パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-86

投稿日:2020年3月1日 更新日:

パチンコで1万円を溶かし、残金なし・・・。そして翌日に闇金の支払いを控えた私は、絶望に支配されていました。これ以上の闇金の借金は終了を意味します。しかし私は恐怖に耐えることはできません。助かりたい一心で無意識にダイヤルを押した先は、また闇金です。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

黒い雲

珍しく受付の人ではなく、いつもの男が電話にでました。

「あ、あの・・・あべまさたかと申します」

「あ、あべさん、どうした?」

「あの、お金を貸してほしいのですが」

「いくら?」

「あ、あの、いや、5万円なのですが・・・」

「あぁんっ?5万?どうした?」

「あ、あの・・・」

いつもなら咄嗟にでる”ウソ”が、なかなか出てきませんでした。真っ白になっている頭をフル回転させ、必死にウソの口実をしぼりだします。

「い、いや、実は、き、急に中学の時の親友が亡くなりまして・・・。そいつの実家が地方なものですから、チ、ちょっと、もろもろ入用なんです」

明らかにウソとばれるような口実と話し方になってしまいました。今まではお金を借りる時のウソは完璧に演技できましが、今回は明らかにウソとわかるような口実と口調になっています。私にとっては痛恨の極みでした。

(ヤ、ヤバイッ・・・これは無理かも・・・)

