パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-95

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無意識に抱きしめる指先から伝わる彼女の体温に、意識的に力を込めて返します。純粋なミィの気持ちが少しだけ心に刺さりました。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

理不尽な感情

久しぶりに感じる彼女の体の感触が、優しく私を包みます。

最近の私の苦しみが、侵食され現実がとても曖昧になっている感じがしました。

「ねぇ、まさくん・・・」

「ん?」

「これから、どうするの?新しいお部屋借りるの?」

「う、うん・・・。そうしたいんだけど・・・」

「えっ!?ずっと、車で寝泊りするの?」

「いや、お金がないから・・・。どうしようもないんだよ」

私は少し、イラッとしました。

私のこの状況で、部屋など借りる余裕はありません。

結局、私のことを理解されていないことに腹を立ててしまいます。

しかし、ミィは悪くありません。

普通で考えれば理解できていなくて当然なのです。

知らないところで、消費者金融の借金が限度額いっぱいになり、パチンコ・パチスロで負けて支払いが出来なくなり、部屋を追い出され、闇金で借金をするようになり、またパチンコ・パチスロで負けて支払いが出来なくなり、追い込みをかけられていることなど、わかるわけがありません。

だけど、私は彼女にイラッとしました。

好きな相手が、困っていたり追い込まれている。

それを理解してもらえないことに、その理不尽さに許せない気持ちになってきます。

当然ですがそれは、間違いです。

理不尽なのは私のほうでしょう。

「まさくん、今日も車で寝るの?」

「う、うん・・・。まぁ・・・。しょうがないよ」

二人とも無言になります。

何か話したくてしょうがありませんでした。

と、いうよりも彼女から部屋に来るように言ってくれることを期待します。

きっとミィは私のことを見捨てるはずがないと思いました。

大好きな人が、ピンチに陥り車での生活を余儀なくされている。

そんな状況なら、助けるはずと甘えていました。

だけど彼女は、中々私を助けるような言葉は発しません。

「まさくん、ちゃんと食べてるの?」

「いや、まぁ・・・食べれる時は・・・」

「ダメよ。食べなきゃ」

「うん・・・」

段々と自分が情けなくなります。

話せば話すほど、本当の自分が知られるような気がしてイヤば気持ちになってきました。

さらに私は理不尽な感情を彼女に抱きます。

”大好きな人がこんな状況なら、助けるのが当然だろ”

