パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-93

投稿日:2020年4月19日 更新日:

私にとって、最も望んでいない形で、ミィと再会を果たします。

彼女は、もっと望んでいない形だったでしょう。

この再会が二人にとって良かったのか、良くないことだったのか、いまだ答えがでません。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

反射

彼女が思ってもいない一言を発します。

”あの部屋にまさくん、住んでないじゃない・・・”

私はまた、少しパニックになりました。

と、いうことは私が、ホームレスであり車中泊をしながら生活している事がバレてしまいます。

こんな状況でも私は、本当の自分を見せることを躊躇しました。

何としても情けない自分を見せることが許せなかったのです。

「別にいいけど・・・」

寂しそうに下を向いている彼女を見ていると、どうして良いかわからなくなってきました。

ミィはきっと裏切られたと思っているはずです。

なのに、結果的に私を助けました。

彼女は私を見捨てることが出来なかったのです。

それが、彼女の弱さなのか強さなのかはわかりません。

「ごめん・・・。そんなつもりはなかったんだ」

「・・・」

彼女はまた無口になります。

車を走らせながら車内が重たい空気に満たされていくのが耐えられませんでした。

私は、彼女のことよりも自分の気持ちを優先させています。

なんとか押しつぶされそうなこの気持ちをどうにかしたくてたまりません。

ほんの数分前まで闇金に追い込みをかけられていた恐怖と苦しみは、どこかに影を潜めていました。

私にとっては一難たって、また一難といったところです。

「ミィ、ゴメン。今日借りたお金は次の給料で必ず返すから・・・」

「・・・」

「いや、実は、ちょっと会社でミスしちゃって、どうしても自分で処理しなきゃいけなかったんだ。それでしょうがなくヤバイところからお金借りちゃったんだよ。迷惑かけるつもりはなかったんだ・・・」

