パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話

パチ依存症をこじらせて闇金から借金してた頃の話-98

投稿日:2020年5月24日 更新日:

得体の知れない不安の中、私を受け入れる決断をしたミィ。そこに生まれた穏やかな空気を二人を包みました。しかし私のセリフで再び淀んだ空気に変わります。

※この物語は半分フィクションですが出てくるエピソードは実際に体験したことです。
いやほとんど実話です。
名前や団体名、組織名等は仮名になってます。
読んでいて気分を害したりする場合がありますのでその辺をご了承の上ご覧下さい。

強さと弱さと

以前のように幸せな空気が流れている中、私のセリフで大きく歪んでいくのがわかりました。

「20万・・・20万、必要なんだ。ミィもわかっただろ?闇金を速く返さないとホントにまずいんだよ・・・」

「まさくん・・・。本当に無理よ・・・。お金ないよ・・・」

「たのむよ!たのむよっ!」

「だってないんだもん。引越しで全部使っちゃったのよ・・・無理よ・・・」

「・・・・」

考えてみると、ミィは引っ越したばかりです。

敷金、前家賃などで数十万円単位でお金がかかっています。

部屋を見ると、ベッドなどの家具も変わっていました。

きっと、私と離れるために全てを変えて新たなスタートを切ろうとしたのでしょう。

もしかすると服や下着などもすべて買い換えたのかもしれません。

「マジか・・・。どうにかならないかな・・・?」

「だって、だって・・・20万なんてお金ないよ・・・」

私は気付かない内にミィを追い込んでしまいます。

私に頼まれ、応えることが出来ない自分に戸惑っていました。

しかし、頭の中は必死です。

早く闇金を決別しなければ、苦しみからは逃れられないでしょう。

ミィの気持ちや事情を考えてあげられる余裕はありませんでした。

一瞬、静寂の時間が流れます。

早くこの時間を埋めたくてしょうがありませんでした。

「な、なぁミィ」

何も言わず視線だけ私にむけます。

「あ、あのよ・・・ミィって、キャッシングとか使っているのかよ」

「なによ、キャッシングって・・・」

「ほ、ほら、テレビとかでもコマーシャルやってるだろ、プロ○スとかア○ムとか武○士とか・・・」

「うん・・・使ったことないわよ」

「そ、そか」

「いやよ、サラ金ってやつでしょ?そんなところから借金するの絶対いやよ!まさくんだって、そういうところから借りて困っているってさっき話したじゃない!」

「い、いや、わかるよ。オレだって本当はミィにサラ金に借金させるのイヤだよ。だけどさ、それよりももっと利息が高くてヤバイ闇金をまずなんとかしないとダメなんだよ!」

「なに言ってるのよ。キャッシングだってまずいじゃない!無理よ私、返せないよ!」

「い、いやっ違うんだよ、落ち着けよ、ミィ。返すのはオレだよっ。ミィが借りてくれれば、間違いなくきちんと返済するから、ミィは大丈夫なんだよ!」

「いやよ。不安よっ!絶対に無理っ!」

「じゃぁ、どうすれば良いんだよっ!闇金を早く返さないと、借金はどんどん膨らんでいくんだよ。返せなかったらこの間みたいに何やってくるかわからないんだよっ!」

「まさくんのバカっ!!なんでそんな所から、借金したのよ!」

だんだんとミィもどうしたら良いかわからず、冷静さを失ってきているのがわかります。

そしてそれは、私も同じでした。

自分が助かるために、彼女にサラ金から借金をさせる。

この上ない、間違った行為です。

理由はどうあれ、彼女はとてつもなく傷ついたでしょう。

心のどこかで自分自身を最低だと思いました。

しかし私には他の術が思い浮かびません。

「なぁ、ミィ。あまり良い再会ではなかったけれど、今回、こうやってまた、会うことが出来て本当に良かったと思ってる。それにミィと離れようとした俺が全面的に悪かったと思うよ。だけどミィとまたこうして一緒にいることで、やっぱりミィが大切だと気付いたんだ」

