パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-90

投稿日:2020年3月29日 更新日:

究極に追い込まれた状況で、最後の賭けとしてこの場から”逃げる”ことを考えます。しかし長時間、正座していた私は立ち上がることはできません。ここで全てをあきらめ、受け入れてしまいました。

体中を不安と恐怖が支配する中、最後のさいごにメール受信のランプが光ります。
メールを開くと、満面の笑顔と満開のサクラが写った画像が目に入ってきました。
※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

サクラとミィ←76

携帯電話の小さな画面いっぱいに綺麗なサクラの前で写るミィの笑顔が飛び込んできます。

二人でドライブに出かけた時に、撮った一枚です。

しかし、思い出に浸る状況ではありません。

私は、無意識の内にメールではなく、電話をかけていました。

一瞬、闇金の男に視線を移すと、電話をしながらこちらを見つめています。

受話器の向こうで長いコール音が鳴り響きます。

電話に出ることをためらっているのかもしれません。

一方的な理由で離れることを告げられ、いつ戻ってくるのかもわからない状況の中、連絡も出来ず、ただひたすら私からの連絡を待っている日々だったのでしょう。

その思いは、察するにあまるくらいです。

しかしこの時、私にそんなミィの気持ちを想像する余裕はありませんでした。

全ての退路をふさがれ、あきらめていた中、一筋の光が見えたのです。

意識の向こう側にある、危機感が私を動かしていました。

「たのむ、早く!ミィ、出てくれ!」

しかし、20コールなっても無情にコール音が響くだけです。

私は一度、電話を切り、リダイヤルをします。

そして、3度目のリダイヤル、10コールを過ぎた後・・・。

「もし・・・もし・・・」

久しぶりに聞いた、彼女の声には明らかにいつものミィではありませんでした。

少し引いた感じの、冷めた声・・・。

「あ、どうも。あべです。・・・ハイ・・・・ハイ。あ、すいません。ありがとうございます。すぐに行きます!」

私は、電話に出た、ミィを無視して一方的に話し続けます。

ここを脱出するためには、「理由」が必要です。

そしてその理由は一つしか存在しません。

それはお金を用意する事です。

とにかく、この状況を利用して、ウソでもその理由を作り上げるしか方法はありませんでした。

携帯電話を閉じ、顔を上げると目の前に男が立っていました。

その状況に一瞬ドキリとします。

「どうした?」

「あ、い、今あのお金を借りようとしてた人からメールが来まして、貸してくれるという事だったので、すぐにお金を借りに行って、またすぐに持ってきます!」

形勢逆転です。

もう絶対に助からないと思っていた状況から、何とかここを抜け出す理由が作れたと思いました。

ここを抜け出しさえすれば、後は何とかなるはずです

全てが終わったと思った状況から、一変して希望の光が私を包みます。

その感覚は、何かに似ていました。

いつも望んでいるのに滅多に起きない感覚。

それは、少ない資金の中、支払いに困り、追い込まれた状況で打つパチンコ・パチスロ。

そして、残りの軍資金が僅かな状況で大当たりを引き、そして連チャンして、それが支払いに足りない金額に達した時の感覚です。

この時、ミィが添付してきた画像の時の事を思い出します。

二人であてもなくドライブに出かけた時、助手席に座っている彼女は不機嫌でした。

ワケもなく、不機嫌になる彼女に苛立ちを覚えた私は、その理由を問いただし、さらに彼女を不機嫌にさせていきます。

理解できない感情をどうする事も出来ない二人は、しばらく無言のまま、時間をやり過ごすだけでした。

車内の重たい空気に耐えられなくなった私は、河川敷の横に作られた公園の駐車場に車を停めて無言で車を降ります。

ミィも何も言わずに車を降り、黙って後ろをついてきます。

何本か並んだサクラの木の横を歩きながら、花見に来ている人たちを見つめていました。

「ねぇ、まさくん。写メ撮って」

「あ、うん」

1時間ぶりに口を開いたミィに少し安心します。

もう、ワケも無く重たい空気に耐えなくても良いと思い嬉しくなりました。

今のこの状況と、その時の感覚がシンクロし、涙が出そうになります。

この時、心の奥にある何かが少しだけうずき、手を差し伸べてくれている気がします。その奥に見えたのはサクラの木の下で笑顔を見せる「ミィ」が見えた気がしました。

現実に戻ると、男が鋭い視線で睨みつけています。

そして思いもよらない一言を私に投げかけました。

「ダメだ、認めねぇ。持ってこさせろ」

記憶に残る、サクラとミィがモザイクになり、スーっと消えてなくなりました。

「えっ・・・」

「だから、そいつにもって来させろ」

「・・・」

逃げ場を失った私はあっけにとられてしまいます。

言ってみれば、一世一代の芝居を打ち、それが上手くいった気になっていただけでした。

偶然にもこの状況の中、メールを送信してきたミィを利用して何とか逃げ出そうとしただけです。