無意識にウソが口から出てきました。

パチンコ・パチスロのせいで借金をしたとは言えません。

そんな自分を見せることは考えられませんでした。

「ミィには迷惑かけられないと思ったんだよ・・・。だから離れようと思ったんだ。全部終わったら、必ず迎えにいこうと思ってた・・・」

ミィはこちらを見ることは、ありません。

私は彼女が私のことを許してくれるという話の流れを想像していました。

急に私から距離を置いたのは理由があって、だからしょうがないと思ってほしかったのです。

すぐに仲直りをして、以前のようなミィに戻ってほしかったのでした。

しかし、彼女はいつまでたっても、私の知っているミィではありません。

そんな彼女を見て少しずつイラだってきます。

それは、単純に私のワガママです。

いつまでも自分の思い通りの展開にならないこの状況にイラついているだけでした。

幼稚で自分勝手な考えです。

パチンコ依存症・パチスロ依存症は関係ありません。

私は許してもらうことをあきらめました。

こういう時の女性には何をいってもムダだという結論に達します。

車を走らせていると飲み屋が並ぶ場所に差し掛かり、急に周りが明るくなります。

「まさくん。次の信号すぎたところでいいよ」

「な、なんでだよ」

「いいよ。私、タクシーで帰るから」

「・・・」

私は言葉を失います。

意味がわかりませんでした。

「つかれてるのよ。明日も早いし。まさくんも早く休んで」

私は帰したくありませんでした。

彼女が何を考えているかわからず不安になったのです。

「い、いや、ミィ、もう少し話そうよ。色々話したいことがあるんだよっ!」

「うん。まさくん、ゴメン、今日は、ムリ・・・」

「わかったよ・・・」

これ以上はラチがあかないと思い、車を停めます。

ミィは一度もこちらを向きませんでした。

「ミィ、ちゃんと話をしたい。明日また連絡するから!」

「うん・・・」

車から降りた彼女は、すぐにタクシーに乗り込み帰っていきます。

私はそれを見つめることしかできません。

車の窓ガラスには、大粒の雪が当たってすぐに水滴に変わり、ネオンや街頭の光が反射していました。

新たな恐怖

翌朝、会社で営業の準備をしています。

ジェットコースターのような昨日の出来事の感触がまだ体に残っていました。

ミィのことばかり、頭に浮かびます。

でもそれは、ミィに対しての愛情ではありませんでした。

私はミィが思っている、”あべまさたか”という人間が変わることが我慢できなかっただけです。

会社を出て、コンビニの駐車場に車を停めてすぐにメールを送信します。

「おはよう。昨日はすまなかった。できれば仕事終わったら話がしたい。今日会えないかな?」

返信はすぐには返ってきませんでした。

とりあえず、いつも通りに営業をまわります。

昨日の夜から降り続いた雪は、辺りを白く染めていました。

昼近くになり、午前中の営業を回り終えた私は、コンビニの駐車場に車を停めました。

財布の残金は238円。

カップ麺なら、買えるでしょう。

レジで会計を済ませ、薄いフィルムを剥がしお湯を入れている最中、ポケットの中の携帯電話が震えました。

すぐに確認をすると、ミィからのメールです。

「わかったわ。会社終わったらメールする」

急いで車に戻り、ホッと胸を撫で下ろします。

とりあえず、会って話をしなければはじまりません。

どんなウソもどんな弁解も、話をしてこそです。

今日の夕食もなんとかなるかもしれません。

心の奥底に”最低”の二文字がよぎります。

私はミィに対する気持ちよりも、ミィがこの数ヶ月、私に抱いていたであろうという気持ちよりも、空腹を満たすことが頭に浮かんでいました。

そんな自分の人間性に気付き、自分で自分のことを最低だと思いました。

しかし、気付いてはいても空腹には勝てません。

ましてやこれからは、厳しい冬の季節がやってきます。

今の生活はどうにかしなければいけないでしょう。

私は、ミィがどうにかしてくれるかもしれないという”下心”がありました。

ミィは私から離れることはきっと出来ない。

そうタカをくくっていました。

と、同時にそんな本当の自分を心の奥で軽蔑しました。

最低です。

夕方になって会社に戻ると急いで終了業務を済ませ、タイムカードを押し、会社を出ます。

車に乗り込み、車内が暖まらない内にミィの職場の方向に向いました。

何だか久しぶりの感覚です。

以前は、何度もそうしてきました。

路肩に車を停めて彼女のことを待っていると、私を見つけ、急いで駆け寄ってくる。

そんな当たり前だった光景が、何だか遠い昔の出来事に感じます。

その時のように待っていると10分後にメールの着信がありました。

”今、終わったよ。まさくんは、どう?”

”もう、待ってるよ”

”わかった”

職場のあるビルの出口から、ミィが出てくるのが見えました。

すぐに私の車を見つけ、以前のように急いで駆け寄ってきます。

私は、その姿を見て少しだけ胸が傷みました。

一瞬、ミィにどう思われてもいいから、全て本当の自分をさらけ出したくなります。

それが、誠意のような気がしました。

ミィをこれ以上裏切りたくないと思います。

ミィはきっと私のことを、まっすぐに曇りなく愛してくれているでしょう。

一方、私は曇りだらけです。

ウソにウソを重ね、ちっぽけなプライドを守ろうと虚像の自分を演じていました。

きっと、これまでのことを洗いざらい話せば、どんなに私のことを愛してくれていても、軽蔑するでしょう。

キライになるかもしれません。

だけど、それでもいいかもしれない。

もう、昨日のような思いはさせたくない。

そう感じました。

彼女が助手席のドアを開けます。

「おつかれさま!なんだか会社の近くで、まさくん待ってくれてるの久しぶりだね」

「おつかれさん。そうだな。久しぶりだな」

まだ、少しだけぎこちない会話でしたが、昨日とは違う私の知っている彼女に戻りつつある気がして嬉しくなりました。

思わず彼女のことを抱きしめたい衝動に駆られます。

しかし、引け目を感じている気持ちがブレーキをかけました。

しばらく離れていても、彼女は変わりません。

ミィはミィのままでした。

そんな純粋な気持ちを、私が汚してはいけないと思います。

ミィを見つめていると気持ちの中に、急に「失いたくない」という気持ちが沸いてきます。

それと同時に恐怖も生まれてきました。

その恐怖はこれまで感じてきた、どの恐怖とも質が違うものでした。

闇金を借りる時の恐怖や、追い込みをかけられた時の恐怖とは違います。

失うことの恐怖。

この時、初めて感じた感情です。

そして、離れていた間、彼女はずっとこの恐怖を感じながら生活してきたのかと考えると、よけいに胸が苦しくなりました。

私はその間、恐怖を感じることなく、厨房の排水溝の油や食品の腐敗した臭いにまみれ、パチンコ・パチスロに一喜一憂し、そして闇金の苦しみにまみれていました。

「ねぇ、とりあえず何か食べにいこうよ。お腹すいた」

「あ、う、うん・・・」

「どこか、ファミレスでいいよ」

「い、いや、ゴメン。オレ金ないよ・・・」

「わかってるわよ」

私はただ、初めて感じる”失いたくない”という恐怖の感情に戸惑うだけです。

カッコつけようとか、デキる自分を演じようなどとという感情は、いとも簡単に崩れていきました。

 

93話終了です。

 

私は最初、彼女を利用しようとします。彼女を利用して、今の生活から抜け出そうと考えたのです。

しかし、変わりなく強く優しいミィに自分の醜さを気付かされました。そして、そこで生まれたのは「恐怖」という感情です。

失いたくないという恐怖は、さらに私を追い込みます。振り返ってみると、この時がラストチャンスでした。

 

もう少し続きます。

94話↓

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