パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-96

投稿日:2020年5月10日 更新日:

ミィのまっすぐな気持ちに追い込まれた私は、素直になるしかありませんでした。

風景は真っ白に変わっています。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

卵焼きとウインナーとサラダ

部屋に入ると、まだ所々にダンボールが並んでいます。引っ越してからまだ、日が浅いことがわかりました。

シンプルな間取りの1DK。

一人暮らしには十分でしょう。

「ごめん、まだちゃんと片付いていない」

「うん、いいよ」

「とりあえず、今日はもう寝ようよ・・・。ホントに明日早いの。話は明日聞くから・・・」

「うん。ごめん・・・。何時?」

「8時までには、会社に着きたいの。まさくんは明日、土曜日だから休みよね?」

「うん」

「じゃぁ、待っててよ。明日は遅くならないから」

「わかった」

彼女は立ち上がり、衣装ケースの中から着替えを取り出して部屋の端に歩いていきました。

薄暗い中うっすらと見える、スーツを脱いだ後姿のミィの体を見て、少しだけ懐かしい気持ちになります。

スウェットに着替え、こちらを振り返る瞬間、慌てて視線を外しました。

「まさくん、着替えとか歯ブラシは?」

「あ、車の中だ・・・。ごめん、取ってきていい?」

「うん」

ドアを開けて外に出ると、雪の粒は大きくなり、さらに一面を白く染めています。

このまま根雪になるでしょう。

とりあえず、歯ブラシと着替えを抱え、部屋に戻ります。

「わぁ、まさくん、頭に雪積もっているよ、玄関で落としてきてよ」

「え、マジ?」

玄関で少しと溶けかかり湿った雪を玄関で落としている間、安心感を感じます。

ほんの数ヶ月前まで、当たり前だったこの感情が、私を優しく包みました。

着替えを済ませると、先にベッドに入ってるミィはすでに目をつぶっています。

「まさくん、電気消してよ」

「おう」

電気を消して、ベッドの空いているスペースに体を滑り込ませると、さらに安心感が体を包みます。

久しぶりに体を伸ばして眠りに着くことが出来る感覚は格別でした。

肩と肩の間には隙間がありましたが、触れていなくても感じることができる、彼女の体温と呼吸がゆっくりと眠りに誘います。

苦しみや恐怖は何もない気がしました。

翌日、目が覚めるとカーテンの隙間から日が指しています。

時計を見ると9時を過ぎたところでした。

ミィはすでに、仕事に出たようです。

久しぶりにリラックスして眠れたせいか、寝起きでも頭がスッキリしていました。

ベッドから降り、カーテンを開けるとテーブルの上に書き置きが見えます。

”まさくん。おはよう!冷蔵庫の中に食事作っておいたから、暖めて食べて。6時くらいには終わる予定です。終わる時にメールするね。一応、カギ置いていきます。出かける時は戸締りよろしく”

走り書きのメモが、私を落ち着かせました。

なにか包まれる感触が、心地よく感じます。

念のため、コートを羽織り、車を確認しに行きます。

雪は積もっていましたが、駐禁は切られておらず安心しました。

部屋に戻りコートを脱ぐと、また眠気が襲ってきます。

そのままベッドに入ると、僅かにのこるミィの残り香が私を深い眠りへと導きます。

こんなに眠ったのは久しぶりでした。

遠くに感じる、恐怖や苦しみを尻目に少しずつ荒んだ心が癒されるようです。

冷蔵庫にある卵焼きとウインナーとサラダには手をつけませんでした。

軽蔑への抗い

ハッと目を覚ますと、部屋の蛍光灯が点いています。

ミィはキッチンに立っていました。

「あ、ミィ、おかえり・・・」

「やっと起きた!びっくりしたわよ。帰る時、メールしても返事ないんだもん」

「ごめん・・・。迎えにはいこうと思ってたんだけど・・・。疲れてたのかな・・・」

「ううん。いいわよ。もうちょっと待ってて。ご飯できるから。何も食べてないでしょ」

「あ、ごめん。朝は一回起きたんだよ。冷蔵庫のご飯、食べようと思ったけど、寝てしまったみたいだ」

彼女は、何も言わずまた料理にとりかかりました。

「シャワー浴びたら?汗臭いわよ」

「あ、うん・・・」

彼女にそう言われたのが、少しショックで急いでベッドから起きシャワーの蛇口をひねります。

髪を洗いながら、ミィの香りに包まれ悪い気はしませんでした。

シャワーから上がると、すでにテーブルの上には食事が並んでいます。

「わぁ、うまそう・・・」

心の声が思わず口をついてしまいます。

「うん」

彼女の微笑を久しぶりに見て、幸せを感じました。

”こんな時間がずっと続けば良いのに・・・”

