たり飲まれたりを繰り返す台に変わり、出玉がそれ以上増えることはありません。

出そうな雰囲気はありましたが、携帯電話を確認するとバイトの時間です。気が付くと5時間以上打っていたことになります。

出玉を流し、交換すると8千円。収支はプラスマイナス0円です。お金を財布に入れながら車に向かう時、何だか負けた時より気分が暗く沈むのがわかりました。

と、同時にいつも決意する、「もう、パチンコ・パチスロは止めよう」という感情も沸いてこず、その時感じる苦しみや危機感も沸いてこず、心にモヤがかかりとても不快感を感じます。

勝った時の喜びもない代りに、負けた時の苦しさもない状態は、考えなければいけない現状をさらに曖昧にしていきました。

不快感とフラットな感情のまま、バイトに向かいます。

関口の存在と、腐敗した油の臭いがさらに沈んだ気持ちを、増幅させました。

バイトが終わり、風呂に入ると少しずつ気持ちが回復していきます。

「これが小さな幸せってヤツかもな・・・」

同時に「もし、あのままキングパルサーを打ち続けていたら・・・」と考えてゾっします。

台の確認はしませんでしたが、おそらくすべて飲まれていたような気がしました。いつもの通り苦しみに支配され、風呂にも入れず、小さな幸せを感じることもなかったことでしょう。

小さな幸せに気付き、苦しみや辛さを感じずに済んでいる私は、この先、辛いことなど起きない気がしてきました。

冬の季節の到来で感じる命の危機感も、闇金の借金も全て幻のような気がします。

しかし、現状はなにも変わっていません。というよりも悪くなっているのです。

闇金の苦しみや恐怖が頭から離れ、パチンコで負ける苦しさを感じず、小さな幸せを感じたことにより、解決しなければいけない問題を見えなくしてしまいました。

後部座席に移り、毛布に包まって横になりながらぼんやりと目を瞑ります。

「そろそろ、数字上げなきゃ今月ヤバイな・・・しゃぁない、起きたら休日出勤して営業先の見直しだな」

ヤバイのは、今月の数字ではなく、闇金の借金や寝る場所です。

 

83話終了です。

 

パチンコ・パチスロ、そして闇金に対しての依存の怖さ一つです。

勝てば、そのお金で打ちに行くのでヤメる機会を失い、負ければ苦しみが待っていて、借りてはいけないとわかってはいても、お金の面で頼るのは闇金だけになってしまいます。

それでも決意をして闇金から借りない選択をすれば、お金がない苦しみを感じなければいけません。そしてプラスマイナス0円になれば、どちらの状態にもならず、現状を曖昧にしていくのです。全てが八方塞がりの状態になります。こうなると一人の力で回復するのは困難といえます。

しかし、苦しみや恐怖などのネガティブなことは、どんどん成長して大きくなりやがて目の前に現れるでしょう。

私は、目の前に現れるまでそれを感じることは出来ませんでした。

 

まだまだ続きます。

84話↓

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