パチンコパチスロ依存問題症を解決するため国や警察やパチンコパチスロの組合など色々な対策に取り組んでいますがそのひとつに「射幸心」を抑制するというのがあります。
パチンコ・パチスロに関する様々な規制は、日を追うごとに厳しくなっているようですが、その内のひとつに「射幸心」を煽らないというのがあります。しかし、パチンコ依存症・パチスロ依存症を作り上げる原因として大きいのは射幸心ではありません。
もちろん、依存症のきっかけになることや要因の一つではありますが、依存症対策としては大きな意味をなさないでしょう。
今回は、どのように依存症が作り上げられていくかを改めて確認し、なぜ射幸心を抑制することが依存症対策に効果が薄いのかを考えてみます。
少し難しい部分も出てきますが、理解するためにもちょっとだけ我慢して読んでほしいです。
ギャンブルにはまりやすい遺伝子
パチンコパチスロ依存症は脳内で行われている神経伝達物質の異常分泌や精神や行動心理の病気です 。
原因には人それぞれの性格や本人の持つ遺伝子がパチンコパチスロなどギャンブルに依存しやすいという性質も確かにありますが、どんな人でもなる可能性はあります。
むしろ遺伝子に関して言えば、日本人はむしろギャンブルにはまりにくいという遺伝子を持っている人の方が圧倒的に多いです。
この遺伝子はセロトニントランスポーターという遺伝子なのですがこれには種類があります。
セロトニントランスポーターLL型とセロトニントランスポーターSS型です 。(厳密にはSL型というのも存在します)
本来ギャンブルにのめり込みやすかったり依存症になりやすいのは LL型を持つ人なのですが、日本人の中には約3%しか存在していません。 (ちなみに欧米やアフリカでは30%から40%の人が LL型です)
LL型の遺伝子を持つ人はは陽気だったりラテン系だったり、危険やリスクよりも賞賛やリターンを重視します。
逆にSS型の遺伝子を持つ人は万が一に備えて備蓄をする性格で成功例に学んでその通りに行動するなど、リスクある大きなリターンよりも確実で安全な方法や行動をとります。
日本は島国で災害や天災も多く、 農耕で栄えた歴史もあり万が一のために常に備えをしておく民族で、それらの人が生き残ってきたのでこのようになったのでしょう。
世界的に見ても日本人の貯蓄率が高いのも頷けると思います。
以前の記事でも書きましたか(パチンコ・パチスロ依存症は治らない?)通常の脳の状態であれば「これ以上お金は使ってはいけない」という単純で簡単な判断をし、行動できるはずです。
これがパチンコ・パチスロになると途端に正常な判断と行動ができなくなります。
と考えるとパチンコパチスロ依存症は「射幸心」や「いくら勝てるか」という刺激よりも 、台の光や役物のギミックなどの演出で作り上げられていくものなのです。
パチンコパチスロ依存症が作り上げられていく流れ
パチンコパチスロ依存症が作り上げられていく流れはどうなっているかですが、パチンコパチスロ依存症の要因の一つとして脳内物質の異常分泌というのがあります。
パチンコパチスロを打っている時に分泌されている脳内物質には主に以下のようなものがあります。
ノルアドレナリン・・・興奮、緊張
セロトニン・・・安心、幸福感
βエンドルフィン・・・快楽、鎮痛
ドーパミン・・・快感(不快感を消す)やる気がでる
これらの脳内物質がパチンコパチスロを打っている間に分泌されています。
パチンコを打つ直前・・ノルアドレナリン
↓
パチンコを打っている最中・・ドーパミン
↓ ↑
リーチなどで演出が出た時・・ βエンドルフィン、ドーパミン
↓ ↑
大当たりした時・・βエンドルフィン
↓ ↑
大当たりラウンド中・・セロトニン
パチンコパチスロを打つ前は、勝つことを期待したり楽しむことを期待したり逆に負けることをかき消すためにノルアドレナリンが分泌されます。
打っている間、遊戯中はドーパミンが少しずつ分泌されていきます。