男は見透かしたように私の逃げ場をふさいだのでした。

「もう一度、連絡して持ってこさせろ」

「い、いや、あの・・・。その人、車も免許もないんで無理なんですよ・・・」

「ダメだ。オマエがここから出るのは認めねぇ」

「そ、そんな・・・」

改めて、ミィに連絡してお願いしても、貸してくれるとは限りません。

彼女は私の状況がわかっていないのです。

ましてや、この場所まで持参させなければいけません。

彼女が今、何処にいるかわかりませんが、駅からも遠いこの場所にはタクシーを使うしか方法がないのです。

それに、きっと彼女は混乱しているでしょう。

何かを思い、メールを送信したはずなのは間違いありませんが、その相手である私は、一方的に敬語で話をし、一方的に電話を切ったのです。

もう、私の顔など見たくないと思っている可能性もあります。

その証拠に、電話を切ってから10分経っていましたが、彼女の方からメールも電話もありませんでした。

「早く電話しろ」

「はい・・・」

もう、すでにミィはあきらめてしまっているのではないかと思いました。

先ほどの電話では、あきらかに普通の状態ではないことに彼女も気付いたはずです。

それなのに、折り返しのメールも電話もありませんでした。

まだ、付き合っていた頃の彼女ならば、私を心配しすぐにでも電話をかけなおすはずです。

それが、無いという事は・・・。

絶望的な状況でした。

しかし、電話をしないワケにはいきません。

電話をしなければウソの芝居が全てバレてしまいます。

背中に何か冷たいものを感じました。

私は覚悟を決め、改めてリダイヤルをおします。

数回のコールが鳴り、今度はすぐに電話に出てくれました。

「もし・・・もし・・・」

先ほどよりも、もっとテンションが低く、不安な声です。

ミィのこんなにも不安そうな声を初めて聞きました。

一瞬、どのように説明したら良いかわからなくなります。

ミィには、この危機的な状況をわかってもらった方が、話は早いはずです。

しかし、ここで口調や言葉遣いを変えてしまうと、闇金の男に先ほどの電話の演技がバレてしまうことになります。

だからといって先ほどのようにこちらから一方的に話すと、彼女にこの状況は伝わりません。

そうなれば、この場所に来てくれないことが考えられます。

私は、ミィが電話に出てから僅か1秒の間に、究極の選択の答えを迫られました。

もし、選択を誤れば今度こそ、私の人生は終わりを告げるでしょう。

「あ、何度も申し訳ありません。あべです・・・ハイ・・・ハイ・・・実は・・・」

私はウソを貫き通すことを選択します。

というよりも、ここで男にウソがばれてしまうのが怖かっただけでした。

ミィは電話の向こうで、私の話を黙って聞いています。先ほどの電話のように取り立てて自ら口を開くことはありません。

「・・・はい・・・という事でこっちからお願いしておいて、しのびないんですが、ここまで来てほしいんですがダメですかね・・・。あ、タクシー使ってもらって大丈夫です。もちろんタクシー代は後で返しますんで」

闇金の男の視線が痛いほどこちらに向いているのを感じますが、怖くて見ることは出来ませんでした。

「ホ、ホントですか!すいませんなんか。こんな時間なのにわがまま言って・・・・ハイ。じゃあ住所メールしますんでお願いします。」

最後まで何もしゃべらないミィに不安を覚えながら、電話を切ります。

信じるしかありませんでした。

「そいつ、金、持ってくるのか?」

「は、はい・・・。」

「・・・」

「す、すいません・・・こ、ここの、じゅ、住所もう一度教えてほしいのですが・・・」

男は、何も言わず電気料金の請求書を私に投げつけて来ます。

そしてキッチンの方に向い、改めて誰かに電話していました。

おそらく先ほど電話していた相手に私がお金を用意できたことを、伝えるのでしょう。

私は携帯電話を開いて、すかさずミィにメールをします。

 

ミイ、すまん。ワケは後で話すから、お願いだからお金を貸してほしい。そしてこの住所に今すぐタクシーで持ってきてほしい。

ミィしか頼める人いないんだ。

○○区△△町×丁目・・・・・

 

メールを打ち終わり、祈るような願いを込めて送信しました。

「たのむ!ミィ、来てくれ・・・」

男が電話を切り、こちらに戻って来てソファに腰掛けます。

その異様な雰囲気に完全に飲まれ、改めて私の全身を恐怖が支配しました。

「なぁオマエ」

「は、はい・・・」

表情を鬼のように一変させ、低い声で恫喝します。

「オマエ、ウソついてるだろ?」

「!?」

 

90話終了です。

 

この時のことは、今でもトラウマとして私の心に刻まれています。本当に生きている心地がしませんでした。

そして、ミィはもっと傷ついたでしょう。

どんなに想像しても、この時ミィが感じた痛みを想像することは出来ないと思います。

きっと、その傷は私を支配する恐怖よりも大きいはずです。

 

まだまだ続きます。

91話↓

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