パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-94

投稿日:2020年4月26日 更新日:

”失いたくない”という恐怖を感じながら、ミィとの久しぶりの再開に戸惑っていました。だけどこの時、何を失いたくなかったのかわかっていません。

ミィのこと?それとも・・・?

ただ、昨日の闇金の男の部屋で感じていた苦しみは、頭から消えていました。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

揺らぎ

ミィの会社から20分ほど車を走らせ、ファミレスの駐車場に車を停めました。

湿った重たい雪が、少しずつ厳しい季節の到来を告げています。

店内に入るとアルバイトのウェイトレスが、声をかけてきました。

「お客様、お二人さまですか?」

「はい」

「只今、喫煙席が満席となっておりまして、15分くらいお待ち頂きますが、どうなさいますか?」

「あ、禁煙席で大丈夫です」

「では、ご案内いたします」

となりにいたミィは少しビックリした顔をしていました。

「まさくん、別に待ってもいいよ、わたし・・・」

「いや、どうせタバコないんだわ・・・」

「そう・・・」

正面に向かって座ると、彼女の目を見ることが出来ません。

それは、久しぶりに会って照れくさいとかではなく、昨日のことを思い出したからでした。

「お決まりになりましたら、そちらのボタンを押してお呼び下さい」

ウェイトレスが離れた後も、メニューから視線をそらすことはありません。

私は何となくこの重たい雰囲気に耐えられなくなってきます。

しかし、私の方からこの雰囲気を払拭する事は出来ませんでした。

なぜなら、昨日のことがあったからです。

ミィには、嫌な思いをさせてしまいました。

ワケがわからず、恐怖だったでしょう。

そして、今日の私はお金がありません。

食事代は彼女持ちなのです。

このことに必要以上に負い目を感じてしまっている私は、自ら場の空気を変える様なことが出来ませんでした。

この嫌な雰囲気に身を任せて必死に耐える事と引き換えに、罪の意識をなかったことにしようとしています。

「私、パスタでいいや。まさくんは?ハンバーグ?」

「うん・・・」

正直、何を選んだら良いのかわかりませんでした。

ミィに「ハンバーグ?」と言われ、ハンバーグのページを開きます。

「あ、じゃぁ、これにするは。ハンバーグプレート・・・」

ハンバーグの中でも一番安いメニューを選んでしまいます。

本当に食べたかったのは、それよりも320円高い”ミックスグリルハンバーグプレート”でした。

テーブルにある、ボタンを押します。

ウェイトレスはすぐに注文を取りにきました。

注文をとり、メニューが下げられた後、沈黙が続きます。

何を話したら良いかわかりません。

早く、パスタとハンバーグプレートが来ることを願いました。

食べていれば沈黙も気まずくありません。

「ねぇ、生きてたの?」

彼女の方から話しかけてくれたことに、ホッとします。

「あ、あ、うん・・・」

とても曖昧な返事をしました。

本当は、部屋を追い出され車中泊の生活という、まともじゃない状態です。

心の中で、助けを求めたい気持ちと、これ以上ミィに甘えたくないというプライドがせめぎあいました。

と、同時に昨日の夜の事を彼女はどう思っているのかが気になります。

当然、最初に話さなければいけないことです。

しかし私は、そのことを中々口にする事は出来ませんでした。

「ごめんなさい。私ね、仕事が早く終わった時にまさくんの部屋に行っちゃったの。なのにまさくんの部屋、だれも住んでいないんだもん」

「えっ!?いつ?」

「うん。2週間くらい前かな・・・」

ミィのその言葉を聞き、改めて自分の部屋はもう無いという事実を受け止めました。

家賃を未払いにして追い出されてから、自分の部屋には戻っていません。

その事実が、私の体に改めて危機感を生み、さらに私を追い込みます。

「ねぇ、まさくん・・・」

「うん?」

「他に彼女とか出来ちゃったの?」

「いや・・・」

「私、もう、まさくんと会わないつもりだったのに・・・」

ミィが私の目を見て、次の言葉が出る瞬間、ウェイトレスがテーブルの横に立ちました。

「ハンバーグプレートのお客様・・・。」

ミィは言葉を飲み込み、パスタを口に運びます。

私は、”ミックスグリルハンバーグプレート”を注文をしなくて良かったと思いました。

いくら食べても、ほとんど味がしなかったからです。

お腹を満たすためだけなら、ハンバーグの中でも一番安いメニューで十分でしょう。

震え

二人とも食事を終え席を立ちます。

ほぼ、話はできていません。

ミィが透明な筒から伝票をとり、先に席を立ちレジに向かっていきます。

二人で外食をして帰る時に、彼女の背中を見ながら出口に向かうのは初めてでした。

会計の終わるまでの僅かな時間が、情けなくなり少し自分がイヤになります。

車に乗り込み、エンジンをかけた後も無言です。

私は何を話せば良いのかわからなくなっていました。

それは、ミィの一言が気になっていたからです。

”私、もうまさくんと会わないつもりだったのに・・・”