「うん。わかるよ。私もよ」

「だから、ミィともう一度やり直したいと思ってる」

「うん」

「そのためには、だらしないところも直したい」

「うん」

「でも、闇金はホントにすぐ解決しないとマジで終わっちゃうんだ。だって、さっきも話したけど10日で5割の利息がかかっていくんだよ」

「・・・」

「闇金、今の時点で利息合わせると16万5千円あるんだよ。これからのためにはこれをどうにかしなきゃいけないんだよ・・・」

私は、無意識の内にお金を貸してほしいということだけではなく、「ミィと一緒にいたい。そのためには普通の自分を取り戻す必要があり、そのために無理なお願いをしている」という風に話の流れを変えていました。

なんだか、チンケな詐欺師のようだ。

と、自分のことが少しだけ情けなくなりました。

「うん・・・わかったわよ・・・。でも、ホントにいやなのよ。ちょっと考えさせてよ・・・」

「で、でも、次の闇金の支払日までには何とかしなきゃダメなんだ!たのむよっミィっ!!」

「・・・」

そこから、部屋の空気は歪んだまま、変わりませんでした。

約束

朝、目が覚めるとすでにミィは忙しそうに、準備をしています。

「まさくん、早く顔洗って。遅刻しちゃう」

「うん・・・」

テーブルにはすでに朝食がならんでいます。

それだけで少し安らぎを感じる自分がいました。

顔を洗い、用意を済まして、テーブルにつきます。

仕事の日の朝、二人でせわしなく朝食を食べることに安らぎを感じました。

「今日は私、そんなに遅くないけど、まさくんは?」

「いや、オレも普通だよ」

こんな何気ない会話にも幸せを感じます。

しかし、まだ解決していない闇金のことが、どうしても顔を覗き、せっかくの良い気分を邪魔しました。

とりあえず、どさくさに紛れたようにはじまった、ミィとの同棲生活が不穏な影に覆われているような気がし、不安が拭えませんでした。

ミィを駅まで送り、会社に向かいます。

彼女が電車に乗る時間の関係上、いつもより少し早い出社になりました。

会社につき、タイムカードを押して周りを見ると、まだ2人しか出社していません。

つい、佐々木さんの姿を探してしまいます。

早番か遅番かわかりませんが、佐々木さんもまだ出社していませんでした。

とりあえず準備を始めますが、すぐに終わってしまい、まだ営業に出る時間には早すぎて、それまでの時間が退屈です。

すると、不安や苦しみが顔を出してきました。

“闇金どうしよう・・・”

”次のジャンプするお金がない・・・”

”ミィもお金がない・・・”

”どんなに大好きな彼氏でも、サラ金から借金をするのは無理かも・・・”

”せっかく、車での生活を抜け出せたのに・・・終わってしまう・・・”

頭の中にネガティブなことが駆け巡り、それはやがて全身を支配していきました。

時間が来て、気だるい状態のまま車に乗り込みます。

営業には全く身が入りませんでした。

昼近くになり、コンビニに立ち寄り、おにぎりとお茶を手に取ります。

一瞬、雑誌のコーナーにある、パチンコ・パチスロ攻略雑誌が気になりますが、珍しく素通りしました。

頭にあるのは、闇金に対しての恐怖だけです。

車に乗り込み、5分もしない内におにぎりとお茶を平らげた後も、その恐怖は消えませんでした。

むしろ、形を変え大きくなっていき、私の身体から力を奪っていきます。

得体のしれない、恐怖や苦しみに支配され、脱力感という形になって襲ってきました。

私は、自分で何を求めているのかわからなくなってきました。

”安心して眠れる場所?”

”ミィとの何気無い毎日?”

”朝起きた時に嗅ぐ、炊飯器から漏れるご飯の香り?”

”サラ金や闇金の支払いの心配がない、借金のない毎日?”

”デキるカッコがいい男?”

”ミィ?”

”佐々木さんとの濃密な時間?”