ここで、体の中の恐怖感と絶望感が「ザワザワ」と騒ぎだします。借りることができなければ、明日の支払いはできません。

「葬式か・・・。ちょっと待ってろ」

”ちょっと待ってろ”、この言葉を聞いた瞬間、私の中に一筋の希望の光が見えた気がしました。私のみえみえのウソの口実が、通用したのかもしれません。

私の感情は、大きく揺さぶられました。借りれなければ地獄が待っています。雑音まじりの保留音がさらにその揺らぎを大きくしました。

「あべさん無理だ」

「えっ!?・・・。」

一気に地面に叩きつけられたような衝撃を感じます。終了です。最後の一筋の望みをたたれました。

「そうですか・・・」

もう、人生全てが終わった気がします。明日の支払いをすることはできません。頭の中に色々な恐怖が渦巻きました。

「5万は無理だ。だけどいつものように3万なら貸す」

「えっ!?、は、はい!さっ、3万でいいです。お願いしますっ!」

一気に救われた気がしました。地獄の縁からなんとか逃れた感じがします。全身が安心感に包まれていく感じがしました。

しかし、私は気付いていません。さらに闇金の借金が増えたということは、恐怖や苦しみが増える事とイコールです。

「わかった。じゃぁ振り込む。返済は10日後。いつもの通りだ。前日の連絡忘れるな」

「はい!」

これで全てが救われた気がします。明日の支払いも可能になりました。今日、バイト代が入るので、もう一つの闇金も返済可能ということです。

これで、一安心することができました。

もう全てが終了というところから、みごと生還した気分です。

おそらく、昼までには通帳に3万円が入金されていることでしょう。

私は携帯電話を助手席に放り投げ、深くため息をついた後に、思いっきり背伸びをしました。何とか目の前のピンチを脱出することが出来たのです。

車を走らせ、営業に向かいます。

信号待ちの間に窓の向こうをみると、どんよりとした黒く重たい雲が少しずつこちらに向かって来ていました。

後戻りできない道

一通り営業を回り終え、時計を見ると11時50分です。

私はそのまま銀行に車を走らせました。ATMに着くとほとんど人は並んでいません。

「ふぅ、ラッキー空いてる」

はやる気持ちをおさえて、キャッシュカードを差し込みます。現金を手にするまで本当の意味で安心できない気がしていました。

暗証番号を入力し、”3””万””円”とタッチします。

ダダダダっと万札を数える機械音が、緊張感を刺激しました。

そして、万札を3枚手にした時、改めて安心感を感じます。

「ふぅ・・・」

明細をビリビリに破って捨て、無造作に札を財布にしまい銀行を後にしました。

車に乗り込み、すぐに牛丼屋に車を走らせます。

店内に入るとすでに昼時で、席がほとんど埋まっていました。

「いらっしゃいませーっ!こちらにどうぞ!」

丁度、食べ終えどんぶりを下げたばかりの席に案内されます。

少し汚れたふきんで拭いたばかりのテーブルに付いた、一粒のご飯粒が少し不快でした。

「ご注文お決まりになりましたら、お呼びください」

「あ、つゆだく、玉子、味噌汁、ごぼうサラダ」

「はい。つゆだく、玉子、味噌汁、ごぼうサラダでよろしかったですね」

すぐに、届けられた牛丼を頬張りながら、いつもの風景がなんだか不思議な気がします。

ほんの、数時間前までは、絶望に全身を支配され、先の見えない恐怖に震えていました。しかし、今はいつもの風景です。

精神状態も普通に戻っています。

現金を手にすることで、私の中にある恐怖と苦しみは影を潜めました。

車に戻るとそのまま携帯電話を開き、明日返済する闇金に電話をします。

「はい、希望ファイナンス」

いつもの男でした。

「あ、あべまさたかです。返済の連絡です」

「あべさんか。明日は完済か?ジャンプか?」

「ジャ、ジャンプで・・・」

「わかった。じゃぁ2万5千円だ。何時に来るんだ?」

「午前中に行きます」

電話を切った後、もし今日お金を借りることができなかったら、この電話も出来ずにさらに苦しみが襲ってくることを想像して少しだけ怖くなりました。

僅かな恐怖は想像力をエサにして膨大化します。

信号待ちの間に必死に押さえ込み、午後からの営業に没頭しました。

夕方、会社に戻り、終了業務を終えるとそそくさとタイムカードを押し、退社します。

とりあえずスーパーに行き、まだ半額になっていない弁当で腹ごしらえをしました。

食べ終えると少し眠気が、襲ってきます。おそらく疲れが溜まっていたのでしょう。気が付くと眠っていました。

パッと目を覚まします。慌てて時計を見ると20時半。寝過ごしていないことに「ホッ」と胸を撫で下ろしました。

と、同時に憂鬱な気持ちも沸いてきます。この後、腐敗した食べ物や油の臭いにまみれなければいけません。

バイト先に着き、先週分の給料を受け取ります。何も書かれていない茶封筒に入った1万5千円を財布にしまうと、少しだけ気持ちが晴れました。

いつも通りに、関口と淡々と仕事をこなし事務所に戻ってきます。相変わらずの腐敗臭は大きく気持ちをダウンさせましたが、口数の少ない関口が少し気になりました。

後片付けを終えて、すぐに風呂に向かいます。早く全身についた臭いを消したくてたまりませんでした。

少し仮眠を取って起きた後、受付を済まし、ゴム製のバンドに付いたロッカーキーを受け取り、体を洗って湯船につかります。

全てがリセットされるようで多幸感に包まれました。

風呂から上がり、受付にロッカーキーを置いた時、耳を疑うような言葉を聞きます。

「おつかれさまでございました。2千円になります」

「えっいくらですか?」

「えっ!?2千円になります」

「い、いや、あの・・・朝風呂は、700円ではないんですか?」

「あ、申し訳ありません。朝風呂サービスは先週で終了しました」

「そうですか・・・」

言われてみればいつもは、入り口においてあった朝風呂の看板が無かった気がします。

しょうがなく財布から2千円を取り出し支払いを済ませ車に戻りました。

改めて、財布を確認すると4万2千円。

闇金2件の支払いを済ますと、残り2千円しかないことに驚愕しました。そしてまた一気に不安と恐怖が襲ってきます。

これだけ支払っても闇金の借金は少しも減っていません。というより今日も闇金から借りたので、むしろ増えているのです。

おまけに給料日までは、まだ2週間以上あります。

闇金の恐怖に加えて、生活費が無い苦しみ。また、朝風呂のサービスが終了したということは、今後のバイト後の風呂には2千円かかることになります。

もちろんそんな余裕はありません。気持ちが一気に追い込まれた状態になりました。

「ヤバイ・・・。よ、マジで・・・。」

朝、会社に着き、営業の準備をしている間も常に恐怖や苦しみ、不安が頭の中から離れませんでした。

会社を出てとりあえず、闇金に向かいます。

「2万5千円、確かに。じゃぁまた10日後。前日の電話忘れんなよ」

「はい・・・」

10日後にはまた、苦しくなることが頭をよぎり、苦しみが全身を支配しました。

車に戻った後、携帯電話を開きます。

「はい、地獄金融」

「あべまさたかです。明日の返済の連絡です」

「完済か?ジャンプか?」

「すいません。ジャンプです・・・」

「何時に来るんだ?」

「昼までにはお伺いする予定です・・・」

今、財布に入っている残り1万7千円も明日にほとんど残りません。

今日、ご飯を食べることを考えたら千円ちょっとしか残らないでしょう。

私の中に潜んでいる、恐怖や苦しみ、不安はさらに成長し、私の中にある気力を全て奪っていきました。

丸一日、絶望に支配されながら営業をして会社に戻ります。

まともな終了業務をしないまま、タイムカードを押し、退勤しました。

車に乗り込み、エンジンキーを回します。スピーカーから「ESCAPE」のイントロが静かに流れていました。

佐々木さんはどんな思いで、このイントロを聞いて、涙したのだろう・・・。

すべてから逃げ出したいだけの私には、何も思い浮かびません。

車を走らせ、たどり着いた場所には見慣れたネオンが激しく光っていました。

 

86話終了です。

 

全ての解決の行き先がパチンコ・パチスロになってしまう。

典型的な依存症の症状です。

どんなにもがこうとも、私の苦しみはこの後も加速していきました。

 

まだまだ続きます。

87話↓

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