きっと、ミィは私のことを待っててくれていると思っていました。

私の事をいつまでも好きでいてくれていると思っていたのです。

あたりまえですが、これは私の驕りです。

それは態度にも表れています。

一緒にいた頃のミィなら、昨日の出来事を問いただしていたはずですし、今、私が何処に住んでいるのかを問いただしてきたはずです。

だけどミィは何も聞いてきませんでした。

とりあえず車を走らせ、ゆっくりと話が出来る所を探します。

一瞬、造園所の駐車場に行こうを思いましたが、思いとどまりました。

佐々木さんとのことを思い出し、そこへミィと行くのは不謹慎だと思ったからです。

結局、15分ほど車を走らせ公園の駐車場に車を停めました。

「なぁ、ミィ・・・」

「うん?」

「昨日のことなんだけど・・・」

「うん」

「怖い思いさせてすまなかった・・・」

「うん」

「実は仕事でちょっとミスってしまって・・・」

私はここで仕事のミスを会社に隠すために、闇金に借金をしたというウソをつきました。

そして、そのために家賃が支払えなくなり、車中泊のホームレス生活を余儀なくされたというウソも重ねます。

もっともらしい完璧なストーリーにし、仕事のために身を切るような男を演じました。

彼女がどんな気持ちで、私の話を聞いていたかや何処まで信じて話を聞いていたかわかりませんが話のあらすじは完璧でした。

「じゃぁ、まさくん今、部屋ないの・・・?」

「あぁ・・・。情けないけど・・・」

私は、必死に悲壮感を演じました。

まるで、全ては自分のせいではなく、不可抗力でこうなってしまったかのように・・・。

「ねぇ・・・?」

「ん?」

「もしかして、このことがあったから、私と離れたってこと?」

「うん・・・。黙っててごめん。でも、ミィを巻き込みたくなかったんだ。結局、昨日、巻き込んじゃったけど・・・」

「そっか・・・」

ミィが離れた理由をそう思ってくれたのは、私にとって好都合だと思いました。

私の身勝手な行動を許してくれると思ったからです。

「私ね、まさくんと会えない間、毎日悲しくて苦しくてしょうがなかったの」

「うん」

「でもね、まさくん、仕事のことで距離おきたいって言ったから、ずっと我慢しようと思ってたの」

「うん・・・」

「でも、会いたくて会いたくてどうしようも出来なくなったの」

「・・・」

「だけど、会いにいったりメールしたら邪魔だなと思って出来なかった。まさくんの邪魔出来ないと思ったから」

「うん」

「だけど、耐えられなくなって、でも、邪魔もできなくて。もう、まさくんのこと忘れようと思ったのよ」

「・・・うん」

「でね、最後に手紙を書いてね、ポストに入れて帰ろうとまさくんの家に行ったら、びっくりしたわ。だれも住んでないんだもん」

「・・・」

「私、もしかして、まさくん死んじゃったんじゃないかと思って混乱したのよ。だってわからないじゃん。」

「うん。すまない・・・」

「次の日の朝、まさくんの会社の近くまで行ったのよ」

「・・・」

「そうしたら、まさくんが会社から出てくるのが見えた。良かった、生きてたって・・・」

「・・・」

「もう、会わないと思った」

「うん。ごめん」

「それでね、最後にと思ってメールしてみたの。だって手紙も渡せなかったから」

思わずミィを抱きしめていました。

だけどそれは、心配かけて申し訳ないという気持ちや寂しい気持ち、辛い気持ちにさせて申し訳ないという、優しさではありません。

ミィの優しさや純粋さが、自分の事を責めているような気がして辛かったからです。

私は、支払いをせずに部屋を追い出され、パチンコ・パチスロのために闇金から借金をし、自分のプライドのために平気でウソをついています。

ミィは私とは逆に、純粋に私が好きで、私のために辛い気持ちを押さえ、自分と向き合い答えを必死に導こうとしていました。

そのあまりにもの純粋さに耐え切れなくなっただけです。

ミィは無意識に私を抱きしめ返してきました。

久しぶりに感じる彼女の体温が、心の奥を少しだけ震わせています。

私は答えるように”意識的”に抱きしめる指先を強くしました。

 

94話終了です。

 

私はこの頃、平気で”よく出来たウソ”をついていましたしウソをつくのが得意でした。

しかし、ウソは自分を責め立てます。そこから抜け出すには苦しさと向き合う勇気が必要です。

私はウソを重ねて目を背けるしか出来ませんでした。

 

もう少し続きます。

95話↓

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