パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-88

投稿日:2020年3月15日 更新日:

なんとか時間を引き延ばすことでとりあえずの危機を脱することはできましたが、これといった策はありません。このピンチどう切り抜けていくのでしょうか。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

不意

全く何も浮かばないまま、時間だけが過ぎていきます。

携帯電話の電話帳を何度も見ては閉じるの繰り返しでした。

着信履歴を辿ると、一件だけ覚えのない”03”から始まる電話番号を見つけます。

「あれっ?この電話番号なんだっけ・・・」

記憶を辿ると、闇金の営業電話だったことを思い出します。

「これ・・・。そういえば・・・」

しかし時間は14時を過ぎています。仮に今から申し込んで融資可能でも、おそらく振込みは明日になるでしょう。

どう考えても今日の返済には間に合いそうもありません。

また、これ以上の闇金からの借金を増やすことに激しく抵抗を感じました。

「やっぱダメだよな・・・」

そのことを記憶から掻き消すように携帯電話を閉じます。

どう考えても、「1万5千円」を作れないことに更なる絶望が膨らんできました。

しかし、何も行動を起こすことが出来ません。

つらいことでも、お金につながることに進むことができれば、どんなに楽なんだろうかと思います。

出来るべき行動が思い浮かばないのです。

それは私の中にある、元気や意思を大きく奪っていきました。

「もう、どうなってもいいや・・・」

私の中から全てが消えていきます。

普通に戻りたいという願望や、必死に守ってきたウソのプライド・・・。

一瞬、コンビニでも襲おうかなどと考えました。

しかし、私にはその勇気も元気もありません。

それよりも、あきらめることを受け入れました。

窓の外を見ると、ゴミ捨て場に溜まっていたカラスの群れがいなくなっています。

きっとどこかに飛び立ったのでしょう。

何も出来ないでいると、少しずつ睡魔が襲ってきますが、先ほどのように目が覚めた時の恐怖感に包まれるのが怖くて必死に耐えていました。

なんの意思も無く、改めて携帯電話の電話帳を開き眺めていました。

お金を借りることが出来るような仲の連絡先は、1件を除いてありません。

画像も登録してあるその一件には、どうしても連絡できませんでした。

久しぶりに見るその笑顔をじっと見つめていると、胸がしめつけられる思いがします。

自分がこの先どうなろうとも、絶対に連絡しないと決めているその笑顔を見つめていると涙が出てきました。

そっと携帯電話を閉じて思いにふけります。

私は自分が生きてきた道を後悔しました。

”もっと真面目に生きていれば”

”カッコつけずに素直に生きていれば”

”支払いをちゃんとしていれば”

”借金をしなければ”

”闇金に手を出さなければ”

”パチンコ・パチスロに出会わなければ”

どんなに後悔しても、過去は戻ってきません。

私は絶望に身を任せるだけしかできません。

「ごめん。君の見ているオレは本当のオレじゃなかったんだ」

私は自分を責めました。

人の評価を気にしてウソの自分を演じ、周りから見ると「デキる男」でいる。

しかしその実態は、ウソをつくことに罪の意識をもたず、消費者金融に多くの借金をし、支払いもせず部屋を追い出され、それでもパチンコ・パチスロをやめられず、闇金に手を出し、その支払いが出来ずに苦しんでいるという真逆の男です。