この後、これらを全てを失ってしまうような錯覚に陥ります。

「本当に手に入れたいものがわかっていない奴は、何も手にすることが出来ない」

いつか、漫画か小説で、誰かが言っていたセリフです。

いや、映画かアニメの主人公だったかもしれません。

夕方になり、営業を一通りまわった私は、会社に戻ります。

私以外は、何も変わっていない気がしました。

きっとこの中にいる大勢は、闇金の苦しさや恐怖はわからないでしょう。

私は急に、自分のことがこの中の誰よりも”劣っている”気がしました。

パチンコ・パチスロにのめり込み、その軍資金のために、支払いのお金に手を出し、部屋を追い出され、闇金に手をだし、追い込まれ、どうしようも出来なくなり恋人に助けを求め、部屋に転がりこむ。

数々の自分の行動が、自分が最も嫌っている行動に思えてきます。

業務が終わり、佐々木さんを背中越しにチラッと見ながらタイムカードを押した時に、メールの着信が鳴ります。

「おつかれさま!今、終わったんだけどまさくんは?」

「オレも今、終わって会社出るところだよ、迎えにいく。いつものところで待ってて」

「はーい」

私の苦しみもわからず、ミィはいつものままです。

闇金さえなければ、闇金さえなければ、私もミィのように楽しい気分でいられたでしょう。

迎えに行き、いつもの場所に着くとすでにミィは待っていました。

車を停めてすぐに助手席のドアが開きます。

「ふぅ~っ、さむいねぇ!今晩も雪だって」

「そうか・・・」

テンションが高い彼女の隣で、少しも元気を出せませんでした。

自宅に着き、車を適当な場所に路上駐車します。

「まさくん。駐車場借りないとだめだねぇ」

「あ、お、うん。そうだな・・・」

また、お金が掛かることを考えると、さらにテンションが下がりました。

部屋に入り、着替えを済ますと、彼女が急に真剣な表情に変わります。

「まさくん、ちょっといい?」

「あ、うん」

テーブルを挟んで向かい合わせに座ると、さらに表情をこわばらせました。

一瞬、嫌な予感が全身を駆け巡り、恐怖で体がこわばります。

すると、ミィはバッグから封筒と一枚のカードを取り出し、私の目の前に置きました。

「今日の昼休みに、無人契約機?で借りてきた。本当に悩んで迷って、正直今も迷ってる・・・」

「・・・」

「本当に、嫌な気持ちだったわ。ちょっと後悔もしてる」

「うん」

「まさくん、おねがい。絶対に私を裏切らないで。」

「わかってる」

「ホントに正しいか、わからないけど、まさくんが取り戻したいって気持ち信じてみることにしたの・・・。いい?」

「もちろん」

「もう、変なところから借りるのもイヤよ。私、死ぬほど怖かったんだから」

「すまない・・・」

「まさくんの言う通り、20万円あるから、まずは変なところ全部返済して」

「うん」

「そしてカードもまさくんに渡すから、まさくんがちゃんと毎月返済して。わたし返しに行くのもイヤよ。二度とこんな気持ち味わいたくない」

「ご、ごめん・・・」

「ぜったいに何とかして、立ち直って!昔のまさくんに戻って!」

「わかった。絶対に立ち直るよ。ありがとう」

ミィの側に行き、強く彼女を抱きしめます。

彼女は脱力したままでした・・・。

これで、私はもう苦しむことはありません。

眠る部屋があります。

側には、ミィがいます。

闇金の支払いのことで悩まなくて済みます。

追い込みをかけられる恐怖を感じなくて済みます。

自分の消費者金融の借金やミィが借りてくれた消費者金融の支払いはありますが、もう苦しまなくて良いはずです。

私は、日中に感じていた脱力感から一気に希望を感じました。

「もう、パチンコ・パチスロは絶対やめよう。もう、闇金には絶対手をださない。できるだけ早くミィが借りてくれた借金も返済して安心させてあげよう。そして、早く自分の借金もなくそう。大丈夫だ!これでオレは復活できる!」

いつまでも、抱きしめ返してこないミィの体を、優しく強く抱きしめても、部屋の空気は歪んだまま戻りませんでした。

 

98話終了です。

 

私はこの時、全てが解決した気になっていました。やっと普通の生活にもどれると思ってしまったのです。

しかし、本当はなにも変わっていません。

とりあえず、一番のネックだった闇金をなくすことが可能になっただけ・・・。

私の歪んだ人間性は本当に根深いものでした。

一番大切にしなければいけないであろう人を追い込み、傷つけ、変えてゆく。

私はそれに気付かない。

そして私は、パチンコ・パチスロ依存症です。

 

もう少し続きます。

99話↓

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