途中リーチなどで大当たりの期待が高い演出(「激熱」や「魚群」等々)が出るとβエンドルフィンが分泌され、当たらなければ元に戻りこれを繰り返します。
派手な光や役物で演出されると脳はドーパミンやβエンドルフィンを過剰分泌します。
そして大当たりするとセロトニンが分泌され、打っている最中はこれを繰り返します。
それぞれ分泌された脳内物質は一度、受容体で受け取るのですが、分泌された脳内物質が多ければ受容体の大きさは自然と大きくなります。
最初は小さい器がパチンコ・パチスロを繰り返し打つことによってどんどん大きくなるということです。
しかし一度大きくなった受容体は小さくなりません。
そしてここがパチンコ・パチスロ依存症を作り上げる肝なのですが器が(受容体が)ある程度満たされていないと、脳はこれらの脳内物質を分泌させる行動をさせる命令を出し続けます。
これらの脳内物質は生きていくためには絶対に必要な物です。
ある程度受容体が満たされていなければ危機と判断し、て分泌させる行動しろと命令するのは必然なのです。
本人の意思や社会的善悪やモラルは判断していない脳の部分が命令を出しています。
パチンコパチスロ依存症の人がどんなに決意しても止められなかったり、子供を放置してまでも打ってしまったり、犯罪を犯してしまうのはこういった理由があるのです。
依存症対策は射幸心や出玉では無い
このような理由から本当の意味で依存症対策の規制をするならば私は射幸心や出玉に関する規制よりも、まず台の演出面だとと思います。
当然パチンコパチスロを打つときは大当たりすることや勝つことを期待します。
最近の台の傾向として音や光や役物の動きなどで大当たりを期待させますが、その演出の頻度も多くまた大当たりする演出の期待度も著しく下がっているみたいです。
演出の音や光や役物の動きが派手であれば派手であるほど目や耳から入る刺激が強くそのぶんドーパミンやβエンドルフィンの異常分泌に繋がります。(その昔テレビアニメの放送中に光や音の刺激で幼児が気絶してしまうという事件がありましたが、急激な光や音はそれだけ脳に影響があるのです)
出玉がどんどん規制されればメーカーは演出面を派手にするというのはわからなくもないですが、結果パチンコパチスロ依存症を助長しているだけだと思います。
実際私が依存症を克服した際には、この部分も重要なキーポイントのひとつになっていたのは事実です。
これに気付かなければ重度のパチンコパチスロ依存症の私は克服できずにまだ苦しんでいたかもしれません。
まとめ
日本人は本来ギャンブルで身を滅ぼしやすい遺伝子を持つ人は少ないです。
滅ぼしやすいどころかむしろ逆で、何かあった時のために堅実にリスクを取らず生きていくタイプの人が多いはずです。
それなのに社会問題化するほどパチンコパチスロ依存症で多くの人が苦しんでいます。
パチンコパチスロ依存症はそういう資質が持った人がかかる病気ではなく、少しずつ作り上げられているものだということを多くの人、特にパチンコ・パチスロに携わる人が理解しなければならないと思います。
それを作り上げているのは出玉や射幸心ではなく一番はパチンコ台パチスロ台の過剰な演出面で、出玉の期待や射幸心はむしろその次になるということです。
このブログでも何度も言っていますが出玉性能を規制したところで、今現在パチンコパチスロ依存症の人は絶対に救われません。
むしろ使うお金は大して変わらなく出玉が少なくなるのですから問題はひどくなる可能性を含んでいます。
射幸心を煽られようが煽られまいがパチンコパチスロ依存症を克服できない人はこれからも打ち続けるでしょう。
国や行政、パチンコ組合などが依存症対策を考えているのならば、上辺だけの規制ではなく本当の意味で根本から考えていただきたいなと願います。
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