私はミィに対して助けを求めていました。

しかし、すぐに助けを求めることを拒否しています。

それは、自分のプライドが傷つくからです。

本当の自分が知られることを恐れていました。

なぜなら、本当の自分を好きでいてくれるワケがないと思っていたからです。

本当の自分を好きになれないのは、誰よりも自分でした。

だから、自分のをウソで固めるしかありません。

そこから、会えなかった期間のことを、話し続けます。

やはりそのほとんどが、ウソでした。

彼女は、フロントガラスを見つめながら黙って頷きながら聞いています。

どんなに話を聞いても、彼女の方から私を助けようとする言葉は出てきません。

「わかったよ。まさくん大変なんだね。だけど私はまさくんのこと変わらず大好きよ」

私は返す言葉が見つかりませんでした。

これだけ話しても、私の大変さを理解されていないような気がして、孤独を感じました。

気がつくと、時計の時刻は23時を示しています。

外を見ると、大粒の雪がフロントガラスを覆っていました。

「まさくん、ごめん。そろそろ帰るわ。私、明日は早起きなのよ」

「う、うん・・・。」

私は見捨てられた気持ちになり、怒りと恐怖の感情が沸いてきました。

しかし、怒りの感情はすぐに影を潜め、その代わり恐怖とあきらめの感情に支配されます。

お金がないということは、食事をとることができません。

バイトの後の風呂も不可能です。

「なぁ、ミィ・・・」

「うん?」

「悪いんだけど、あと5千円貸してくれないかな・・・?」

私はワイパーを動かします。

目の前に、真っ白な風景が現れました。

ミィは何も言わず、駐車場に広がる降り積もった雪を見つめています。

「いや、さっきも言ったけど来週になったらバイト代少し入るから、この5千円はその時返しても良いからさ・・・。たのむよ」

彼女はそのままバッグを開き、財布を取り出します。

そして入っていた札を全て取り出し、私に渡してきました。

「3千円しか無い」

「あ、うん。ゴメン・・・。とりあえず3千円でいいよ。ご飯代だから・・・。来週返すよ」

取り出した財布をバッグにしまいながら、私の顔を見つめます。

「ねぇ、まさくん。私もお金ないんだよ・・・」

「わかってるよ。来週返すから。スマン・・・」

受け取った3千円をポケットにしまい、車を発進させました。

また、しばらく無言時間が訪れます。

なんとか、食事代と風呂代を確保した私は少し安心しました。

冷静になると、なんだか自分がヒドい男に思えてきます。

今の状況になっているのは、全て自分の行動の責任です。

私は助かるために、ミィの気持ちを利用しました。

彼女の私に対する”想い”を利用したのです。

ミィは、どんな想いで私のことを待っていたのでしょうか。

そして、どんな思いを抱いて、私と再会をしたのでしょう。

私の中にある、僅かな良心がそのことを思わせ、私に叩きつけてきました。

しかし、そんなことに向き合う心はすぐに掻き消されます。

それよりも、明日の食事が大切でした。

もっと、言えばこのままミィの気持ちを利用して、何とかこの状況を脱出しようと考えます。

「あ、まさくん、そっちじゃない」

「えっ!?」

ミィの自宅に向かう交差点で、逆の方向を示してきました。

「私、引っ越したの・・・」

「マ、マジか」

「うん。ホントにまさくんとは、もう会わないつもりだったのよ・・・」

「・・・」

ミィの指示通りに車を走らせていき、アパートが多く立ち並ぶ路地に入りました。

「あ、そこの自販機の前」

車を停めて降りる時、少しだけ間が空きます。

私は、部屋に誘ってくれることを期待しました。

しかし、彼女は何も言わずにドアを開けようとします。

「送ってくれてありがとう」

「え、あ、うん・・・」

彼女にその気が無いことを感じると、また怖くなりました。

もう私は、今の状況から抜け出すことが不可能な気がします。

「な、なぁっ!」

私は思わず彼女の腕を掴んでいました。

「なに?」

少しビックリした顔をして、まっすぐな目で見つめ返してきます。

「なぁ!たのむよミィ!助けてくれよ!」

「・・・」

「ごめん。さっき色々話したけどホントはもっとヤバイ状況なんだよ」

「・・・」

「闇金の借金も、もっとあるんだよ。どうしようも無いところまで来てるんだ。もう、部屋を借りるとか、全て解決して、もう一度、前みたいに戻るとか無理なんだよ!」

ミィは、今までで一番悲しい顔を見せます。

「何よ。なぜさっきちゃんと話してくれなかったの・・・・。まさくん、いっつもそうじゃないっ!わたし、わかってたんだからっ!!」

力強くそして優しい目に悲しさを滲ませながら見つめ返してきました。

その一点の曇りのない、瞳に私はたじろぎます。

「ご、ごめん・・・」

「何が3千円貸してよ!何がすぐに解決してもう一度付き合おうよ!出来ないのわかってたクセに!ごまかさないでよっ!!」

今までもケンカはありましたし、怒ったこともありました。

私も怒り返し、言い合いになっていましたが、この時私は何も言葉が出てきません。

全て彼女の言う通りです。

彼女の言葉を聞き、初めて彼女の前で素直になります。

「すまない・・・。全部、オレが悪かった・・・」

「で、なによっ!」

「い、いや・・・なにって・・・」

「どうするのよ!これから!!」

「と、と、とりあえず、今日泊めてほしい・・・」

「もう!ホントに凄いバカっ!信じられない・・・」

「ごめん・・・マジで・・・」

彼女のために必死に取り繕い、ウソで固めた姿を見せ続けてきましたが、彼女のまっすぐで力強い純粋な瞳に追い込まれ、全てをさらけ出すことになりました。

不思議と体が軽くなり、希望の光が見えた気がします。

だけど私は気付いていません。

この後、自分と向き合うことが出来ない私は、せっかく見えた希望の光を自らの手でふさいでしまうのです。

 

95話終了です。

 

きっと彼女は、偽物のプライドでいつもカッコをつけていた、私を見抜いていました。

そして、そんな私を愛し、側に寄り添っていました。

それは、彼女の持つ力強さと優しさです。

私は彼女の優しさに気づくことが出来ずにいます。私が彼女の優しさと力強さ、そして愛に気付いたのは、数年後・・・。

気付いた時には、彼女はもう側にいませんでした。

 

もう少し続きます。

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