夕方に近づき、当たりが少しずつ暗くなってくると、フラットな感情に少しずつ変化が起きてきました。

再び恐怖の感情が体を侵食し始めたのです。

「ヤ、やばい・・・」

「どうしよう・・・」

抵抗するまもなく、再び全身が恐怖と苦しみに包まれました。

私は無意識の内に会社に戻り、早めにタイムカードを押し退社します。

どうする事も出来ない状態のなか沸いてきた気持ちは、

「逃げよう・・・」

でした。

車に乗り込み、とりあえず先ほどまでいた公園の駐車場に車を走らせます。

時間を見ると17時30分でした。

闇金の営業時間は19時までです。

このまま連絡をしなければ、その内、鬼のような電話が入るでしょう。

相変わらず何もできることはありません。

只々、恐怖が迫り来るのを待っているだけです。

私はその恐怖に必死に耐えていました。闇金に何をされるかわかりません。

”わからない”という想像は、さらに恐怖の感情を強く大きくさせていきました。

とりあえず19時までは何もないと考えて気持ちを落ち着けます。

しかし、増幅する恐怖に気を失いそうな感覚になってきました。

辺りが暗くなり、18時を少し過ぎた頃、携帯電話がなります。

番号を見ると闇金でした。

「ま、マジか・・・」

気持ちが追いついてきませんでした。電話が来るとしたら19時過ぎてからと思っていたのです。

私は、思わず電話に出てしまいます。

「は、はい、もしもし・・・」

「地獄金融だ」

「はい、申し訳ありません」

「オマエ、何時にくるんだ」

「じ、じっ、実は・・・今、ちょっと会議中でして・・・どうしても抜けられないんです」

とっさに出てきたウソです。

私はわざと小声でしゃべり、会議中という演技をしました。

「はぁ?約束やぶるのかっ!!」

「い、いやっそんなことはございません。会議が終わったら必ずお伺いしようと思っていました。」

「チッ、しょうがねぇな。今日は早めに閉めるんだよ。オマエ本当に金あるのか?」

「はい、大丈夫です!」

もちろんありません。恐怖のあまりウソをつきました。

「じゃぁ、今日中にオレの家にもってこい」

「え?はい?」

「だから、今日中にオレの家にもってこい」

「は、はい。わかりました・・・」

「住所控えろ。○○区△△町×丁目・・・・・」

「わ、わかりました」

「着いたらオレの携帯に電話よこせ。おまえ、絶対来いよ。来なかったらお前の家と会社行く」

「は、はい!」

予想だにしない展開です。

結果的に19時までという時間を伸ばすことにはなりました。が、闇金の男の家に持参しなければいけないことになったのです。

こなければ、私の部屋に行くと言っていました。当然私は住んでいません。住んでいた部屋が今現在どうなっているかわかりませんが、私が住んでいないことがわかれば会社に来ることは容易に想像ができました。

「ヤ、ヤバイ・・・本当にヤバイ」

会社に闇金が来ると本当に全てが終わる気がします。大勢の人にも迷惑がかかるでしょう。

もちろん佐々木さんにも・・・。

私はそのことに我慢がならなくなってきています。こんな状況でもウソの自分を演じることを諦め切れなかったのです。

「どうすれば・・・どうすりゃいい・・・」

どんなに考えても答えはでてきません。その間にも恐怖はどんどんと自分の中で膨らんできました。

そして、判断能力が完全にバグッてヤケになった私はある決断をします。

「メンドクセェ。行って、金ないって言おう」

時計を見ると20時すぎ。

頭で考えるより先にアクセルを踏み、言われた住所に向かって車を走らせました。

指定された住所に着き、建物を見ると10階建てくらいのマンションです。

すぐに闇金の男の携帯電話に電話しました。

「あ、すいません。あべです。今、着きました」

「おう、801号室だ。上がって来い」

「はい・・・」

電話を切りエントランスに設置してあるインターホンで”801”と押します。

「あべです・・・」

何も言わずにオートロックの自動ドアが開きました。

エレベーターで8回まで上がり、部屋に着くと改めてインターホンをおします。

「入って来い」

ゆっくりとドアノブをひねるとカギがかかっていませんでした。

玄関で靴を脱ごうとした瞬間から、とても不穏な空気を感じます。

短い廊下を抜け、ドアを開けると闇金の男が、ソファに座っていました。

見ると、タンクトップから見える肌には見事な刺青が彫ってあります。

改めて、闇金をやるような人は、”アチラ”の世界の人なんだと実感しました。

さっきヤケになってここに来ようと思ったことを、死ぬほど後悔します。

体中の毛穴から危険信号が噴き出してくるようでした

「もう、終わった・・・」

これからどうなるのかわからず頭はパニック状態になります。

私はここに来るまで心のどこかで、”相手も人間だし何とかなるだろう”という気持ちが少なからずありました。

しかし、そんな憶測的考えは見事に粉砕されます。

もう、逃げることはできません・・・。

「座れや」

「はい・・・」

ガラステーブルを挟んで、対面に正座して座りました。

「金出せ、1万5千円」

「じ、実は・・・」

「あんっ!!?」

恐怖を感じ、思わず目を閉じると一瞬ピーンと空気が張り詰め、時間が止まったような感覚に陥ります。

そして目を開くとタンクトップの右肩から胸からのぞいている、躍動感ある龍が今にも襲い掛かってきそうに口を開けていました。

 

88話終了です。

 

当時、闇金の人たちは、「明らかにアチラの世界」の人と「ホントは普通の人がアチラ系に見せている」人がいました。このエピソードに出てきた私を担当していた闇金の男は、完全に「アチラの世界」の方です。この時はすでに足を洗っていたかもしれませんが、部屋に入って見た時の、豪快な「昇龍」はかなりのインパクトでした。

 

まだまだ続きます。

89話↓

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