私の頭の中は無意識に、それを求めていましたが、それはいつまでも具現化されず自分で今どんな気持ちでいるかがわからなくなります。

曖昧な気持ちが、私の心を締め付けました。

食事の最中も、曖昧さが消えず私は苦しくなってきます。

何かを、何かを決心しなければいけません。

しかし、その決心には新たな苦しみを予感させました。

今までの苦しみとは違う質の苦しみ。

だけどそれを受け入れなければ、また元通りになることも感じました。

食事が終わり、一息ついているとバイトがあることを思い出します。

「ミ、ミィ、ゴメン。ちょっと電話するわ」

「うん」

私は携帯電話を取り出し、バイト先に電話します。

関口の顔が浮かび、2日連続で休むことには、気が引けましたが、しょうがありません。

バイトに行ってしまうと、ミィと話が出来なくなります。

電話を切ると少し、緊張してきました。

まずは、ミィに改めて謝ろうと思います。

私に一方的に距離を置かれ、数ヶ月の間、寂しさに耐えながら私を待っていたはずです。

我慢できなくなり、私の部屋に行くとそこには私はすでに住んでいませんでした。

私を尊重し、連絡を我慢していた彼女が決めたのは、「別れ」です。

その決心は、大きく彼女を追い詰めたでしょう。

だけど彼女自身が一歩進むには、その決心しかありませんでした。

自ら私の元を離れる決心は、彼女に大きな傷を残したでしょう。

しかも、そんな一大決心も、私の勝手で崩されました。

私が連絡したことにより、きっと何日も悩んで決心したことを、いとも簡単にないことにされています。

当然、彼女も本当は以前のように私との楽しい日々を望んでいたのです。

私から求められて、拒否は出来なかったのでしょう。

そして、彼女の母性は私を放っておけませんでした。

これは良い、悪いという問題ではありません。

電話を置いて、ミィの側に座ります。

「なぁ、ミィ・・・色々話したいんだけど良いか・・・?」

「いいよ」

私は、今ある消費者金融の借金、未払いの家賃などの支払い、そして闇金の借金など、全てを話しました。

闇金の支払いサイクルや利息などを説明し、もうどうにも出来ない状態であることを話します。

もう部屋を新たに借りることなど不可能なことも話しました。

そして、もう車での生活が限界なことも話します。

「すまん、ミィ・・・」

「どうゆうこと?このまま、ここに住むってこと?」

「あ、うん・・・。ごめん。せっかく、オレを忘れようと思って引っ越したのに・・・」

「・・・」

ミィはとても悲しそうな表情をし、返事をしませんでした。

どんな心境なのかを想像できません。

「たのむよ・・・。ミィ・・・」

ミイの表情はさらに曇ります。

おそらく、こんな私は見たくなかったのでしょう。

「とりあえず、考えさせて」

私は正直、意外でした。

てっきり、私を受け入れてくれると思ったからです。

考えさせてということは、このまま一緒に住むことを断ることもあるということでした。

それを突きつけられた時、私はまた恐怖に包まれます。

また、苦しい毎日が続くような気がしました。

さらに私には問題があります。

このままで行くと、次の闇金の支払いが出来ないということです。

今度は、助からないかもしれません。

しかも、一つの闇金だけではなく、借りている3つの闇金のジャンプが不可能になります。

それが頭に浮かんだ時、命の危機を感じました。

私は意を決して、口を開きます。

「ミィ・・・。闇金を全て返したいんだ・・・・。じゃないとオレが終わってしまう」

「・・・」

「だから、20万、貸してほしい・・・」

部屋の空気が耐え切れないほど、歪んでいくのを感じました。

彼女を見ると、私に向くはずの軽蔑の気持ちをなんとか掻き消そうと必死になっています。

その表情は見たことのない表情でした。

自分の愛している人が、変わっていくのは耐えられないのです。

私は、その必死の苦しみに気付いてあげることができません。

 

96話終了です。

 

ミィはとても優しく、とても強い女性でした。

故に私は彼女のことを、傷つけ続けてしまいます。

だけど、どんなに傷ついても私に対する想いは変わりませんでした。

私はそれに気付かず、さらに傷つけていきます。

その傷が想像できたのは、何年も先のことです。

想像できた時、私には到底、受け止められないほどの大きな痛みでした。

 

もう少し続きます。

97話↓

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